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先生おしえて2人でも「みんな」?「みんな」でも2人?【コドモのコトバ】

2018.07.04

気になってはいるけれど、実のところよく分かってない…。 そんなアレコレについて、ずばり教えてもらう「先生おしえて」のコーナー。

心理言語学の研究者、広瀬友紀さんによる子どもの言葉の話、今回は数量の表現についてです。


その言い間違えには理由がある!
今月のテーマ /2人でも「みんな」?「みんな」でも2人?

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子どものおねだりの最終兵器といえばこのセリフ「クラスのみんな買ってもらってるんだよ?!」。それに続く会話は、まぁ間違いなく「みんなって誰と誰?」「○○くんと××くんと……」「他には?」「……(しーん)」。

クラスに1人でも買ってもらっていない子がいたら、「みんな」というのは言葉の意味としては間違いです。残念! ところで逆はどうでしょう。

つまり、本当にクラスの全員が持っているときに、「うちのクラスで2人が持っている」って言ったとしたらそれは間違い? 実は3人以上が持っている可能性も、算数の理屈としては排除されないはず。3はそれより大きい数の一部なわけですから。

だけど実際は誰もそういうふうには解釈しなくて、「3人以上は持っていない」という意図がちゃんと伝わるということを我々は了解しています。なぜでしょう。

この了解事項を言語学(語用論)では「尺度含意」といいます。尺度関係(大小)のある表現において、表現された数量より大きな数量の存在は言葉の使い方の常識においては否定されるという了解のことを指します。このような決まり、わざわざ学校で教わったことがないのに大人は誰でも身につけているところがなんとも興味深いですね。

さて、子どもがそのような了解を身につけるのは、表現の種類にもよりますが様々な言語実験の結果、大まかにいって7歳くらいだろうと言われています。そもそも大人自身そんな知識を持っていると考えたこともなかったという場合がほとんどでしょうから、子どもに教えた覚えもないのが普通。なのに子ども達はある年齢に達する頃には、ちゃんと言語使用上の決まりとしていつの間にか習得してしまえるところは本当に不思議です。子どもってすごい。

それなのに「2人じゃみんなとは言わない」という常識に限っては高校生になっても習得しないのが謎である……。

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広瀬友紀

ひろせ ゆき〇東京大学大学院総合文化研究科教授。
心理言語学、特に人間が言語を理解するしくみを研究。
2017年8月より8カ月間の在外研究で、ハワイ大学に滞在中。
小3男子の母。著作に『ちいさい言語学者の冒険-子どもに学ぶことばの秘密』(岩波書店)。

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