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早期教育にほとんど意味なし。子どもたちの財産になる教育とは?【小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て・6】
2018.12.10 by Hanakoママ Hanakoママ

早期教育にほとんど意味なし。子どもたちの財産になる教育とは?【小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て・6】

話題の書籍『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』を
ウェブで一部公開します!

発売3か月で4刷の書籍『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』が話題です。著者は、慶應義塾大学医学部小児科で医師、教授として活躍され、日本小児学会の会長も務める高橋孝雄先生です。

Hanakoママウェブでは、この書籍の出版を記念して、本の一部をウェブで公開することになりました。

子どもとお母さんの「代弁者」である高橋先生の言葉は、きっと子育てに迷いを感じたときに、寄り添ってくれるものになるはず。遺伝子が持つ神秘的なエピソードは、子育てにプレッシャーを感じているママの気持ちを軽くしてくれそうです。

高橋先生のインタビューはこちら:https://hanakomama.jp/topics/58740/


(書籍『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』 第二章より)

人よりちょっと早くできるようになるだけ。早期教育はほとんど意味がありません。

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まだオムツをつけてよちよち歩いているうちから、月曜日は幼児教室、水曜日はリトミック、土曜日はベビースイミングと、早期教育にずいぶん熱心なおかあさんがいます。もう少しお家でのんびりすごしたり、公園でゆっくりと子どもの遊びにつき合う時間をつくればいいのに……と思いますが。

子どもに十分な時間とお金をかけて「失敗のない子育て」をすることこそが、なにより大切と考えているのでしょうか。「あとで後悔したくない症候群」ですね。でも、彼女たちはご存じでしょうか、早期教育にはほとんど意味がないことを。
 
第1章でお伝えしたように、子どもの能力や才能、そして性格までもが、環境要因よりも、むしろ遺伝子の力で大きく左右されるのです。

子どもが育つ環境のなかでも、教育環境がとても重要であることは確かです。だからといって、半年でも3か月でも先へ先へ、ごく早期から質の高い教育を施すことが、子どものその後の人生を左右するという考えは、基本的には間違っているように思われます。

理数系が得意か、文科系が得意か、これは教育効果よりも生まれつき決められている部分のほうが大きいのです。運動能力、音楽や美術のセンスなども、とくにプロを目指すぐらいのレベルであれば、持って生まれた資質によって大きく左右されます。
 
教育熱心なおかあさんを批判しているわけではありません。子どもへの愛情が「将来、苦労させたくない」「豊かな生活をさせてあげたい」という思いとなり、その結果、早期教育を始めたのでしょうから。

親として子どもにやらせてみたいことがあるなら、どんどんやらせてみたらいいと思います。ただし、みんなよりも早くできるようにはなっても、それ以上でもそれ以下でもないのです。

たとえば、1歳から水泳を始めても、両親が平均的な運動能力の持ち主だとしたら、子どもがオリンピック選手になれるかというと、その可能性はそれほど高くはないでしょう。

それは勉強も同じこと。幼稚園のころから算数をやらせたからといって、数学者になれるかというと、そうはいきません。小学校に入学した当初に、計算問題を解くのがほかの子どもたちよりも少し得意、といった程度でしょうか。

ひらがなやカタカナも同じ。幼稚園の年中のころに、ひらがなとカタカナの読み書きをマスターしたとしても、そのときは同級生をリードしたところで、その〝貯金〞は、小学1年生の1学期か2学期あたりにはあっさりなくなってしまいます。英語塾に通ってアルファベットが書けるようになっても、数を英語で数えられても、ちかい将来、外国人と英語でコミュニケーションがとれるようになるとは限らないのです。

先取りの早期教育に時間をかけるぐらいなら、子どもには机上では味わえない体験をたくさんしてほしいと思いませんか。砂浜を歩いたら沢蟹がひっくり返っていたとか、野山を歩いたらおかあさんも知らない草花があって家に帰って一緒に図鑑で調べたとか。

画面上を指をスクロールするだけで、世界中のあらゆることが〝体験〞できる時代です。だからこそ、リアルな体験、つまり実体験がたいせつになってきます。視て、聞いて、ふれて、なめて、においをかいで。積み重ねた実体験こそが、子どもたちの財産です。その過程を促すことが教育の基本なのです。

【次回に続く】

高橋孝雄(たかはし・たかお)
慶應義塾大学医学部 小児科主任教授。医学博士。専門は小児科一般と小児神経。1957年、8月生まれ。1982年慶応義塾大学医学部卒業。1988年から米国マサチューセッツ総合病院小児神経科に勤務、ハーバード大学医学部の神経学講師も勤める。1994年帰国し、慶應義塾大学小児科で、医師、教授として活躍している。趣味はランニング。マラソンのベスト記録は2016年の東京マラソンで3時間7分。別名“日本一足の速い小児科教授”。
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『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』
高橋孝雄 著
マガジンハウス
定価:1,404円 (税込)

https://magazineworld.jp/books/paper/3013/


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