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先生おしえて子どもが「言葉の裏」を読めるようになるのは、いつごろから?【コドモのコトバ】

2018.06.05

気になってはいるけれど、実のところよく分かってない…。 そんなアレコレについて、ずばり教えてもらう「先生おしえて」のコーナー。

心理言語学の研究者、広瀬友紀さんによる子どもの言葉の話、今回は子どもの間違った言葉を正しく直しても、直らない、という話です。


その言い間違えには理由がある!
今月のテーマ /「何回言ったらわかるの!」に「……5回くらい」と返された。ナメてんの? 

Happy child playing on green grass outdoors in spring park

よく、「『考えときます』は断られたと同じ」、「京都人の『お茶漬けでも…』は『はよ帰れ』の意」などと言われますが、直接表現すると角が立つ内容について我々は、「言葉通りでない意味」をお互い了解してやりとりすることにより、円滑な意思疎通を行っています(本当にお茶漬けを勧めたいときは悩みますが)。

だけど子どもにしてみたら、せっかく言葉がわかるようになったのに、その言葉通りの意味じゃないなんて想定外なのでは? 

いやそもそも、言葉通りでない意味を大人がやりとりできるのはどうしてでしょうか。

話し手と聞き手の間には、一定の了解事項があります。話し手の言うことは、普通その場の会話の内容に関連があり、話し手が意図的に情報が伝わりにくいような、あるいは情報にわざわざ過不足のあるような表現はしない、という前提です。逆に言えば、明らかにそうした了解事項に反した表現がされた場合、それは言葉通りの意味でないサインとして機能するというわけです。

お見合い相手の男性について尋ねられた女性が、異性としての魅力に関連のない褒め言葉ばかり並べたら(質問の趣旨は、異性として興味があるかどうかに決まっているのに)、一言もけなさずとも脈がないとわかります。

ですが、こうした複雑な推論を子どもが身につけるのは、語彙や文法の知識を得て「言葉通りの解釈」ができるようになってからまだしばらく後のこと、ざっくりいうと6~7歳くらいだと言われています。大人になっても苦手なままな人もいますね。

タイトルにあるやりとりも、「何回!?」と詰め寄られたと思った子どもが一生懸命考えた結果かも。

子どもに対する発言は、もともとそういう意味だったことを大人が忘れてしまうほどの「言葉通りの意味」に解釈されがちであること、大人なら「冗談」「表現上の工夫」として流せることも時に子どもは真に受けてしまう恐れがあることを心に留めておくべきかもしれません。間違っても「ナメてんの?」とは返さないように!

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広瀬友紀

ひろせ ゆき〇東京大学大学院総合文化研究科教授。
心理言語学、特に人間が言語を理解するしくみを研究。
2017年8月より8カ月間の在外研究で、ハワイ大学に滞在中。
小3男子の母。著作に『ちいさい言語学者の冒険-子どもに学ぶことばの秘密』(岩波書店)。

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