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人間ってほんとうに怖いと、「無」で後ずさりするんですね【連載・室木おすしの「娘へ。」】

2018.06.11

この連載は……

イラストレーターで、3歳と1歳の双子の女の子のパパ、室木おすしさんによる育児イラストエッセイ。

娘が将来結婚などして(しなくても)離れていってしまうことが今から心配で、0歳のころから、娘とのあれこれを結婚式で思い出そう!と「娘素材集」を頭の中にコツコツと作っている、という室木さん。

この連載では、よりすぐりの素材をチョイス。

室木さんが娘の結婚式でスピーチとして娘に読んでいるような体でお送りします!

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「怖い思いをさせてごめんね」【第5通目】

お手洗いは会場を出て右ななめにありますので是非お立ち寄りください。

どうもこんにちは新婦の父で父科父属・父です。

手紙の続きを読みます。

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娘へ。

あなたが2歳を過ぎ、だんだんと自我が芽生えた頃、あなたは「怖い」というものを知るようになりました。

最初に怖いと言ったのは、たしかライオンでした。

どこで知ったか、本能なのかライオンの写真を見て
「こわいー!」
と目を見開いて興奮気味に笑いながら言っていたことをなつかしく思います。

その後、せなけいこ先生の「ねないこだれだ」によってお化けを怖がるようになりました。

白いバスタオルやシーツを頭にかけて、
「お化けぇー」
というベタな行為を、あなたは1200回はやっていたと思います。

あなたにとって「怖い」はなにか別世界のもので、ちょっとしたエンタメ感が強いものだったようです。

ところが祖父の家で遊んでいた時のことです。

和室に、いとこが作ったとおぼしき白い紙の仮面が落ちていました。輪ゴムを耳にかけるタイプの仮面です。

私は特に考えもなく、その仮面をかぶってみました。仮面が落ちていたからかぶってみた。それだけです。

しかしその場には私以外は寝ている双子の赤ちゃんしかおらず、誰のリアクションも見られませんでした。

とりあえず私は鏡を見てみたくなり、たしかそこらへんに小さな鏡がほおり投げられてたはず……と四つん這いになって和室をうろうろと探していたところにあなたが来ました。

あなたは「無」の顔をしていました。

フリップで説明するとこんな感じです。(フリップを出す)

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ちら

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ん?

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無!

あまりに「無」の顔だったため、最初、恐怖を感じていることがわからず、私はそのままゆっくり近づいていきました。

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するとあなたは「無」のまま、ゆっくり後ずさりしていったのです。

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そこで私は、あ、これ怖いのかと理解しました。

人間ってほんとうに怖いと、「無」で後ずさりするんですね。

そのあと、お父さんだよ!ほら!と仮面をとって変顔をしてみせたりしましたが、びた一文笑いませんでした。

娘よ。

もし今でもホラー映画が怖いなら、それはその時の妖怪「白仮面鏡探し」の仕業です。

ごめんなさい。

【続く】


心の披露宴は心の雅叙園の中、心のカタログギフトを引き出物に
まだまだつづく。

001-illust-05プロフィール

室木おすし

イラストレーター、漫画家。長女と双子の次女・三女の父。
悲しみゴリラ川柳家元。オモコロネットラジオ「ありっちゃありアワー」パーソナリティ。
雑誌やWEBで記事や漫画の執筆をしたり、広告でイラストやGIF動画を作成したりと日々あくせく。
夜泣きのひどい次女の抱っこには定評があり、2018年には生春巻きが好きだという自分の側面にはたと気づいた。

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