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液体ミルクを考える当事者が入れ替わる問題だからこそ、活動を続けたい。末永恵理さんインタビュー・後編【特集・液体ミルクを考える・4】

2018.09.04

特集:液体ミルクを考える 

【液体ミルクVo.4】乳児用液体ミルクプロジェクトのこれから

ひとりのママの行動からスタートした液体ミルクプロジェクト。活動を続ける中で、行政やメーカーの動きも少しずつ変わり、今年8月8日には乳児用液体ミルク(液体ミルク)の製造・販売がついに解禁となりました。

とはいえ、店頭に液体ミルクが並ぶまでにはもう少し時間がかかりそうです。

今回は、液体ミルクプロジェクトのこれからについて、末永さんにうかがいました。

液体ミルクの問題は、あくまでも母乳育児を前提に

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(写真提供「乳児用液体ミルクプロジェクト」)

―――法整備が進み、販売まで1年〜1年半ほど。署名もたくさん集まり、着々と法律も整ってきて「乳児用液体ミルクプロジェクト」としてはひとつ段階を上がった感じがありますね。

法律ができれば、もうだいぶ来たかな、という感じがしています。

あとはメーカーさんがやるぞと決めてくれて、普及後しばらく起きるかもしれない問題にも事前に対応出来たら良いなと思っています。

―――具体的にはどんな問題ですか?

例えばですが、あまり赤ちゃんの健康やお世話についてわかっていない人が中心になって液体ミルクの問題を進めてしまうと「じゃあ母乳の人もミルクにすれば良いじゃないか」という考えになりかねないんです。

あくまでも母乳育児が大切だということを前提に、家庭の事情や医学的な理由などでミルクを足す必要がある人に対して、今までは粉ミルクだけだったけれど、液体ミルクも使えるよということを、正しい知識を持って、よい塩梅できちんと線引きしていかなければならないなと思っています。

―――海外ではミルクメーカーがお母さんとの接触を禁止しているところもありますよね。

そうなんです。日本では子どもを産むとミルクメーカーの栄養士さんが調乳指導をしてくれますが、ミルクに抵抗感がなくなる分、母乳をあげる機会が減ってしまう可能性がある、ということで禁止している国もある。

どこまでやるのが日本に合っているのか、母乳の出にくいお母さんも追い詰められないように良いバランスを考えていくことが大切だと思います。

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―――製造販売が始まり市場に液体ミルクが出回り落ち着き始めるころ、プロジェクトの動きはどう変わっていきそうでしょうか。

なんとか販売されて、軌道に乗ったと思えたら……。そこで一旦終わろうかなと思っています。

―――普及活動や勉強会などをこれからも続けていくというのは?

液体ミルク自体を知らない人がまだまだ多い今は、いろいろなところで勉強会をやってもらったりしています。でもいったん市場に出回るようになれば、メーカーの栄養士さんなどの方が詳しくお話してくださると思うので、そこで活動も完了というかたちが良いかなと思っています。

―――そうなんですね。そうすると今は、もう少しで到着するゴールを目指しての活動ということですね。

当事者が入れ替わる問題だからこそ、引き継ぐ人が必要

―――お母さんたちにとって、ミルクって期間の短いものなのでどうしても喉元過ぎれば……になってしまいそう。だからこそミルクについて言い続けてくれているプロジェクトの存在は大きいものだと思います。

署名を始めてから活動を続けているのはそれもあって……。

声をあげ続ける当事者が毎年毎年入れ替わってしまうものなので、引き継ぐ人がいないとせっかく上げた声は流れていってしまうんです。

実際に東日本大震災のときも「あれ、液体ミルクって何でないんだっけ」となって、報道などはされるのですが、そのときに声を上げていたお母さんたちも、やっぱり自身のお子さんが大きくなれば、どんどん次の問題が出てきて忙しくなってしまう。

