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いつだって腕は限界だった【連載・室木おすしの「娘へ。」】
2018.08.20 by 室木 おすし 室木 おすし

いつだって腕は限界だった【連載・室木おすしの「娘へ。」】

この連載は……

イラストレーターで、3歳と1歳の双子の女の子のパパ、室木おすしさんによる育児イラストエッセイ。

娘が将来結婚などして(しなくても)離れていってしまうことが今から心配で、0歳のころから、娘とのあれこれを結婚式で思い出そう!と「娘素材集」を頭の中にコツコツと作っている、という室木さん。

この連載では、よりすぐりの素材をチョイス。

室木さんが娘の結婚式でスピーチとして娘に読んでいるような体でお送りします!

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いつだって腕は限界

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娘へ。

あなたが3歳の頃の夏はとても暑かったことを覚えています。

外に出るとまるで日光を背負うような猛暑で、私たち家族はほとんど外出することもなくクーラーを27度風量2に設定した家でだらだらと過ごしていました。

しかしやはり遊び命の3歳児、うずうずとするらしく、外の気温も知らずに外出したいと訴え始めるあなたでした。

仕方なくコンビニなどの野暮用に付き合わせたものですが、マンションを出るやいなやうだるような猛暑で、ほんの30歩くらい歩くと、

「だっこ…」

と蚊の鳴くような声で求めてくるのです。

外に出たいと言った手前もあるのでしょう、申し訳なさそうに、が、確固たる「この暑さ無理」という信念をその表情に忍ばせつつ伸ばされた両手を前に、甘やかしてはいかんと思いつつも、この状態の娘を歩かせるということの難題を前に最終的には折れて、抱っこに至るのでした。(ちなみに妻はそういう時は絶対に抱っこしませんでした。するとちゃんと歩くというのですからさすがです)

3歳も半ばを過ぎると、はっきり言ってなかなかの重さでした。
腕の筋肉はいつだって限界寸前で、抱っこしていない時も疲れをぬぐい去れない状態でした。

しかしあの頃の疲れが、あの頃の重さが今、無性に懐かしいです。

あの夏のお盆、帰省した静岡のおばあちゃんの家で、あなたと妻と次女と3女と夏祭りへ出かけました。

夜なのに気温も高く、じんめりとした湿度の中、あなたを抱っこして歩いていると、夜空に花火が打ち上がりました。

左手の空には綺麗な月が。路上ではお祭り。そして家族勢ぞろい。

あなたはあなたの大好きなもの大集合の中、
「月が見れて花火があってお祭りなんて、こんなのあんまりないよね!」
と興奮しながら嬉しそうに目を見開いていました。

そして
「楽ちい!楽ちい! ○ちゃん月も花火もお祭りも大好き~」
と体を揺らしながらのりに乗っている娘を抱えている私の腕は、とうに限界を超えている状態でしたが、こんな幸せなことはないと、幸せという名の脳内ドーピングを繰り返し、とにかく長くその状態に浸ろうとしていたことをよく覚えています。

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次の日、腕も腰も終わっていました。

でもまたそうしたいと願うのだから人間とは元来M気質なのかもしれません。

……今度、少しでいいんでまた抱っこさせてください。この際もう腕は壊れてもいいんで。

……笑ってるけど次女と三女もだからね。(引いてる3姉妹と真顔の父)

【続く】
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心の披露宴は心の雅叙園の中、でっかい白いテーブルクロスに何らかのタレをこぼし、「あぁこの洗濯って大変そうだなぁ」と思いつつ
まだまだつづく。

001-illust-05プロフィール

室木おすし

イラストレーター、漫画家。長女と双子の次女・三女の父。
悲しみゴリラ川柳家元。オモコロネットラジオ「ありっちゃありアワー」パーソナリティ。
雑誌やWEBで記事や漫画の執筆をしたり、広告でイラストやGIF動画を作成したりと日々あくせく。
夜泣きのひどい次女の抱っこには定評があり、2018年には生春巻きが好きだという自分の側面にはたと気づいた。

室木 おすし

室木 おすしイラストレーター、漫画家。

長女と双子の次女・三女の父。悲しみゴリラ川柳家元。オモコロネットラジオ「ありっちゃありアワー」パーソナリティ。雑誌やWEBで記事や漫画の執筆をしたり、広告でイラストやGIF動画を作成したりと日々あくせく。夜泣きのひどい次女の抱っこには定評があり、2018年には生春巻きが好きだという自分の側面にはたと気づいた。

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