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子どもの自己肯定感を壊す危険が。親がやってはいけないこと【小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て・10】

2019.01.07

話題の書籍『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』を
ウェブで一部公開します!

発売3か月で4刷の書籍『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』が話題です。著者は、慶應義塾大学医学部小児科で医師、教授として活躍され、日本小児学会の会長も務める高橋孝雄先生です。

Hanakoママウェブでは、この書籍の出版を記念して、本の一部をウェブで公開することになりました。

子どもとお母さんの「代弁者」である高橋先生の言葉は、きっと子育てに迷いを感じたときに、寄り添ってくれるものになるはず。遺伝子が持つ神秘的なエピソードは、子育てにプレッシャーを感じているママの気持ちを軽くしてくれそうです。

高橋先生のインタビューはこちら:https://hanakomama.jp/topics/58740/


(書籍『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』 第二章より)

子どもはみな自己肯定感を持っています。どうかそれを壊さないでください

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子どもの笑顔が例外なくわたしたちの心に沁みこんでくるのは、彼らが自己肯定感に満ちあふれているからでしょう。そう、はじめから自己肯定感がない子どもはいないのです。「自己肯定感」は、遺伝子が責任をもってすべての子どもたちにあたえた、天性のチカラです。

子どもの知能、社会性が発達する過程で、最初に獲得されるのが“ほほ笑み”なのです。生まれて間もなく、すべての赤ちゃんが“にこ~”とします。そして、ほとんどの子どもが生後3~4か月までにはかわいらしい声を出して笑うようになります。これがその後の知的発達を占う、もっとも重要な兆候だと考えられています。

裏を返せば、「笑顔が消える」「表情がなくなる」というのは、子どもにとって最大の危機。SOSサインだと思ってください。

ぼくが出逢ってきたASD(自閉症スペクトラム)やADHD(注意欠如多動症)の子どもたちは、感情のコントロールが苦手だったり、表情が豊かではなかったりしますが、よく見ていると、もって生まれた自己肯定感が低いようには思えないのです。大人たちやまわりの子どもたちに、否定され、けなされる。そんな状況が長く長く続くことによって、自己肯定感が知らずしらずにくずれてしまったり、失われたりするのではないでしょうか。環境を整えずにがまんを強いたり、ストレスをあたえ続けたりしたことによって、本来の障害とは質や程度の異なる問題が生じてきます。これを二次障害と呼びます。非行、犯罪や社会からの逸脱という重大な問題の原因となる二次障害の正体は、実は自己肯定感の崩壊にあったのです。

たいせつな子どもたちの自己肯定感をいかに守り、高めていくのか。ここでは“やってはいけないこと”を中心に、少し具体的にお話しします。子育てにかかわるすべてのひとに知っておいていただきたいことです。

たとえば、おしゃれに興味を持ちはじめた娘が流行りのメイクをして、インスタグラムを参考に洋服を買ってきたとします。「ママ、どう?」と胸に洋服をあてながら、女性としてのロールモデルである母親に意見を求めます。いきなり「なあに、それ、全然似合わない。ヘンだよ」と言われたら、誰だっておしゃれをするのが怖くなったり、恋愛に消極的になったりするのでは。子どもが勇気を振りしぼって「おれ、ドイツにサッカー留学したい」「わたし、アナウンサーになりたい」と言ったとします。頭ごなしに「そんなのムリに決まっているでしょう」と言われたら、親には二度と夢を語るまい、と思うのでは。

馬鹿にしたり、無視したり、怒りをぶつけるように叱ったり。そのような接し方をしていけば自己肯定感はじりじりと確実に下がっていきます。子どもを叱るときには、数秒間、考えを巡らせてからにする。感情的になりそうなときは、ひと呼吸おいて鏡をのぞいてみる。いろんなやり方があると思います。

子どもの心はやわらかく素直なので、いちばん身近にいる母親に否定されたら、そこにあったはずの自己肯定感を一時的にせよ見失ってしまうのです。そのような日常が積み重なっていけば、自分を粗末に扱って、大きなチャンスをふいにするかもしれません。「どうせ自分なんて……」と。

【次回に続く】

高橋孝雄(たかはし・たかお)
慶應義塾大学医学部 小児科主任教授。医学博士。専門は小児科一般と小児神経。1957年、8月生まれ。1982年慶応義塾大学医学部卒業。1988年から米国マサチューセッツ総合病院小児神経科に勤務、ハーバード大学医学部の神経学講師も勤める。1994年帰国し、慶應義塾大学小児科で、医師、教授として活躍している。趣味はランニング。マラソンのベスト記録は2016年の東京マラソンで3時間7分。別名“日本一足の速い小児科教授”。
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『小児科医のぼくが伝えたい 最高の子育て』
高橋孝雄 著
マガジンハウス
定価:1,404円 (税込)

https://magazineworld.jp/books/paper/3013/


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