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ついスイッチが入ってしまう……。PTA役員になって感じたこと【小学校ってどんなところ?・7】

小学校入学準備・7 ついスイッチが入ってしまう……。PTA役員になって感じたこと【小学校ってどんなところ?・7】

子どもが小学校に上がる前に知っておきたいこと
人をトリコにしまうPTAの魅力とは? ~PTAいる?いらない?【番外編】

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PTAについて2回にわたって書いてきましたが、前回の記事でもおわかりいただけるように、アンケートに長文の自由記入をしてくださる方多数。PTAは、語り出したら止まらない熱いテーマのようです。何がそんなにママたちを熱くさせるのか。深堀りするべく、埼玉県在住のAさんに、PTAの役員経験について語っていただきました。

ささいなことを決めるために膨大な時間が!

Aさんは、お子さんを中学受験させ、小中高から大学まである私立の中学校に通わせています。
Aさんの学校(仮にB校とします)は、クラス委員を6人選出し、そのうち1名がクラス委員長になります。委員は決まったものの、委員長にはなりたがる人がいなかったため、くじ引きで委員長になったAさん。1年間やってみて、「ささいなことを決めるのに、何度も議論して、しかも意見がまとまらない。膨大な時間とエネルギーを費やした」と振り返ります。

「たとえばB校には、毎年、学年の終わりに担任の先生に贈り物をするという習慣があるのですが、卒業年ならまだしも、毎年贈る必要はあるの?いらないんじゃない?金額も高すぎるのでは?と言うと、小学校から上がってきたママが、『これがB校の伝統だから』と譲らない。時計がいい、高級な赤ペンに名入れてしてはどう? 靴下がいいかも、などなど、LINEグループで膨大なやり取りをした末、ようやくお金をあまりかけず、お花を渡すと決まりました。こんなこと、もっと簡単に決まりそうなものなのに、一時が万事こんな調子」とAさん。

結論が出ないままだらだら続くLINEのメッセージ

今や、PTA役員同士のコミュニケーションに不可欠となっているLINEですが、実はこれが曲者(くせもの)。LINEでどんどん議論できればいちいち集まらなくてよく、一見便利なようですが、Aさんによれば

「たとえば『○○のお手伝いに参加できますか?』と投げると、ハイ、イイエの答えが欲しいだけなのに、『その日は○○の用事があって…』に始まり、それぞれの近況報告、それに対する『それは大変ですね~』などの合いの手が入り、結局結論がわからずじまい、ということも…」

仕事中はLINEの確認ができないのであっという間に未読が何十件も貯まり、それを確認して必要な返事をするだけで、何十分もかかってしまうのが常だったと言います。

PTA活動は「無駄が多い」「非効率」と言われているけれど、そういう状況を作り出しているのは、当のメンバーたちなのかもしれません。

反対はするが代案はナシ、言いっぱなしで誰も責任を取らない

また、Aさんはこんな風にも感じていました。

「企業で働いていたら、常にPDCAサイクル(Plan[計画]・Do[実行]・Check[評価]・Action[改善])を回すのが習慣になっているから、何かイベントをしたら必ず、『次はここをこう改善しよう』という提案をするのですが、メンバーたちは『今までどおりでいいのでは?』と改革を望まない。私が何か提案するたびに、嫌悪感を示す人も。どうでもいい言葉のやりとりは延々とするのに、建設的な議論をして、現状を改善しようという発想がない。しかも、反対はするけど代案を出すわけでもなく、誰一人責任を取ろうとしない」

一度、あまりにも反対意見が多く、物事が決まらないので、ブチ切れたこともあるそう。

「『そんなに反対ばかりするなら、私はもう委員長を降りますからみんなで決めてください!』とLINEでマジギレ。すると急に、『ごめんなさい』のスタンプがわーっと来て、それ以来、以前よりはいろいろなことが進みやすくなりました。根っから悪い人ばかりではないんです」

味方づくりのために根回しと派閥づくり!