震災が起こるたびに「そういえば液体ミルク……」というようになってしまいます。

私ひとりでも継続的に情報発信と問合せの窓口を続けていくことで、前に言っていた人とこれから言う人が意識を共有して、知識や人脈を積み立てていけると思っています。

―――署名自体はまだしばらく継続されていかれますか。

近々、ラストスパートでメーカーさんぜひお願いします!というものを呼びかけたいと思っています。
今まで署名はしていなくて、これからお子様ができる予定の方だったり、すでに署名はしてくださった人にも、お友達などにも呼びかけてくださいというようなお願いをしようかなと思っています。

―――過去には女子校の生徒さんたちが、文化祭で液体ミルクについて発表されている様子を拝見しました。

はい。去年ですが、品川女子学院の生徒さんが、 夏休みにいろんなメーカーさんに聞いたり、周りにアンケートを取ったりいろいろと調べて、文化祭で発表してくれました。ミルクだけではなく、母乳や離乳食、さらに育児や家事と仕事の両立についてなど、幅広い視点で将来の子育てのことを考えておられて、若いのに問題意識が高いことに驚かされました。

―――若い世代が興味を持つことは、メーカーさんが動く大きな要素になりそうですね。

数年後、液体ミルクの存在はどうなっているか

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―――熊本地震の際に被災地に送られたのはフィンランドの液体ミルクだったそうですが、フィンランドでは人工乳の9割が液体ミルクだそうですね。

液体ミルクは粉ミルクよりも製造コストがかかるんです。 だいたい粉ミルクの2〜3倍くらいの価格になるそうなんですが、フィンランドでは1.5倍ほどでおさえているそうです。それくらいの差ならということで、ダントツに便利な液体ミルクを使う方が多いようです。

―――日本でキューブ型のミルクが出た時も割高感はありましたがお出かけ先だけはそれを使っているという人も多かったです。

海外の方も、産後すぐやお出かけの時は液体ミルク、普段家では粉ミルクというふうに使い分けしている方が多いようです。

―――少し割高を感じても今ではすっかり多くの人に受け入れられて使われているキューブ型のように、数年後に液体ミルクの存在も普通の状態になっているかもしれませんね。

プロジェクトに寄せられたアンケートをご紹介

ハナコママでも2017年に「液体ミルクを使ってみたい?」というアンケートを取りました。ニュースで取り上げられることも増え、プロジェクトでもここ1年くらいは勉強会など頻繁に活動されていて、乳児用液体ミルクの存在を知る人も増えているようです。

1、乳児用液体ミルクを知っていましたか?
YES…78.3%
NO…21.7%

2、乳児用液体ミルクを知ったきっかけは?
有名人のブログやコラム …13.1%
ウェブニュース・まとめサイトなど …33.7%
自分または知人が海外におり、その国にあった …9.2%
SNSでの署名リンクを見て …33.8%
小池東京都知事の政策に関する報道 …3.2%
2016年熊本地震関連の報道 …16.4%
東日本大震災関連の報道 …18.4%
その他 …3.1%

3、日本にも乳幼児液体ミルクがあったら使いたいと思いますか?
普段からぜひ使ってみたい …39.3%
まずは評判をみて、良さそうなら試してみたい …30.1%
日常では不要だが、災害時の備蓄として置いておきたい …29.5%
使いたいとは思わない …1.1%

4、乳児用液体ミルクを使いたい場面や状況は?
粉ミルクのかわりとして日常的に …23.5%
外出するとき …73.3%
夜中の授乳 …43%
保育者が体調不良のとき …63.8%
時間が足りないとき …36.8%
調乳に不慣れな家族・知人が赤ちゃんを預かるとき …65.5%
災害用備蓄として …87.5%
その他 …0.8%

5、価格がいくらなら、日常で使いたいですか?
150円まで…30.1%
200円まで…44.8%
300円まで…19%
400円まで…2.4%
500円まで…1.8%
その他…1.9%

