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「女が好きな女は、男になりたがっている」と決めつけないで【LGBT・トランスジェンダーを生きる・2】
2018.06.04

「女が好きな女は、男になりたがっている」と決めつけないで【LGBT・トランスジェンダーを生きる・2】

インタビュー連載/LGBT・トランスジェンダーを生きる・2

心理言語学の専門家、広瀬友紀さんによる集中連載。LGBT・トランスジェンダーをテーマに、5回にわたってお届けします。


ハワイ大学大学院生(先月修士修了・就職活動中)で、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー の頭文字)のなかでもいわゆるトランスジェンダー(あえていうと女性→中性。中性とはXジェンダーと呼ばれる性のひとつです)ド当事者であるリンさんと、ド非当事者(私)の間でのぶっちゃけQ&A引き続きお送りします。


(リンさんの人となりはこちらの記事を読んでいただければと思います。https://hanakomama.jp/topics/47881/
Man holding colorful balloons outside

好になる人のタイプとジェンダーは、別のもの

そういえば私がリンさんに性別の認識について最初に質問したのは、英語でいうとsheとhe、日本語だと「彼女」「彼」のどちらを使えばいいの?と思ったのが理由でした。特に日本語と違って英語では主語を言わずにおくと文にならないので、「正しい方を使わないと失礼だよな」という発想でした。でも「どっちか二者択一の答えをくれないと困る」と言われるとむしろ困ることだってあるのでした。

というわけで今回は、「相互理解」についての質問を中心にとりあげます。

Q: 自分が、あるいはLGBTの人たちについて、誤解されているなと思うのは、逆に、ちゃんと理解してもらっているなと思うのはどういう時ですか。

A: 「『男らしいからきっと女らしい男が好きなんだね』って言われたことがあります。カップルは絶対『男女ペア』っていうところと、そのペアでは絶対『男性的』な人『女性的』な人がいないといけないっていうイデオロギーがちょっと違うなーって思いました。男らしい女性と男らしい男性のカップルや女らしい女性と女らしい男性のカップルもありだと思います。」

「あとは、『女が好きだから男になりたがっている』って決めつけられるのは結構嫌です。好になる人のタイプとジェンダーは別なものなので、そこちゃんと分けて考えた方がいいと思います。」(リンさん)

うー、それ以前に日本だと「ゲイ(男性の同性愛者)」が「オカマ」と呼ばれたりしてますねえ…… だいぶ違いますよね……。

「逆に、セクシャリティーやジェンダーについてあまり大げさな反応をされない時、『あ、この人は大丈夫だ』って思います。『犬が好き』とか『大学の専攻はXXXだった』というトピックと同じ扱いをしてくれた方が、ちゃんと理解しくれてる人だなーって感じます。」

「何年か前に年上の男性にカミングアウトをした時には『俺はこういうの大丈夫だけど、他の人に言わない方がいいよ』って言われたことがありますが、それはちょっと違うし、自分のアイデンティティーがどこかで悪いってこの人に思われてる気がして居心地悪かったです。」(リンさん)

Q. もし自分が日本で社会生活を送るとしたら困るのはどういうところ?

A:
「・結婚してても配偶者ビザがもらえない
・女子トイレに行くと女性にびっくりされるが、だからと言って男ではないから男子トイレも使えない
・パートナーとのアパート探しに『ルームシェアです』って嘘ついた方が楽だが、なんか嫌」
(リンさん)

Xジェンダーならではの不便もあれば、男性または女性の同性愛者の人たちと共通する類の問題もあるようですね。日本で「同性のカップルとして入居したい」だと「あんた達何なの!?」っていう大家さんがきっと多いんでしょうか。

(ちなみに、英語の代名詞sheとheのどっちを使えばいいの? という問いへのリンさんの答えは「どっちでもいいよ」でした)


これまでの「トランスジェンダーを生きる」
第1回 男女どちらでもない。「無理に分類されたくない」という性別
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広瀬友紀

ひろせ ゆき〇東京大学大学院総合文化研究科教授。
心理言語学、特に人間が言語を理解するしくみを研究。
2017年8月より8カ月間の在外研究で、ハワイ大学に滞在中。
小3男子の母。著作に『ちいさい言語学者の冒険-子どもに学ぶことばの秘密』(岩波書店)。

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子どもの言葉について考察! 広瀬先生の【コドモのコトバ】、連載中。
ハワイ大学に滞在中の、現地での暮らし、小学生の息子さんのこと、コトバの話を綴った【ハワイとコトバ】はこちらから