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「男部屋」「女部屋」という分け方、性的少数者はどう感じる?【LGBT・トランスジェンダーを生きる・3】

2018.06.07

インタビュー連載/LGBT・トランスジェンダーを生きる・3

心理言語学の専門家、広瀬友紀さんによる集中連載。LGBT・トランスジェンダーをテーマに、5回にわたってお届けします。


ハワイ大学大学院生(先月修士修了・就職活動中)で、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー の頭文字)のなかでもいわゆるトランスジェンダー(あえていうと女性→中性。中性とはXジェンダーと呼ばれる性のひとつです)ド当事者であるリンさんと、ド非当事者(私)の間でのぶっちゃけQ&A引き続きお送りします。


(リンさんの人となりはこちらの記事を読んでいただければと思います。https://hanakomama.jp/topics/47881/
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LGBTじゃない人の気持ちも話してみる

今回は、きわめてプラクティカルというか具体的かつ実務的な質問をしてみました。実務的なテーマのつもりだったのですが、ジェンダーにおけるマジョリティとマイノリティの間の認識のずれの一端が見えた気もします。マイノリティである相手についてもっとわからなければと思うことと同時に、逆にもっとわかってもらいたいと思うことも。

Q: 例えば具体的な話をするなら、合宿なんかでは普通は男女別に部屋割りをします。当然のように男女で部屋を分けますが、性的少数者としてはどう扱って欲しいと思うか、ということについてアドバイスはありますか。

A: 「元々男女で分ける理由から考えないといけないと思うので、これはLGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスセクシュアルを含む政敵少数者)の問題というより、男女が一緒にいると何かが起こる可能性がある、何かが起こって当たり前、起こらないと変だ、っていう社会的な考えを変えないといけないと思います。」

「レズビアンだからって他の女性とルームシェアをすると危険とか、ゲイはチャンスがあれば選ばず他の男性を襲うっていうステレオタイプも変えないといけないと思います。トランスジェンダーの方については、その人のジェンダーと同じ扱いをすればいいと思います。」(リンさん)

……「ゲイはチャンスがあれば選ばず他の男性を襲うっていうステレオタイプ」があるのか? まあそれは置いておいて。

このリンさんの意見を聞いて、逆の立場からの声として、「男」「女」の分類に疑問なくいられる多数の人たちは、普通は異性に対して一定の羞恥心を持っているのだということはちゃんとリマインドしないといけないんだと思いました。抵抗なく着替えするのは無理だわ、に始まり、自分の属する性別の舞台裏まで異性に丸出ししたくない感覚……女性の舞台裏って例えば寝起きのスッピンとか、男性だと普段通りパンツ一丁で寝られるかとか(もっといろいろあるのかもしれないが私は知らない 笑)……。

「平気」と感じる人もいるからといって、そうでない人にとってすでに感覚として備わっている羞恥心を否定してかかるわけにもいかない。「男女の二択に無理にはめられたくない」という気持ちを尊重するのと同じようにそれらは尊重しなければならない気がするんですよね。

それで、具体策として例えばこんなのどうでしょう。「男部屋」「女部屋」「どちらでもいい」から選んでもらって、「どちらでもいい人の部屋」にはそれを選んだ人同士にする、というの。

どうすれば一番いいのか私に答えは提供できないけれど、こうした最初から答えの決まってそうにない問題について、率直な気持ちで当事者と非当事者が、マジョリティとマイノリティが、互いに混じって議論できることがもっと自然になって答えを探っていく試みが普通のことになっていくといいなと思うのでした。


これまでの「トランスジェンダーを生きる」
第1回 男女どちらでもない。「無理に分類されたくない」という性別
第2回 「女が好きな女は、男になりたがっている」と決めつけないで
連載一覧
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広瀬友紀

ひろせ ゆき〇東京大学大学院総合文化研究科教授。
心理言語学、特に人間が言語を理解するしくみを研究。
2017年8月より8カ月間の在外研究で、ハワイ大学に滞在中。
小3男子の母。著作に『ちいさい言語学者の冒険-子どもに学ぶことばの秘密』(岩波書店)。

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子どもの言葉について考察! 広瀬先生の【コドモのコトバ】、連載中。
ハワイ大学に滞在中の、現地での暮らし、小学生の息子さんのこと、コトバの話を綴った【ハワイとコトバ】はこちらから