6、アンケートに寄せられた意見の一部を抜粋
・実際にアメリカで使っていました。本当に便利です。病院でも液体ミルクでした。
・まだ子どもが小さいときですが、車で外出中や規制中などのお湯が手に入りにくいときでも、開封して乳首をつけるだけで飲ませることができ、非常に役立ちました。
・震災のとき清潔な水が手に入りにくくて哺乳瓶が消毒できず困りました。
・現在2歳の第二子が0歳だったころ、夜中のミルク作りが大変すぎて泣きそうでした。暗い寝室でコソコソとミルクを作るため、粉や完成品をこぼしてしまったことも二度三度ではありませんでした。
・海外で売っているのを見たけど試さなかった。理由は一回分の量が多いこと。一度に飲ませたい量は100mL前後なので、小パックが欲しい。また、乳首を洗って再利用できるなど、環境への配慮も欲しい。
・祖母に預けて働きに出るときに粉ミルクだと、粉の分量を間違えたりするから、祖父母に預ける時は液体ミルクだと安心してあずけていられたりする。
・保育園に預けるとき
・災害時に母乳が止まること、避難場所で気兼ねすることはあるのだと思います。
・ゴミが増えること。衛生的だがエコではない。
・うちは双子だったので、授乳時間、必ずひとりは粉ミルクでした。母乳をあげればすむという意見に対しては子どもが必要とする量が常に出るとは限らないということを、授乳の経験がない方々に知っていただく必要があると思いました。
・液体ミルクのマイナス要素は何なのか、はっきり示して欲しい。
・海外の病院で使用されたが、ほとんど飲まなかった。
・いつも買い物をしているお店で手に入れば良いけれど、販売店舗が限定されていると買いにくくなってしまう。
・粉ミルクに比べて割高になると思われるので、経済格差も取り込むかたちで偏見が醸成されやすいと思われる。
・現在母乳とミルク混合なので、常温で飲んでくれるか心配。
・専用乳首が子どもに合うか。種類はどれくらいか。災害用に備蓄する際の賞味期限の長さ。
・手持ちの乳首と交換できると良い。
・滅菌がしっかりされていて、安全に飲めるかどうか。
・取り付ける乳首は、持ち歩き用の専用ケースなどはあるのでしょうか?
・国内の生産が可能なら購入したい。
・価格が高くなりすぎたら、結局は使わない。
・コンビニでも取り扱いが可能ならいざという時にも助かるように思います。
・選択肢が増えるのは素晴らしいことです。
・これから子どもが生まれるので関心があります。
・単純に調乳に時間がかかる。
・冬の夜間の調乳が辛い。部屋が寒いため。
・赤ちゃんが泣いているので、はかって哺乳瓶に入れる際、焦って粉ミルクをこぼしてしまう。
・外出先でミルクを冷やすのに時間がかかる。
・子どもが産まれるのを機に、防災対策として子ども用防災セットを用意しているときに液体ミルクについて知りました。災害時はもちろん、産後の母体の回復、家族の育児参加への足掛け、外出時の荷物軽減で外出の億劫さの緩和など、価格帯にもよりますが、メリットはたくさんあると感じます。

など、賛否たくさんのご意見が寄せられています。

【末永さんが代表をつとめる「乳児用液体ミルクプロジェクト」Facebook】
https://www.facebook.com/milkformulajapan/

【液体ミルク署名サイト】
http://goo.gl/bccuCG

ほんわかとした癒しの雰囲気あふれる代表の末永さん。
しかしそのお話からは乳児用液体ミルクを日本で普及するという、確固たる意志を感じました。

海外で育児を経験した方の中で、便利だという声が多く聞かれる液体ミルク。
次回では海外に住むママたちに聞いた液体ミルクの各国事情をお届けします!
[次回へ続く]

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文・写真/木村一実
Hanakoママ

Hanakoママ (はなこ・まま)編集部

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