子育てママのお悩み解決メディア
成長の証として愛でたい、子どもならではの「言葉の間違い」【コドモのコトバ】
2018.05.08

先生おしえて 成長の証として愛でたい、子どもならではの「言葉の間違い」【コドモのコトバ】

気になってはいるけれど、実のところよく分かってない…。 そんなアレコレについて、ずばり教えてもらう「先生おしえて」のコーナー。

心理言語学の研究者、広瀬友紀さんによる子どもの言葉の話、今回は子どもの間違った言葉を正しく直しても、直らない、という話です。


その言い間違えには理由がある!
今月のテーマ /大人は絶対にしない「間違い」をなぜ子ども達はするのか

Detail of cute little girl looking to you

「間違いを何度直してもなおりません」というのが前回のテーマでしたが、そもそも、大人は絶対そんな言い方しないのになんで?って思う発話が子どもの言葉にはてんこ盛り。

「死む/死め?」、「来(き)ないねえ」「来(こ)たよ」「もうこれ消せられない」「おでかけしれる?」「マンガが読められる」……、子どもは大人の言葉を模倣しながら覚えていくと考えていた大人達にとって、こうした「大人は言わないはずのパターン」はとても不思議なものでした。

日本語に限った話ではありません。例えば英語でも、「私のもの」という表現mineの代わりにminesと覚えてしまった子どもに大人が一生懸命正しい形(最後のsはいらない)を何度も使って見せたら今度は正しく使えていたyoursからsをとっちゃった、とか、あー英語話者じゃないけどその苦労わかるわー、って思わず言いたくなりますね。

あと、goの過去形wentの代わりに、出ました“goed”! 意外なのは、小さな頃はwentを使えていた子がある時点でgoedを使い始めるパターンがよくあることです。多くの親御さんは、せっかく正しく言えていたのに退化しちゃった、と思うことでしょう。

ですが、子どもにしてみたら、「どうやら‐edを付けるのが過去形らしい」という一般的な規則を見いだしたところでその「発見」を広く応用するのでした。どの言語でも、子どもはその習得過程で、大人のお手本には絶対出てこない「間違い」をします。単なる模倣より自分の発見を優先させている(そのせいで間違う)のは極めて頼もしい前向きな発達です。

やがて個別の例外やパターンが存在することも発見してしまうので、goedも「死む」も、そういう「間違い」は短い命です、成長の証としてぜひ愛でましょう。ちなみに言語学ではそれらを「間違い」とは呼ばず「その時点における知識」という捉え方をします。

prof21

広瀬友紀

ひろせ ゆき〇東京大学大学院総合文化研究科教授。
心理言語学、特に人間が言語を理解するしくみを研究。
2017年8月より8カ月間の在外研究で、ハワイ大学に滞在中。
小3男子の母。著作に『ちいさい言語学者の冒険-子どもに学ぶことばの秘密』(岩波書店)。

syoei


こちらも読んでね!
自動車を見て「ワンワン」……、うちの子大丈夫?
「ウンチ」は3文字? それとも2文字?
「ば」からテンテンとったら「ぱ」!? 子どもにだけ見えている、日本語のルール
「は」にテンテンは「ば」じゃない!? 子どもの言い間違いが教えてくれること
言い間違いには理由が!「死む」「来(き)ない」からわかる、子どものアタマのなか

【コドモのコトバ】連載一覧




広瀬先生のハワイ子連れ留学日記、【ハワイとコトバ】も連載中!
photo by Adobe Stock