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しりとりで、「どうして『ん』で終わるのはダメなの?」と聞かれたら?【コドモのコトバ】

先生おしえて しりとりで、「どうして『ん』で終わるのはダメなの?」と聞かれたら?【コドモのコトバ】

気になってはいるけれど、実のところよく分かってない…。 そんなアレコレについて、ずばり教えてもらう「先生おしえて」のコーナー。

心理言語学の研究者、広瀬友紀さんによる子どもの言葉の話、今回はしりとりについての話題です。

Mother talking to her smiling son sitting on green chair about school

今回はズバリ「しりとりのススメ」。「ことばの決まり」を客観的に捉え、気づき、さらにイジり、遊べる力のことをメタ言語能力といいますが、しりとりではその能力が存分に発揮されます。語を、日本語の基本単位である「拍」(原則、仮名で一文字とする単位)に分解し、最後の一拍を取り出し、それを始まりとする別の語を頭の中の辞書でいかに素早く検索するか。子どもは早い子で3歳頃からこんな高度な操作を行っているのですよ。

このしりとり、メタ言語意識をさらに強化する絶好の機会なのです。例えば「どうして『ん』で終わるのはダメなの?」と、子どもは素朴な疑問を持つかもしれません。「『ん』で始まる言葉はないんだから、しりとりを続けられないでしょ」と答えても、必ずしも納得しないのが子ども。「じゃあどうして『ん』で始まる言葉はないの?」

日本語の拍は原則、母音のみ(ア行)もしくは子音+母音(カ行以下)という形式。「ん」は例外的な存在です。昔の日本語(室町以前)にはもともと無かった音だといわれているのです。「ん」が導入されたのは、違う音が語尾変化した結果か(例:「行かむ」↓「行かん」)、中国から末尾がnである音節が漢語として輸入されたから(「漢語」の「漢」も)。だけどそんな歴史を教わらなくても、「ん」で終わっちゃダメというルールに我々は大きな違和感がありませんよね。日本語の「ん」のこうした特殊性を、無意識に理解していることの表れでしょう。

そこで「なんで?」という問いが子どもから出てきたら、ぜひその疑問を大切にして、教科書的な小難しい正解は出さなくてもいいので「きっとこうじゃないかな」「じゃあもし『ん』で終わってもOKだったらどうなる?」みたいにあれこれ意見を出し合ってみてください。

あっ! でもそういえば、「『ん』で終わってもぜんぜんオッケーさ〜」という方言もあるみたいですね。ん〜…。

※次回もしりとりの話は続きます。どうぞお楽しみに!

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広瀬友紀

ひろせ ゆき〇東京大学大学院総合文化研究科教授。
心理言語学、特に人間が言語を理解するしくみを研究。
2017年8月より8カ月間の在外研究で、ハワイ大学へ。
小3男子の母。著作に『ちいさい言語学者の冒険-子どもに学ぶことばの秘密』(岩波書店)。

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