苦労したのは、小学校から上がってきた“古株(?)”ママ(Yさんとしましょう)。“B校の伝統だから”を盾に、Aさんの言うことにことごとく反対し、他のメンバーたちも皆、Yさんには強く言えない。Aさんは、まさに四面楚歌の状態。

「これは派閥を作るが勝ちだと思い、LINEで裏グループを作り、私の意見にやや近そうな人から巻き込んでいきました。本音のところでは、他のママたちも別にYさんに賛同していたわけではなく、結局全員、私の味方になってくれました」

たかがボランティアのPTAでここまでしなければならないのかと、唖然とする人もいるかもしれませんが、一度でもPTA役員を経験したことがある人なら「あるある」とうなずく話。

あんなに大変だったのに、またやろうと……

AさんのPTA悲話はこの後も延々続いたのですが、こんなに大変だったにもかかわらず、Aさんは来年もやろうかなと思っているそう。その理由は、

「1年でようやくPTAとは何かがわかってきた。2年目はもっとうまくやれそうな気がする。もう一度やってPTA活動を改善したい」から。

あっぱれですね。かくいう私も、会長を3年務めましたが、冷静に考えるとそこまでする必要あったのかな、と思うことも。Aさんもそうなのだろうけど、PTAって、何かスイッチが入ってしまうんですよね。

そんなにも人をトリコ(?)にしてしまうPTAって何?

PTAを経験して思ったのは、価値観の異なる人たちをまとめたり、協力を得たりするには、交渉や根回し、説得、論理的な説明など、いろいろなことをしなければならず大変だけど、できたときには達成感があるし、すごく自分の成長になるということ。

また、PTAって、普通のママたちの集まりではあるけれど、国会の縮図のように感じることが多々ありました。会長になりたての頃、みんなに嫌われたくなくて“いい会長”でいようとしたら、逆に大バッシングを受け、ポピュリズム(大衆迎合主義)の脆さを実感しました。国会中継で、与党が野党から激しく追及されているシーンを見ると、「あ、まさに私も同じ状況!」と思ったり。

そんなこともあり、PTAをきっかけに、世の中のできごとや政治に関心を持つようになったのは一つの利点かもしれません。それが高じて、PTA会長から市議会議員になった人を何人か知っています。

ママ友たちとの友情も、PTAで得たことです。PTA役員になるのは専業主婦のママが多く、最初は、彼女たちのゆったりモードに戸惑ったものですが、教えられることも多く、何でも効率、時短を良しとしてきた自分の生き方こそおかしいのかも、と気づかせてもらいました。

前回紹介した、小学生ママたちのアンケートの中に、「ママ同士でごちゃごちゃ言いながら進める感じもあたたかくて良い」というコメントがありましたが、まさに同感。

PTA役員経験は、リーダーシップや交渉力、コミュニーション力をアップさせる絶好の機会にもなります。だから、自分を成長させるために利用すればいいのです。そういえば、専業主婦だった人が、PTA役員になって必要に迫られてパソコンを使うようになり、その経験が、その後の再就職につながったというケースもありました。私も会長職をやったおかげで、人前でスピーチをするのが怖くなくなりました。

PTA役員の面白さは、自分の力で世の中を変えられること!?

PTA役員の何よりの魅力とは、学校をよくしたいとか、子どもたちのために何かをしたいという思いをきっかけに、「何かを変えようと思えば、自分たちで変えられる」ということではないでしょうか。

自分たちで企画し、計画を立て、議論をし、周囲を巻き込みながら学校をより良く変える。それも自分たちの手で。それができたときの達成感は大きい。

たかがPTA活動という小さな単位だけれど、会社でも、地域でも、国でも同じこと。
学校を変えられたのなら、地域を変える、社会を変えることだってできるかもしれない。そんな気持ちが湧いてきます(だから、議員になる人も出てくるんでしょうね)。

やらされ感で不平不満を言いながら生きてきた自分にさようなら。今日からは自分で何かを変えていく。そういうマインドにチェンジできる、それがPTA活動のすごさであり人をトリコにする魅力なのかもしれません。


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第一回 子どもが小学校に上がる前に知っておきたいこと
第二回 先取り学習は本当に必要? 小学校入学前にやっておきたいこと
第三回 入れるのは大変? 学童保育について教えて!
第四回 学童のいいところ、悪いところ。小学生ママのコメントをご紹介!
第五回 PTAは負担が大きい。それでも「なくなれ!」とは言いきれない理由

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石井 栄子

石井 栄子ライター

3児のママとライターを両立してン十年。『Hanakoママ』では3歳〜5歳向けの「3・4・5」を担当。ようやく子どもたちの手が離れ、趣味に飲み会にと羽を伸ばし中。今ハマっているのはオンライン英会話。もう英語で話しかけられても怖くない!のがささやかな自慢!Photo by Natsuko Toida

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