
液体ミルクを考える お取り寄せして調べました! 海外の乳児用液体ミルク、徹底調査!【特集・液体ミルクを考える・2】
特集:液体ミルクを考える
【液体ミルクVo.2】乳児用液体ミルク8メーカーを徹底調査!
〜形態は? 味は? 海外からお取り寄せして調べてみました~

日本ではまだ作られていない乳児用液体ミルクですが、海外ではたくさんのメーカーからさまざまな形態の乳児用液体ミルクが販売されています。今回は、ドイツ、アメリカ、フィンランド、韓国で販売されている乳児用液体ミルク8品を取り寄せ、形状や色、味など徹底調査した結果をご紹介します!
※賞味期限は、2018年6月購入時のものです。
1、Aptamil:ドイツの老舗メーカー

40年の研究で培われた技術から生まれた製品を、ドイツのほかアメリカなど多くの国で販売する「Aptamil(アプタミル)」。
青魚などに含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)や、母乳にも含まれるGOS(ガラクトオリゴ糖)とFOS(フラクトオリゴ糖)の独自ブレンドの成分が特徴です。
こちらは90mLと少量タイプのもので、0歳の赤ちゃんから飲むことができるもの。輸入時の販売価格は1本あたり390円でした。

カッチリと閉められたフタとホイルでパッキングされていて、衛生面でも安心ですね。
使用方法はフタをしたまま振ったあとホイルをはがし、哺乳瓶に移し替えるかこのまま専用のニップル(乳首)を取り付ければすぐに赤ちゃんにあげることができます。

ミルク感のあるにおいと白みがかった色は、日本の粉ミルクに近いものを感じました。少し甘みを感じる味で舌触りはサラサラとしているのですが、飲む前に振った際の泡立ちが多く感じました。
2、Similac:アメリカで80年続くトップメーカー

脳の発達を支えるDHA(ドコサヘキサエン酸)、ほうれん草やかぼちゃなどの色の濃い野菜に多く含まれ眼の健康を支えるルテイン、抗酸化作用のあるビタミンEを独自にブレンドしたOptiGROという成分が特徴の「Similac(シミラック)」。
アメリカでは多くの産科で使われているミルクで、退院後もそのままSimilacを使用するという家庭も多いようです。

今回はUSDAというアメリカの厳しい基準で認定されたオーガニック認定のミルクを選択。Similacではほかにも乳糖を消化吸収できない乳糖不耐症の赤ちゃんに対応したミルクや、特別な栄養を必要とする赤ちゃんに向けたものなど種類豊富に販売されています。
946mLの大きいボトルタイプは輸入時販売価格は1本2,580円でした。

使用方法は、緑のカバーを取ると、ツメの付いたキャップが現れ……
キャップを取るとしっかりとパッキングされたホイルが。

キャップを逆さにし、ホイルに先ほどのキャップのツメを突き刺し、グルリと回してカットします。
ただ、ボトルから哺乳瓶に注ぐのが少し注ぎづらく……いくらかこぼしてしまいました。

こってりした色味で薄めの甘さ。

ボトルから注いだものは1時間以内に、開けたボトルは3日以内に飲み切ること、との注意書きあり。自宅での授乳でたくさん飲む赤ちゃんなら、ボトルでの購入がお得ですね。
3、Valio:液体ミルクが9割を占めるフィンランド

フィンランドは世界でもめずらしく、液体ミルクが市場の乳児用人工乳の約90パーセントを占めているそうです。
そのフィンランドで100年以上の歴史がある「Valio(ヴァリオ)」社は、世界中で乳製品を取り扱うフィンランド最大の酪農会社です。
熊本地震の際には、Valio社から液体ミルクが無償で提供され、日本でも液体ミルクの存在がさらに知られることになりました。
清潔なお水がない、ガスなどが止まりお湯を沸かすことができないなど、粉ミルクを作ることができない状況の中で、液体ミルクは被災地の赤ちゃんやその家族にとって貴重なものになったのではないでしょうか。
さてその形状ですが、キャップを取ると注ぎ口は細めになっており、液だれもなくキレイに注ぐことができました。

白みの強い色で甘味がしっかり。パッケージも北欧らしい色使いが可愛らしいですね!

4、Babience:韓国No.1シェア

お隣の韓国では、ここ数年で急速に液体ミルクの需要が上がっているそうです。
たくさんのメーカーが参入する中、トップシェアを誇るLG生活健康社の「Babience(ベビオンス)」は、なんと9割近くのシェアを占めているとか。
今回は12か月から24か月用のものを購入しました。
ペットボトルに入った240mL6本セットで、ニップル(乳首)がひとつ付属しています。こちらは使い捨てではないようなので、ケースなどに入れて持ち歩く形になりそうですね。
お値段は現地購入で1本当たり200円ほど。こちらは現地で購入して郵送したのですが、液体は料金が割増しということで、結果的に商品代金よりも送料の方が高くついてしまいました。このあたり、各国事情が違うようなので確認が必要です!

