編集者の取材エピソード 仕事を辞める?続ける? 両立に悩むママへ、先輩ママからのエール
働くママのお悩みをみんなでシェアする「働くママを悩ませる100の事象」。
今回のテーマは、「時短勤務を理由に、重要な仕事はほかの人へ。子育てに職場の理解がありません」というお悩みをご紹介しました。
育児を理由に仕事をおそろかにしたくない!
でも、体はひとつ、時間にだって限りはあります。
本誌では、子育てをしながらリクルートでトップ営業をおさめ、その後は独立して女性活躍を目指すコンサル会社を立ち上げた、堂薗稚子さんにお話を伺いました。堂薗さんは、中3&小3のママ。
どんなふうにキャリアを積み上げてきたのか、本誌でご紹介しきれなかったお話をここで伺います!
---堂薗さんご自身が会社員時代の頃、「会社は子育てに理解がない!」と感じることはありましたか?
「そうですね、新米ワーキングマザーの頃は、『熱があるときはママがそばにいないと』『働いているとお受験は無理だね』とか『こんなに仕事ばかりしてて育児放棄だね』とか……! 悪意のない余計な一言に、いちいちむかっとしていたのを覚えています。
当時は、会社の偉い人はたいていが男性で、奥様が専業主婦というパターンが多かったんです。
『この人、育児も家事もやってないのに、理解者ぶってて笑えるなー』と、心の中ではよく思っていました。
子どもと一緒にお風呂に入るだけで、風呂掃除も、子どもを拭いたり着替えもしないくせに、『お風呂担当』と言ってみたり、
週末に贅沢な材料でカレーを作っただけなのに『料理は俺の方が得意』と胸を張ったり。
こういう人が偉いんだもんな、会社もワーママが理解できないはずだよ、と冷めた目で見ながら、
『すごいですね♪』『奥さんが羨ましい』とおべっか言うのが面倒でした(笑)」
---そんな中で、仕事で実績を積み上げていくのは、相当な努力があったのかと想像しますが……。
本誌でも「時間を守る」「すみませんではなくありがとう」と言う、というお話が印象的でしたが、
そんな上司や同僚と仕事をしていく中で、心がけていたことはあるんでしょうか?
「私はワーママで構成された営業組織をマネジメントしていたのですが、
『時間を守る』ことも、『すみませんでなく、ありがとうと言う』ことも、これらをみんなで徹底していました。
働くママは残業ができませんから、全社の会議体や研修などを、必ず業務時間内で実施するよう直訴したこともあります。
個人的な心がけとしては、ドタバタの日常は笑えるネタにし、明るく自己開示して、孤独にならないようにしていましたね。
周囲の、”悪意はないけれど心無い言葉”は、「正の字カウント」して、「これで○人目だわ~」くらいに鷹揚に構える。
心の許せるママ友と集まって発散するときは、夫や会社、保育園への文句、子どもの愚痴は楽しいネタ限定で共有して笑いまくり、
「ひとりじゃないんだわ」と心を晴らす!(笑)。
ともかく、超多忙なわけだけれど、あんまりカリカリしたり「大変、大変」と言いすぎないで、
『かわいい子ども、おもしろい仕事、素敵なダーリン、ゆかいな仲間、全部持ってて、私ってなんて幸せなの~』
『きっと、これを乗り越えたら絶対オンナが上がるわ~!』
と前向きに転換して、肩の力を抜いていました」
---なるほど!
楽しいと感じるも、つらいと感じるも、自分の気持ち次第ですね。確かにしんどいしんどいと言い続けていると、
まわりからも”大変な人”という太鼓判を押されて、余計苦しくなってしまう気がします。
それでもやっぱり、毎日さまざまな理由で「辞めたい」「もっと働きたい」の気持ちと闘いながら、一日一日を過ごしているママも多いと聞きます。
そんなママたちが今できることってありますか?
「育児への価値観も多様なのが前提なので、上司や同僚から全てを「理解される」ことはない、と思った方が楽かもしれません。
だからこそ、働きながら子どもを授かったのなら、自分はどんな生き方、働き方をしたいのか、家族といっぱい話し合い、悩むべき。
うちは下の子も小学生になりましたが、学校に行くようになればなったで、育児の悩みは果てしなく……。
先輩ママに聞くと、それには終わりはないんだそうです。
だから、この『子どもと仕事』問題は保育園を卒園しても、この先も永遠に抱えていくのです。
子どもと向き合う時間を大切にしたい、仕事より大切なものがある……と思う瞬間は、誰にでもあると思います。
でもこれからの将来、子どものために色々あきらめた、なんて思ってしまう可能性が少しでもあるのなら、歯を食いしばって働き続けた方がいい。
自分で自分の生活を賄える、ということはとても貴重なことです。私は、自分のことを自分で決められる、と思うことにして、刹那的に生きています(笑)。
今日一日頑張って過ごすって、見えない明日に怯えるよりずっと潔くて、かっこいいと思いますよ」
※本記事はこちらから読めます。
藤沢 あかり(ふじさわ・あかり)
パンとたまごと少女漫画が好きな、フリーの編集・ライター。住宅・インテリアや雑貨、子育てなど暮らしまわりを中心に手がけています。一姫二太郎の母。『Hanakoママ』本誌では「働くママを悩ませる100の事象」を担当中。