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理想が高く、子どもに「もっと、もっと」を求めてしまうママの特徴【小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て・8】

2018.12.24

話題の書籍『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』を
ウェブで一部公開します!

発売3か月で4刷の書籍『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』が話題です。著者は、慶應義塾大学医学部小児科で医師、教授として活躍され、日本小児学会の会長も務める高橋孝雄先生です。

Hanakoママウェブでは、この書籍の出版を記念して、本の一部をウェブで公開することになりました。

子どもとお母さんの「代弁者」である高橋先生の言葉は、きっと子育てに迷いを感じたときに、寄り添ってくれるものになるはず。遺伝子が持つ神秘的なエピソードは、子育てにプレッシャーを感じているママの気持ちを軽くしてくれそうです。

高橋先生のインタビューはこちら:https://hanakomama.jp/topics/58740/


(書籍『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』 第二章より)

理想が高すぎる「あとで後悔したくない症候群」。子育てに、目標到達点はありません。

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「夢をあきらめないで、理想に向かって努力をつづけること」

このセリフだけ見ると素晴らしい人生訓なのですが、これを子どもに押しつけてしまうと、どうなると思いますか?

子どもはみんなおかあさんが大好きだから、けなげにおかあさんの期待に応えようとします。一生懸命に勉強したり、スポーツに取り組んだり、疲れていても家事を手伝おうとしたり、がんばるのです。

しかし、理想の高いおかあさんは、まだまだ物足らず「もっと、もっと」と子どもに求めます。テストで90点をとって、ほめてもらえるはずと見せたら「どうしてこんなケアレスミスをするの? 100点とれたはずなのに残念ね」と言われてがっかり。「平均点は70点で、ぼくが最高点なのに」と心のなかで抗議してみても……。

学校の成績はもちろんのこと、スポーツも万能、クラスの人気者で人望もあって、女の子にもてる。漫画の主人公のような理想像を追い求めてしまうおかあさんがいます。

そこまででなくても、いつもワンランク上、みんなよりも頭ひとつ抜きんでていてほしいと望む「負けず嫌い」なおかあさんは、きっとたくさんいると思います。

ぼくも筋金入りの負けず嫌いなので気持ちはわかります。でも、子どものことで誰かと競い合いたいとは思いませんでした。

なにかにつけ理想が高すぎるひとは、「オーバーアチーバ」のことがあります。彼らはたいへんな努力家で、本来、遺伝子からもらった能力以上の学業成績を修めたり、職場で大きな成果をあげたりします。そうした自分の成功体験を子どもにも、子どもだって努力すればもっと、と躍起になるのでしょう。

おかあさんが「もっと上を目指せ」と尻をたたいても、子どもが期待された通りに努力できないとしたら、おかあさんと同じかそれ以上の負けず嫌いでなければ、いつか燃え尽きてしまうでしょう。おかあさんの理想が高すぎて、子どもがつぶれてしまいそうなときは、おとうさんの出番です。冷静になって、おかあさんが勝手に設定した“到達目標”はいったん撤回してもらいましょう。そして、子どもには“背伸びをさせてきたこと”をきちんと認めて「よくがんばったね」とねぎらいの言葉をかけてあげることがたいせつです。

「アンダーアチーバ」というケースにも少しふれておきましょう。

遺伝子が決めた能力は高いのに、やる気が出ない、勉強や仕事に興味が持てない、などの理由で成果が上がらないひとをさします。やればできるはずなのに、勉強する習慣がまったく身についていないという子どもも、アンダーアチーバなのかもしれません。

ただ、オーバー、アンダーの基準となる“目標到達点”、つまり「アチーブメント」はどこにあるのか。本来は誰にも見えないもののはずです。それなのに、子どもには明確な高い理想をかかげ、叱咤激励するタイプのおかあさん。あなたはきっと「あとで後悔したくない症候群」だと思います。「子どもには後悔させたくない」「今やらなきゃ手遅れになるかも」と、いつも自分で締め切りを作っては、あせって苦しい思いをしているひと。不透明な未来を憂うよりも、今日を楽しくすごしたらいいのに、と思いますね。

【次回に続く】

高橋孝雄(たかはし・たかお)
慶應義塾大学医学部 小児科主任教授。医学博士。専門は小児科一般と小児神経。1957年、8月生まれ。1982年慶応義塾大学医学部卒業。1988年から米国マサチューセッツ総合病院小児神経科に勤務、ハーバード大学医学部の神経学講師も勤める。1994年帰国し、慶應義塾大学小児科で、医師、教授として活躍している。趣味はランニング。マラソンのベスト記録は2016年の東京マラソンで3時間7分。別名“日本一足の速い小児科教授”。
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『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』
高橋孝雄 著
マガジンハウス
定価:1,404円 (税込)

https://magazineworld.jp/books/paper/3013/


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