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ハシゴしたい2つの展覧会。「ウォーリーをさがせ!展」で新作アートに込めた思い【中村至男さんインタビュー】
2018.04.27 by Hanakoママ Hanakoママ

編集部の取材エピソード ハシゴしたい2つの展覧会。「ウォーリーをさがせ!展」で新作アートに込めた思い【中村至男さんインタビュー】

おでかけ絵本情報「ウォーリーをさがせ!展」【中村至男さんインタビュー】

Hanakoママ最新号5月号は「ママもパパも楽しい! 読み聞かせ絵本34」。ママもじっくり読みたくなる絵本やパパと遊びながら読める楽しい絵本をたくさんご紹介しています。

絵本のおでかけ情報では現在、松屋銀座で開催中の「ウォーリーをさがせ!展」をご紹介。この展覧会で新作アートを制作したグラフィックデザイナーの中村至男さん(絵本「どっとこどうぶつえん」の作者でもあります!)に今回の展示作品について、そして、偶然にも同時期に銀座で開催中のご自身の個展についてもお話を伺います。銀座にお出かけの際は、ぜひ2つの展示をハシゴしてみてください!

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グラフィックデザイナーの中村至男さん。クリエイションギャラリーG8にて。

―――中村至男さんと「ウォーリーをさがせ!」という意外な組み合わせにまず驚きました。

デザイナーの僕としては、物事をいつもシンプルにして伝えようとすることが多いのですが、緻密な描きこみを重ねに重ね、ダジャレやパロディもたっぷりと詰め込む「ウォーリーをさがせ!」は、自分自身でもとても真逆な存在のように思います(笑)。でも、だからこそ自分だったらどんな表現ができるのかなと挑戦してみようと思いました。

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「ウォーリーをさがせ!」シリーズの作者マーティン・ハンドフォードさんによる展覧会限定アート ”Anniversary Ball for Japan” (2017年)© DreamWorks Distribution Limited. All rights reserved.

―――中村さんが制作された「WALLY STRIPE」はどんな作品なのでしょうか。

みなさんはウォーリーを探すときに、どうやって探しますか? 僕ならまず、トレードマークの赤ストライプシャツをざっと絵を見回しながら探します。 そうすると、たまにひっかけのストライプシャツの別の男がいたりして……(笑)。 そこで、赤ストライプシャツは目印の記号なのだと思いました。 それなら、その記号をもっとシンプルにシンボル化して、違う形で展開してみようと考えました。

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中村至男「WALLY STRIPE」© DreamWorks Distribution Limited. All rights reserved.

―――展示では、そんなシンボル化したウォーリーがパネルになっていたり、細長い棒になっていたり、消しゴムサイズの小さな箱になっていたりします。この展示の方法もとてもユニークです。

ストライプの色面の比率は、実際のウォーリーと同じに合わせています。 細長い棒にしたものは、公式のウォーリーの身長180cmと同じ高さです。 完全に色比率だけのストライプの情報に変換してみると、それはどうみえるのか? 果たしてウォーリーに見えるのか? また、それらを平面だったり、円錐だったり、消しゴムみたいな小さなものだったり、さまざまな形に展開してみると一体、どこまでウォーリーにみえるのか、と試していきました。

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「どっとこどうぶつえん」(福音館書店)より。

―――四角いドットだけで描いた動物たちがどこまで動物にみえるのか、という視覚的発想力を子どもたちに問いかけた「どっとこどうぶつえん」にとても近い考え方ですね。

そうですね、同じです。能動的に、見ようと努力して見ること、前のめりな気持ちでみることの面白さってあると思うんです。今の世の中は、すべてのことに、とても情報の説明が行き届いていて、とにかくわかりやすく丁寧にできている。時にはストーリーの感動の仕方まで、こう思いなさいよ、と導いてしまう。そういうものもいいのでしょうが、僕は、もう少し投げっぱなしなものが好きですね。ちょっと不自由な状態の中、物事を努力してみることで気づくことがあると思うんです。そうすると、いろいろなことを多面的に考えたり、別の楽しさがでてくるんじゃないかなと思いました。

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―――子どもたちにとって読みとる力を身につけることはとても大事なことだと思います。

