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性的少数者の子どもが、学校生活で困ること【LGBT・トランスジェンダーを生きる・4】

2018.06.11

インタビュー連載/LGBT・トランスジェンダーを生きる・4

心理言語学の専門家、広瀬友紀さんによる集中連載。LGBT・トランスジェンダーをテーマに、5回にわたってお届けします。


ハワイ大学大学院生(先月修士修了・就職活動中)で、LGBT(レズビアン、ゲイ、バイセクシュアル、トランスジェンダー の頭文字)のなかでもいわゆるトランスジェンダー(あえていうと女性→中性。中性とはXジェンダーと呼ばれる性のひとつです)ド当事者であるリンさんと、ド非当事者(私)の間でのぶっちゃけQ&A引き続きお送りします。


(リンさんの人となりはこちらの記事を読んでいただければと思います。https://hanakomama.jp/topics/47881/
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LGBTである先生がオープンになれる社会を

今回は、性的少数者の子どもたちを取り巻いているであろう問題についても当事者としての意見をきいてみたいと思います。

Q:もし自分が日本で(子どもとして、もしくは思春期の年齢に)学校生活を送るとしたら困ると思うのはどういうところだと思いますか。どうだったらもっといいと思いますか。(具体的にもしあれば)

A:「制服、ズボンかスカートのジェンダーで分けられた二択しかない。最近は誰でもズボン履いていいって言う学校もあるが、誰でもスカートを履けるって言う学校はまだ聞いたことがない。誰でもどっちでもオッケーなオプションがいいと思う。」(リンさん)

そしてリンさんはこんなことも指摘してくれました。

「・保健体育ではトランズジェンダーの人のことや、同性愛者、両性愛者の話が出ないところ。普通のこととして紹介して欲しい。
・オープンにLGBTである先生がいないので、子どもたちにとってrole modelとして見ることのできる大人が身近にいない。先生でもオープンになれる社会を作ることが必要。」
(リンさん)

LGBTを題材にした幼児向けの絵本が最近はたくさん出版されています。さらに、もし自分だけみんなと違うと気づくことがあっても、自分のあり方について自信を持っていいんだよ、いろんな性があるんだよ、ということを公的教育の教材においてはっきりとメッセージ化することは大事なこと。実際にそのような学校教材の作成も進められているようです。

同時に、教材だけに一人歩きさせることなく、「マイノリティであることを理由に人を侮辱することは許さない」ということを、「教科書でそう言ってるから」じゃなくて自分の生身の言葉で伝えられる先生がいてほしいですね。その先生自身が当事者かどうかに関係なく。

先生が当事者、という事態は、少なくとも日本に暮らす我々はこれまであまり想像したこともないでしょう。でも、例えば私が数年間経験したアメリカの大学環境では、性的少数者であることを普通に公表している教員は全く珍しくありませんでした。能力や人間性には関係ない話なので学生もそれを知っても何とも思っていないでしょう。性的少数者あることを理由に不利益を被ることもなく堂々と活躍している現実世界の身近な大人の姿は、どんな教材よりも効果があると思います。日本はその意味ではまだ少しハードルが高いかもしれません。

この点、日本では芸能界の人たちが数歩先をいっているように思えますね。できれば次に続くものとしては「色モノ・キャラとしてじゃない」「芸能界でなく現実世界の」大人達の存在もあってほしいです。何なら、地位が確立しててリスクも少なそうな人たちからでもいいから、率先して子どもたちに、ロールモデルとしてその存在を見せてあげてくれないかな、と深く同意しました。


これまでの「トランスジェンダーを生きる」
第1回 男女どちらでもない。「無理に分類されたくない」という性別
第2回 「女が好きな女は、男になりたがっている」と決めつけないで
第3回 「男部屋」「女部屋」という分け方、性的少数者はどう感じる?
連載一覧
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広瀬友紀

ひろせ ゆき〇東京大学大学院総合文化研究科教授。
心理言語学、特に人間が言語を理解するしくみを研究。
2017年8月より8カ月間の在外研究で、ハワイ大学に滞在中。
小3男子の母。著作に『ちいさい言語学者の冒険-子どもに学ぶことばの秘密』(岩波書店)。

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子どもの言葉について考察! 広瀬先生の【コドモのコトバ】、連載中。
ハワイ大学に滞在中の、現地での暮らし、小学生の息子さんのこと、コトバの話を綴った【ハワイとコトバ】はこちらから