中身はほかのミルクと比べて茶色がかっているのが特徴でした。甘いにおいがありますが、薄めの味でした。

舌触りはほかと変わりなかったのですが、容器の沈殿が一番あったので、飲むときはよく振ることが大切ですね。
5、IMPERIAL XO:韓国の液体ミルクパイオニア

韓国で最もはやく液体ミルクを製造販売したという南陽乳業の「IMPERIAL XO」。
現地の価格で1本当たり160mL約125円でした。こちらも配送する際には送料などが上乗せされます。

Babienceと同じように、6本セットの中にニップル(乳首)がひとつ付属してきました。

同じ韓国メーカーのBabienceとはペットボトルの口径が同じため、ニップルの交換ができましたが、他国メーカーの哺乳瓶型ボトルとは口径が違うために交換することはできませんでした。(左がAptamil、右がBabience)
ちなみにアメリカでは国内メーカーが哺乳瓶の口径の規格を合わせているそうで、どのメーカーにも共通したニップルが対応するそうです。これは便利!

ニップル(乳首)はパッキングされており簡単に開閉できました。

清潔なままニップルを取り付け……

ミルクの準備が手軽にできました!
ニップル用のケースがないので、手持ちのものでカバーする必要がありますね。

ミルク自体は、今回取り寄せた8メーカーの中で一番茶色に近い色でした。粉っぽいにおいと薄めの味ですが、舌触りはサラサラとしています。
6、BEBA:ベビーフードのエキスパート

ドイツで145年以上の歴史を持つドイツネスレ社が運営するミルクメーカー「BEBA(ベーバ)」。
HAの文字は、ミルクアレルギーなどに対応していることを示しています。
輸入時の購入価格は1本90mLで580円プラス送料。日常使いするには……高いですね。

キャップを開けるとホイルでパッケージングされていて、衛生的。ホイルのつまみ部分を使って開ければ簡単に開けることができます。

薄味で甘味よりもミルク感が強く、粉っぽいにおいが目立っています。
ミルクの色は8つのメーカーの中で一番日本のものに近い感じがしました。隣に置いた「IMPERIAL XO」と比べるとだいぶ色味が違うことがわかります。
7、Hipp:オーガニックにこだわる

オーガニック製品が今ほどスタンダードではなかった50年以上前から有機農法をはじめている「Hipp(ヒップ)」では、乳児用ミルクの元となる牛乳にもこだわり、有機農法のガイドラインに厳密に従っている農場のミルクのみを使用しています。

フタの形状は簡単なものですぐに開けることができましたが、ホイルにつまみ部分がないため開けにくさがありました。

そのために開封の際、手が容器の口についてしまうので衛生面に気をつけて開けるのに注意が必要です!
茶色がかったようなこっくりした色味でにおいはほとんど感じられませんが、ミルクの味がほかよりも濃く感じました。
輸入時の購入価格は1本90mLで580円プラス送料。こちらも日常使いするには……高いですね。
8、Gerber:アメリカで人気のメーカー

アメリカでは液体ミルク、粉ミルク、濃縮ミルク(水で薄めるタイプ)が乳児用ミルクとして販売されています。
先に紹介したSimilac(シミラック)のほかに、Emfamil(エンファミル)やこちらのGerber(ガーバー)などが多く親しまれているそう。Gerberでは、ガスがたまった赤ちゃん用、牛乳アレルギーの赤ちゃん用などさまざまな種類のミルクを取り扱っています。

開け口ですが、粘着力が強く、カバーをはがすと口周りのビニールも一緒についてくる状態に……ビニールが残ってしまい、注ぎにくくなってしまいました。

色味は牛乳のような白さ。においと味ともにしっかりめで、ほかに比べても濃い味でした。
こちらは今回取り寄せた中で唯一フタなどがないタイプ。飲みきることが必要で、余った場合などには不便さを感じました。
輸入時の購入価格は1本250mL当たり645円。こちらも日常使いするには、割高ですね。
9、並べてみました!

液体ミルクは製造工程の中で滅菌をする際に茶色っぽくなってしまいます。成分や栄養には全く関係がないのですが、ママたちの中には気になる人も多いかもしれませんよね。
上の写真の右が日本の「明治ほほえみ らくらくキューブ」、左がドイツの「BEBA」。
若干、「BEBA」が黄色っぽく感じられますが、よく見ないとわからないレベルでした。

今回集めた全8種類のミルクを並べてみると、全体的に茶色がかった印象はあるものの、メーカーによっては日本の粉ミルクと変わらない色味のものもありました。
まとめ

日本では未発売の乳児用液体ミルク。
現地での値段は粉ミルクよりも高めの値段設定でした。日本で使用するために個人輸入や現地調達での輸送となると、送料がかかるために1本当たりの値段がさらに高くなり日常的に使うには現実的ではないように感じました。
8種類の乳児用液体ミルクは、どれも基本的には母乳に近い成分で作られているため大きく違いはありませんでしたが、それでも成分、色、味、パッケージデザインの違いや、取り扱いやすさなど、細かなところでそれぞれのメーカーが特色を出しています。
日本のメーカーが発売することになれば、どのような液体ミルクが登場するかが楽しみです!
【参照】
Aptamil https://www.aptaclub.co.uk/
Similac https://similac.com/baby-formula
Valio https://www.valio.com/
Babience http://www.babience.com/index.jsp
Hipp https://www.hipp.de/milchnahrung/produkte/hipp-combiotikR/
Gerber https://www.gerbergoodstart.com/
液体ミルクの製造・販売に向けて署名活動を始め、国やメーカーを動かすきっかけを作ったのは、一人のママでした。
次回は、乳児用液体ミルクプロジェクト代表の末永恵理さんのインタビューです。