子どもたちはそもそも読みとる力をすごく持っているんですね。「どっとこどうぶつえん」が初めて保育園に配られた時に、保育園のある先生方が文字も説明もないこの絵本をどう読み聞かせればいいのか、とまどったそうです。でも、いちど絵本を開いたら、子どもたちは自分からどんどん想像して「これはライオンだ、ゴリラだ!」と、当てっこしはじめたそうです。その答えが正解でも、不正解でもいいと思います。ドットになった動物をみて、これはなんだろうかと考える。もう、その時点で本望ですね。面白がって自分から考えてくれている。中には、この絵本でドット絵にはまって、モザイクアートをはじめた子もいたそうで、そういうお話を聞くとうれしくなりますね。

――現在、銀座のクリエイションギャラリーG8では、第20回亀倉雄策賞受賞記念「中村至男展 2018」と題し、 中村さんのここ1年の最新作品が展示されています。「シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン」展のために制作されたオマージュ作品も並んでいます。この作品も、 画面の中の“しかけ”に気づくとはっとする作品群です。

この個展のためにミッフィーの新しいオマージュ作品も登場しています。新作「SNOW」は、 ギャラリーの中にある小部屋を活かした作品ができないかと考えたものです。ブルーナさんは、シンプルを極めた方。ならば僕は、さらに線を減らしてミッフィーの輪郭線を消して、錯視の原理でミッフィーの輪郭線を想像する作品を作りました。見えないミッフィーのほっぺが見えた時、また違った愛しさが浮かび上がるのではないかと思いました。

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「SNOW」© Mercis bv
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「シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン」展 オマージュ作品のシリーズ。 © Mercis bv
※「シンプルの正体 ディック・ブルーナのデザイン」展(http://bruna-design.jp

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ちょっとした思いつきもなんでもノートに書き留めておく、という中村さんのアイディアメモがいくつも並べて展示されているのも興味深い。

―――中村さんの作品には、常に驚きが潜んでいますね。

本展示のオープニングでイラストレーターの宇野亜喜良さんが僕の作品について「中村至男は、いつも画面の中に何か事件を起こそうとしている」と言ってくださって、とてもうれしかったです。ちょうど最近、小さなことでもいいから、なにかひとつ動機があれば1枚作れると思い始めている時でした。さきほどの話ではないですが、たくさん見るものがあるいまの世の中で、一歩踏み込んでみてもらうために、何か興味や楽しさ、キッカケを作れたらいいと思っています。僕がそのようなものを作る動機や興味もまた、小さい子どもたちから教えてもらったことです。

【誕生30周年記念 ウォーリーをさがせ!展】
日時:開催中〜5月7日(月)
会場:松屋銀座8階イベントスクエア(東京都中央区銀座3-6-1)
営業時間:10時〜20時(入場は閉場の30分前まで。最終日は17時閉場)
料金:一般1000円、高校生700円、中学生500円、小学生300円
問い合わせ:Tel.03-3567-1211(松屋銀座大代表)

http://wally30.jp

【第20回亀倉雄策賞受賞記念 「中村至男展2018」】
日時:開催中〜5月16日(水)
会場:クリエイションギャラリーG8(東京都中央区銀座8-4-17 リクルートGINZA8ビル1F)
営業時間:11時~19時(日曜・祝日と、4月29日(日)~5月6日(日)は休館)
料金:無料
問い合わせ:Tel.03-6835-2260

http://rcc.recruit.co.jp/g8

中村至男
なかむら・のりお 神奈川県生まれ。日本大学芸術学部卒業後、CBS・ソニー (現ソニー・ミュージックエンタテインメント)入社。1997 年独立。主な仕事に 21_21 design sight「単位展」、銀座メゾンエルメスのウインドウディスプレイ、日本科学未 来館、雑誌『広告批評』(1999 年)、アートユニット「明和電機」のグラフィックデザ インなど。絵本『どっとこ どうぶつえん』(福音館書店) では、ボローニャ・ラガッツィ賞を受賞。
梅原加奈
映画、旅、ライフスタイルなど多岐に渡り編集・執筆を手掛ける。近年は、絵本の雑誌『MOE』やCasa BRUTUS特別編集ムック『読み継ぐべき絵本の名作200』を手掛けるなど絵本、キャラクター関連のお仕事も多数。2016年に女児を出産、さらに絵本への興味を深めている。

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写真〇松元絵里子 取材・文〇梅原加奈
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Hanakoママ編集部

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