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小学校入学準備・2先取り学習は本当に必要? 小学校入学前にやっておきたいこと【小学校ってどんなところ?・2】

2018.11.05

子どもが小学校に上がる前に知っておきたいこと
第2回 小学校と保育園・幼稚園との大きな違いって何?

保育園・幼稚園ママにとって、小学校は未知の世界。わが子が小学校に上がるのは楽しみな反面、「うちの子、ちゃんと学校生活になじめるかしら…」と不安なママもいるのではないでしょうか。

この連載では、先輩の小学生ママや先生の声なども参考にしながら、最近の小学校の様子について考えてみたいと思います。

小1プロブレムの原因は家庭のしつけと環境の激変?

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小学校に入学したばかりの新一年生が、集団行動がとれない、授業中座っていられない、先生の話を聞けない……。このような状況は、“小1プロブレム”と呼ばれ、今から10年ほど前に、東京学芸大学が実態調査を行ったことから注目されるようになりました。

参考資料「小1プロブレム研究推進プロジェクト」:http://www.u-gakugei.ac.jp/~shouichi/

調査によると、小1プロブレムの原因は「家庭のしつけ」や、子どもに「自分をコントロールする力がついていない」ことなどが上位に挙がっていますが、保育園・幼稚園と小学校の生活が大きく異なることも一因だと指摘されています。

教育方針と生活パターンが大きく違う!

保育園・幼稚園と小学校では何が違うのか、都内の小学校に勤務するT先生に聞いてみました。

最も違うのは、「教育方針」と「1日の過ごし方」。

まず、教育方針。

「幼児が自主的に遊べる環境を与え、遊びを中心とした生活の中から体験を重ね、幼児一人ひとりに応じた指導を行うのが保育園や幼稚園。これに対し小学校は、学習指導要領に基づいて時間割を設定し、各教科の内容を教科書などの教材を使って勉強をします」(T先生。以下「」内はT先生のコメント)

ざっくりいうと、保育園・幼稚園では「遊び」が中心、小学校では「勉強」が中心なのです。

1日の過ごし方も大きく異なります。

「幼稚園や保育園では、大雑把な1日の流れは決まっていますが、子どもの興味・関心や、その子の状態に合わせて柔軟に変更されることも多いです。一方小学校では、時間割が決まっていて、それに合わせて集団行動をするのが基本。授業は週ごとに学習の目標を設定し、到達できるよう進めていきます」

これもざっくりいうと、保育園・幼稚園の生活は「自由度が高い」けれど、小学校では「規則正しい集団生活」が基本。

まさに小学校入学は、180度の大転換といえそうです。

子どもがスムーズになじめるよう、学校側でも工夫

「45分間ずっと席に着いて、先生の言うことを聞いたりみんなと一緒に活動することは、お子さんにとってとても大変なこと。そのため本校では、入学当初は、10分~15分を1コマと考え、幼稚園や保育園のときと似た、体験的な活動を多く取り入れて、楽しく学習に取り組めるような工夫をしています」

T先生の学校に限らず、小1プロブレムが話題になった頃から、多くの学校で、子どもがスムーズに小学校生活になじめるように「幼小連携」の工夫がされています。ちょっと安心ですね。

家庭で準備できることは?

小学校に入って戸惑わないように、家庭ではどんなことをすればいいのでしょうか。T先生に聞いたところ、5つのポイントを教えてくれました。

1.生活のリズムを身につける

決まった時刻に寝て、決まった時刻に起きる。朝ごはんを食べるなど。

2.自分のことは自分でできる

着替え、脱いだものをたたむ、ボタンを留める、身の回りの整理整頓など。

3.楽しく食べる 

決まった時間内に食べる(給食は20~25分)、好き嫌いをなくす、お箸、スプーン・フォークを正しく使うなど。

4.元気に話し、しっかり聞ける

「はい」と元気な返事、あいさつ、自分の名前を言える。人の目を見て話が聞ける。
「トイレに行ってきます」「○○をください」「○○が痛いです」など、必要なことが言えるようにしておくことも大事!

5.基本的な生活スキル

ハサミで切る、紐を結ぶ、雑巾をしぼる、和式トイレを使えるようにしておく、友だちと仲良くできるなど。

先取り学習は必要?

読者アンケートでも気にしている人が多かった、ひらがなの読み書き、計算、時計の読み方などについては、あらかじめ準備したほうがいいのでしょうか?

「自分の名まえを読めるようにしておくことは必要。計算の予習をする必要はありませんが、普段の生活で、たとえばお菓子をくばったり、積み木を数えたりする中で、数の多い・少ない、増えた・減ったなど、具体的な物のやり取りと数を結びつけておく経験があるといいのでは? 時計は、リビングなど人の集まるところの壁にかけて、『あと○分で○時だね』など日常の会話の中で、自然と覚えていくといいですね」

ちなみに、ベネッセ次世代育成研究所の調査によると、年長さんで自分の名前が読める子は約99%、ひらがなを読める子は約95%、指やおはじきを使って足し算引き算ができる子は約87%。何も準備をしないのは不安になる数字ですね。読者アンケートでも、幼児教室や、幼児向けの通信教材、ドリルを使って予習している人はけっこういました。子どもが楽しくできるのなら、やらせてみてもいいのかもしれません。

参考資料 ベネッセ次世代育成研究所「幼児期から小学生の家庭教育調査・縦断調査」:https://berd.benesse.jp/jisedai/research/detail1.php?id=3684

先取り学習よりも、T先生が気になっているのは、子どもたちの自然に触れる機会が圧倒的に減っていること。

「旅行など特別な体験でなくても、普段の生活の中で、虫をつかまえたり、草をひっこぬいてみたり、水たまりに足をつっこんでみたりする経験で自然を実感し、五感を通して体で感じることの尊さを大切にしてほしい」とのこと。

最近では様々なメディアを通して、いろいろなことを知っている子どもは増えているけれど、そこで満足してしまうことが気になる、とも。

「知っているだけで満足して、興味をなくしてしまうお子さんがいるのは残念。見るだけ聞くだけではなく、五感を通して体で感じて体感していろんなことに興味を広げていってほしいと思います」

“生活の中で自然に”がポイント

入学までにやるべきこと、たくさんありそうですが、よく見れば簡単なことばかり。「入学準備をしなければ」と気負うのではなく、“生活の中で自然に”がポイントのようです。

「子どもと一緒にやりながら、できたことをほめ、できないことは励ましながら自信をもたせていくことが大切です。くれぐれも『できなかったら、学校に入れませんよ』などと言って、プレッシャーを与えないように。子どもはゆっくりと成長していきますから」


参考資料 就学前教育カリキュラム 改訂版(東京都教育委員会)
http://www.kyoiku.metro.tokyo.jp/school/document/pre_school/curriculum2.html
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石井 栄子(いしい・えいこ)

3児のママとライターを両立してン十年。『Hanakoママ』では3歳〜5歳向けの「3・4・5」を担当。ようやく子どもたちの手が離れ、趣味に飲み会にと羽を伸ばし中。今ハマっているのはオンライン英会話。もう英語で話しかけられても怖くない!のがささやかな自慢!

Photo by Natsuko Toida

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