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娘のしまじろうコンサート in 自宅【連載・室木おすしの「娘へ。」】

2019.01.15

この連載は……

イラストレーターで、3歳と1歳の双子の女の子のパパ、室木おすしさんによる育児イラストエッセイ。

娘が将来結婚などして(しなくても)離れていってしまうことが今から心配で、0歳のころから、娘とのあれこれを結婚式で思い出そう!と「娘素材集」を頭の中にコツコツと作っている、という室木さん。

この連載では、よりすぐりの素材をチョイス。

室木さんが娘の結婚式でスピーチとして娘に読んでいるような体でお送りします!

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コンサートin自宅

 

娘へ。

あけましておめでとうございます。間違えました。結婚おめでとうございます。

あなたが2歳から4歳にかけて、私たち両親の次に密接に関係していたのは、もしかしたら、しまじろうかもしれません。

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あなたは毎月送られてくるDVDに心をときめかせ、しまじろうの近所の発明おじさんであるガオガオさんがずっこけるたびに笑い転げ、恐竜の怖さを知り、音楽にのって踊ることの楽しさを覚えました。

しまじろうの映画がテレビ放送された時は、HDDに録画して何度も何度も見ていました。

大人としては、幼稚園生であるしまじろう達をオリジナルのなんの保証もない発明品で、「いや、それ死ぬだろ」というような冒険に連れ回すガオガオさんの異常さが気になって仕方がなかったものです。

それから、とりっぴいの体型で飛べるっていうのも、ちょっとどうかと思っていました。

そんなことはいいのですが、あなたはとてもしまじろうが大好きになり、毎週土曜日に放送しているテレビ番組も録画して、ことあるたびに「新しいしまじろうある~?」と聞いてきました。

そんなあなたがしまじろうコンサートへ行けると知った時の、輝きと言ったらもう、薄汚れた大人にはまぶしすぎて受け止めきれないほど、まっすぐで燦然と光り輝いていたものです。

嬉しくて嬉しくてしょうがないといった具合に肩を上げ、さらに言うと、あなたははっきりと声に出して、「嬉ち~楽ちみ~」と叫んでもいました。

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また、テレビCMでそのコンサートの告知が流れるたび、これ!行くよね~!と嬉しさを噛み締め、あと何回寝たら行ける?などと聞いてくる姿を見てわたしも嬉しくなりました。

大人になると、楽しい予定を楽しいまま受け取れなくなるものです。楽しみであれば楽しみなほど、それが終わってしまう悲しみをどこかで感じてしまったりもしてしまいますから。

嬉しいことが100%混じりっけなしで嬉しいと思える時のあなたに、出会えてよかった。そう思います。

そして、しまじろうコンサートは期待していた通りに楽しかったようで、夢中で見ていたあなたは、終わったあとも興奮冷めやらぬ状態でした。数日たったあとには、家で自演のしまじろうコンサートまで開くようになったのですから。

物陰に隠れているあなたに、観客席(ふとん)から「しまじろ~」と呼ぶと、あなたは「はーい」と言って出てきて「今日は来てくれてありがとう」と挨拶を。そして「まるさんかくしかく」(当時コンサートでやった歌)を歌って、「それじゃあね~」と言って物陰に隠れる。

そんな自宅しまじろうコンサートを日に数十回公演し、妹たちが少し大きくなってからはそこへ妹たちも加わり、しまじろうの両サイドで訳も分からず踊りまくるというてんやわんやの状態になりました。

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同時にわたしにもしまじろうコンサートを公演するように強要し、わたしは何度も何度もしまじろうと呼ばれては「は~い」と言って出てきて、記憶もおぼろげな歌を歌わされるのでした。

そしてそのコンサートは徐々に変貌してゆき、後日とんだ災難を生むのですが、
それはまた次の手紙で。

今日は結婚おめでとう。

【続く】
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心の披露宴は心の雅叙園の中、受付をやっていた新郎の友達と新婦の友達はあとでなんかあるのかなぁなどと邪知しながら
まだまだつづく。

001-illust-05プロフィール

室木おすし

イラストレーター、漫画家。長女と双子の次女・三女の父。
悲しみゴリラ川柳家元。オモコロネットラジオ「ありっちゃありアワー」パーソナリティ。
雑誌やWEBで記事や漫画の執筆をしたり、広告でイラストやGIF動画を作成したりと日々あくせく。
夜泣きのひどい次女の抱っこには定評があり、2018年には生春巻きが好きだという自分の側面にはたと気づいた。

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