子育てママのお悩み解決メディア
学校推進でゲーセンへ!? なんでやねん!【連載・ハワイとコトバ・8】
2018.03.09

学校推進でゲーセンへ!? なんでやねん!【連載・ハワイとコトバ・8】

「Hanakoママ」で「コドモのコトバ」を連載中、心理言語学の専門家、広瀬友紀さんによる、ハワイ滞在レポート。8カ月間の在外研究で、現在、ハワイ大学に滞在中です。現地での暮らしのこと、小2の息子さんのこと、コトバの話を綴ります!


アロハ!日本もずいぶん春めいてきた頃でしょうか。

引き続き、ハワイの小学校のレポートです。

学校生活を豊かにするためにみんな協力するのだ!

ハワイに限りませんが、こちらの学校では年間何回もFund raising 関係のイベントがあります。

特定の目的に向けて寄付を募るという趣旨ですが、ただの募金ではなく、子ども達が一枚噛むという形のものが一般的です。

アメリカのドラマや映画なんかで、子ども達が自分達のスポーツチームやボーイスカウトの資金集めのために、屋台でお菓子やレモネードを売ったり、各家庭を回ってキャンディーを売って回ったり、というのを見たことがある方も多いのでは。

さて、前回ご紹介したspirit week、金曜日のJogathonというのが締めくくりでした。

49ef72b19c9b2addea8db508ca9b00b7
お揃いTシャツの子ども達が駆け抜けます。スタートの瞬間はカマキリの赤ちゃんのようでした 笑

これは、学校主催のジョギングイベントで、今年は学校内の運動場新設を目的としていました。子ども達は前日に配られるお揃いのTシャツを着て、走る、といっても学校の敷地内を20分間周回する、というだけなのですが、このイベントに絡めて各世帯がお金を寄付するというものです(特典が例のTシャツというワケ)。

こちらは、厳密には強制ではないものの、「あたらしい運動場をつくるために全員で6万ドル達成しよう」そのために「一家庭60ドル」と目標額があからさまに示されています。地元にじいちゃんばあちゃんご親戚一同が住んでて一族で協力してくれそうなロコのご家庭でもなければちょっとした出費だなあ。

20cfce153c6dcbd30dc35695758066ae
あくまで強制ではないそうですが…否が応でも感じるプレッシャー。

しかしまあ、みんなで走ったからってお金が生まれるわけでもなし、直接寄付金だけ募るほうがよほど手っ取り早そうですが、子ども達が何らかのイベントで当事者として実際に汗をかき体を動かした記憶とともに学校の施設が改善されるのを目の当たりにする、自分達一人一人が協力して成し遂げた結果を実感する、という意味ではとても良いアイデアだと思います。

こうして小学生のうちから、自分達ががんばることによって、大きな結果を生むことができる、ということを、精神論だけでなく(←たぶんここ大事)、極めて現実的なオカネの額まで見える形で経験していくのですね。

当日は父母のボランティアとして私も参加してきました。走っている最中の子ども達にお水を配る役割です。

給水テントには水のタンクと、小さな紙コップが大量に準備されています。

041c8e89b678b46731ac2144bc87c2e7
「ここからここまでは走らずに歩く」合図のサインを持つ役もやりました。ボランティア父母には地元の人気ベーカリーのマフィンが配られゴキゲン。

去年は一周走る毎にコップをひとつとって、そのまま捨ててしまっていたらしいんですよね。なので、一人あたりいくつもコップを使って勿体ないし、捨てたコップが散らかってしまったりするのよね、と昨年もボランティアに参加したお母さんが言っていたのをきいて、今年はできるだけコップを捨てずに持っていてね、と子ども達に呼びかけてみました。

素直な彼ら、律儀に潰れかけた紙コップをしっかり握って何度もお水を飲みに来ます。

”Thank you for keeping your cups!”と声をかけると見せてくれた、息を切らしながらも「今、自分いいことやってるんだ」と実感した様子のニヤリとした表情が印象的でした。

あとからわかったのですがこのJogathonのコース、給水所からは見えてない位置に結構な障害物が仕込んであって……。匍匐前進しないとくぐれないような輪っかとか、ここ片手に紙コップ持たされたままクリアするの大変だったろうなあ……、あ、ありがとう子ども達!

ギフトカードを買ってください

その他、寄付の手段として最近多いのが、お菓子より「ギフトカード」です。

大手飲食店チェーン、スーパーなどの商業施設が発行する定額のギフトカードを、学校などが一定数仕入れます。

子ども達がそれぞれ数枚ずつ引き受けて、ご近所・親戚などで売って回るのです。強制ノルマでは決してないのですが、子ども達も最初はりきって「ボクは何枚引き受けます!」と宣言した数を実際売るのに苦戦している様子。

最近は、修学旅行に行く高学年の子が、その資金調達の一貫として、ギフトカードを売っていたのを1枚協力させてもらいました。で、それが、ゲームセンターの$10カードでした。そう、いわゆるフツーの、あのゲーセンです。

ゲーセンに行こう!

というわけで、そのカードを使いに先週わざわざゲーセンまで出かけて息子にゲームさせてきましたが…… 今回のfundraisingでカード買ったのでなければ、まず来ないっつーの。

学校推奨のゲーセン訪問……その発想ないわ…… でもゲーセンと言ったって、こちらでは映画、遊園地やボーリングと同じようなただのエンターテイメント施設のひとつにすぎません。もちろん家族で出かけます。「ゲーセン→不良!?」なんて発想で(いつの時代だよ!?)あたふたしてても誰もわかってくれないだろうな〜

3d286c066077720590e492e614c9bbcc
小学校公認でゲームに興じる。何か問題ある?

これ日本でもやったらいいんじゃないかな。「ゲーセン」のイメージも健康的に変わるだろうなあ。

日本ならカラオケの利用券とかいいんじゃないかなあ…って自分が行きたいだけだろ(笑)。

こちらも読んでね!
イカれた格好で学校に行こう! Spirit Week
「暗記じゃない、論理的な思考を!」そこまでやるか?のワケ
ハワイ5か月目、息子の英語コミュニケーションに「ピジン」を見た!
メリークリスマスとメレカリキマカ……似てないじゃん?
ハワイの公立校に入学。英語の壁はどうするの?
にほんご教室でクラスメイトと立場が逆転! そこから学べること
子どもの成長を感じた、今年のハロウィン

【ハワイとコトバ】連載一覧

prof2

広瀬友紀

ひろせ ゆき〇東京大学大学院総合文化研究科教授。
心理言語学、特に人間が言語を理解するしくみを研究。
2017年8月より8カ月間の在外研究で、ハワイ大学に滞在中。
小2男子の母。著作に『ちいさい言語学者の冒険-子どもに学ぶことばの秘密』(岩波書店)。

syoei


子どもの言葉について考察! 広瀬先生の【コドモのコトバ】も連載中!