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誰かがウチの晩ごはんを作ってくれる!? 「コモンミール」のある暮らし【コレクティブハウスで子育て・1】

2019.02.26

この連載は……

コレクティブハウスに暮らすライターで小2男子のママ、吉田ひとみさんが、コレクティブな子育てについて綴ります。


第一回 コモンミールのある暮らし

はじめまして。ライターの吉田ひとみと申します。都内のコレクティブハウスに夫と息子の太郎(小2)と住んでいます。

コレクティブハウスというのは、それぞれの住戸以外に共同で使える大きなキッチンやリビングなどのコモンスペースを持ち、居住者どうしがゆるやかにつながる暮らし方です。よく「ファミリー用のシェアハウスに住んでいるの?」と聞かれるのですが、自宅にはキッチンやバス・トイレなど、ひと通りの設備があり、それ以外にコモンスペースがあるので、シェアハウスというよりは、自分の暮らしと住まいのスペースに、プラスアルファとして、誰かと一緒に作る暮らしの仕組みや、一緒に使えるスペースを持っている賃貸マンション、という感じでしょうか。

コレクティブハウスには、私のようなファミリー世帯だけでなく、夫婦やシングル、学生などいろんな方が住んでいます。世代や立場が違う人たちが暮らすので、それぞれの視点からこの暮らしを語ることができると思います。ここでは私がコレクティブハウスで子育てしているなかで感じることを中心にご紹介したいと思います。

誰かが作ってくれた晩ごはんが待っている幸せ

コレクティブハウスの暮らしで、いいなと思っていることはたくさんあるのですが、誰かに話して一番「うらやましい!」と言われるのは「コモンミール」。私自身もこれは本当にいい仕組み!と思っています。

「コモンミール」というのは、ここに暮らす大人が月に1回、当番制で作る夕食のことです。いま私が住んでいるハウスには、大人が12名住んでいるので、それぞれが1回ずつ作ると月に12回コモンミールが開催されることになります。月に12日、ということは、だいたい週に3日くらい。その日は、自分で夕食の準備をする必要がなく、誰かが作った夕食を食べられるのです! しかも家族みんなの分を申し込めるので、その日は夕飯の支度から完全に解放されます。支度どころか食器片づけからも解放されるんです。素晴らしすぎる! もちろん12回のうち1回は自分に当番が回ってくるわけですが。その当番の日のようすは、あらためてご紹介しますね。

コモンミール(住んでいる人たちは「ミール」と呼びます)は、コモンキッチンで調理します。自宅のキッチンよりずっと広く、業務用のオーブンや食洗機まであって、「厨房」と呼んでもいいレベル。それで大人数の食事を用意することができるのです。できあがったミールはキッチンに隣接するコモンリビングで食べてもいいし、自宅に持ち帰ってもいい。食べる時間もそれぞれの生活時間に合わせてバラバラです。

たとえば私の場合、平日にミールが開催される日は、学童に太郎を迎えに行って19時に帰宅すると、すでに何人かが食べていることが多いです。

いったん自宅に戻って荷物を置き、軽く支度をしてコモン(コモンキッチンとコモンリビングのスペースを合わせて「コモン」と呼んでいます)に向かい、そこで晩ごはんです。

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コモンキッチンに行くとこんな感じで、一人分に盛り付けられたミールが並んでいます。これに各自がご飯と汁ものをよそって、晩ごはんです。

太郎にとっても、ミールの日は、ここに住むほかの子どもたちと一緒にご飯が食べれるというお楽しみの日。親子で並んでテーブルを囲むこともありますが、親から離れて年齢の近い子たちと小さなテーブルを囲んで食べるのが最近のお気に入りです。

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男子3人で仲良しく食べていたところ、カメラを向けたら逃げられました……。

私もここに住んでいる誰かとテーブルを囲みながら、その日のメニューについて話をしたり、近所の新しくオープンした店はどうだとか、最近見ているドラマはどうだとか……。そんな何気ない会話をすることで、家族だけの晩ごはんとはちょっと違う時間が流れる。晩ごはんの支度から解放されるだけでなく、職場とも家の中とも違う場所があるのもいいなと思っています。

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みんなでひとつのテーマでしゃべって盛り上がるときもありますが、話す人、一人で過ごす人、それぞれが好きなように過ごせる雰囲気も気に入っています。
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ある日のメニュー。みそかつ、大根と昆布のきんぴら、千切りキャベツ、ふろふき大根、みそ汁。これにグリーンピースの洋風煮もつきました。みそが絶品!で、どうやって作るんですか?なんて話で盛り上がったりします。これが1食あたり425円、子どもは量を減らしたものを200円で食べられる仕組み。現金のやりとりは管理が大変なので、ここのコレクティブハウス内の地域通貨を使って支払います。

働くおかあさんにとって、日々の夕飯の献立を考え、調理して片付ける、というサイクルはかなりきついけれど、子どもが食べる、と思うと、投げ出すわけにもいかない。それで、作り置きや総菜、冷食、外食などの力を借りながらなんとか回しているかたも多いと思います。私の場合は、週に3日ミールがあるおかげで、夕飯のサイクルを回せている気がします。それでもなお、総菜や冷食の力を借りているので、ミールがもしなかったら我が家の夕飯がどうなるか想像がつきません。

……というくらい、子どもを抱える私にとって「命綱」のような存在のミールですが、このハウスに暮らすほかの人にとってそこまで大きな意味があるかどうかはわかりません。実際、子どもが生まれる前もここに住んでいましたが、当時は「週末はミールよりも外食したいから出かけようかな」なんて日もけっこうありました。ミールの重みが全く違う……。でも、使い方はどうあれ、コモンミール、という仕組みが、ここに暮らす人たちをつなげるものになっていると思います。

自分と違う世代や、自分と違う職場環境の人であっても、「同じものを食べている」という共通点がある。晩ごはんを作ってもらい、自分が晩ごはんを用意することもある。そのことが、ただの「おとなりさん」ではない、コレクティブハウスの人間関係を豊かにしているような気がしています。

ミールのある週末は、コモンリビングに人が集まって、ガヤガヤ。アルコールを持ち込んだり、デザートを食べたりとにぎやかに過ごすこともありますが、平日のミールは食べ終わると、さっと家に戻る人が多いです。さらにミールのない日は、コモンスペースを使う人も少なく、私も自宅で夕飯を作り家族で食べるので、家族以外とは話をしないこともあります。そんな日に、自宅の前の廊下で誰かの足音がしたり、気配を感じたときに、誰か帰ってきたのかな?と思う気持ちは、緊張、というより安堵、に近い。

以前、夫婦で暮らしていた一般的なマンションでは、同じフロアの人と言葉を交わす機会もなかったので、廊下に人の気配を感じるとちょっと警戒するような気持ちがあったものですが、ここではその逆。それは、日ごろから一緒にご飯を食べている間柄だからじゃないかな、と思います。

吉田ひとみ
ライター。コレクティブハウス入居のきっかけは、夫に「面白そうだよ」と誘われたこと。ちょっと面倒くさいかも、自分には合わないかも……、と思っていたものの、気づけば入居12年目に突入。途中、息子も生まれました。いまではここの暮らしなしでは生活がまわりません。よく作るミールのメニューは「シンガポールチキンライス」。

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