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「子どもと一緒に過ごす時間が短い」と悩んでいるおかあさんに伝えたいこと【小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て・4】

2018.11.26

話題の書籍『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』を
ウェブで一部公開します!

発売1か月で早くも3刷の書籍『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』が話題です。著者は、慶應義塾大学医学部小児科で医師、教授として活躍され、日本小児学会の会長も務める高橋孝雄先生です。

Hanakoママウェブでは、この書籍の出版を記念して、本の一部をウェブで公開することになりました。

子どもとお母さんの「代弁者」である高橋先生の言葉は、きっと子育てに迷いを感じたときに、寄り添ってくれるものになるはず。遺伝子が持つ神秘的なエピソードは、子育てにプレッシャーを感じているママの気持ちを軽くしてくれそうです。

高橋先生のインタビューはこちら:https://hanakomama.jp/topics/58740/


(書籍『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』 第二章より)

保育園に預けて、働くおかあさん、短くても濃い時間があれば大丈夫です。

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働くおかあさん、ワーキングマザー(ワーママ)は今どんどん増えていて、小さい子どもがいる世代(25~44歳)のおよそ7割でお母さんが仕事をしているというデータがあります。
 
妊娠中から保育園をリサーチして、生まれたらすぐに申し込んでおくことを「就活」になぞらえて「保活」とよぶそうですが、ワーキングマザーの増加に保育園の供給が追いついていないということなのでしょう。
 
出産・育児休暇が明けてすぐのころ。保育園デビューしたばかりの子どもは、しょっちゅう感染症をもらってきます。のどのカゼにはじまり、胃腸炎、RSウィルス、溶連菌、水ぼうそう……。そのたびに欠勤しては同僚や上司に頭を下げ、気を遣い、仕事もたてこんでくる。「なんのために、わたし働いているの?」「こんなはずじゃなかった」と泣きたくなる夜もあるかもしれません。 

でも、これも大丈夫。集団生活に入ったばかりのころは、感染症への免疫がなくて順番に病気をもらいますが、それも一巡すれば落ち着きます。

ワーママは、いつも心のなかで子どもに「ごめんね」とあやまっているそうです。

一緒に過ごす時間が短くてさみしい思いをさせているのではないか、と。きちんと向き合えていないのではないか、と。
 
すでにお話ししましたように子どもを育てていくなかで、絶対にしてはいけないのが「無視」。子どもに「無関心」でいることです。お休みの日もたまった家事に追われて遊びにつれていってやることもできない。それでも、「すまないな」「ごめんね」と子どもを思いやる気持ちがあれば大丈夫。「無関心」な親は、子どものことで悩んだり反省したりしませんから。親が子どもに健全な関心を向けさえすれば、めったなことでは脳も傷ついたりはしません。子どもはそんなにやわではないのですよ。いっぽうで、無関心さの結果、無頓着の表れとしての無視や暴言は、子どもの心に深く突き刺さり、長い間に少しずつ、でも確実に脳を傷つけていくものです。
 
 
さて、あなたが初めてパリへ旅したとします。初めてのシャンパン、最初の朝のクロワッサンとカフェ・オ・レ、初めてのマルシェ、初めてのセーヌ川、初めてのエッフェル塔、初めてのベルサイユ宮殿、初めてのルーブル美術館……。
 
人生初、初めてというのは、何ごとも感動が大きいでしょう。子育ても同じです。

ずっと一緒にすごしていると、どんなにかわいいわが子でもマンネリ化しがち。ママが仕事で忙しくしていると、一緒にすごせる時間が短いからこそ、時間の密度が濃くなると思いませんか。
 
どんなに短い時間でも「やっと会えたね、一緒だね」という気持ちですごせればいいのです。夜、おふろのなかででも、ベッドに入ってから寝るまでのほんの数分でもいいのです。今日1日あったことを聞いてあげてもいいし、好きな絵本を読み聞かせたっていい。朝のほんのひとときだって、子どもはちゃんとママの愛情を感じ取ってくれます。ハグしたり、抱っこするだけでもじゅうぶんです。時間の長短ではなく、どうすごすかだと思います。
 
一緒にすごしている時間だけが貴重なわけではありません。子どものことで悩んでいるとしたら、それだけで愛情の証しなのです。そしてお子さんと〝濃い時間〞を共有できることを願っています。

【次回に続く】

高橋孝雄(たかはし・たかお)
慶應義塾大学医学部 小児科主任教授。医学博士。専門は小児科一般と小児神経。1957年、8月生まれ。1982年慶応義塾大学医学部卒業。1988年から米国マサチューセッツ総合病院小児神経科に勤務、ハーバード大学医学部の神経学講師も勤める。1994年帰国し、慶應義塾大学小児科で、医師、教授として活躍している。趣味はランニング。マラソンのベスト記録は2016年の東京マラソンで3時間7分。別名“日本一足の速い小児科教授”。
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『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』
高橋孝雄 著
マガジンハウス
定価:1,404円 (税込)
https://magazineworld.jp/books/paper/3013/


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高橋孝雄先生のインタビューはこちらから
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