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娘のしまじろうコンサート in 自宅2【連載・室木おすしの「娘へ。」】

2019.01.28

この連載は……

イラストレーターで、3歳と1歳の双子の女の子のパパ、室木おすしさんによる育児イラストエッセイ。

娘が将来結婚などして(しなくても)離れていってしまうことが今から心配で、0歳のころから、娘とのあれこれを結婚式で思い出そう!と「娘素材集」を頭の中にコツコツと作っている、という室木さん。

この連載では、よりすぐりの素材をチョイス。

室木さんが娘の結婚式でスピーチとして娘に読んでいるような体でお送りします!

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コンサート in 自宅 2

 

あらためて結婚おめでとう。

前回からの続きの手紙を読みます。前回とはなんのことなのかちょっとよくわからないと思いますが、先ほど読んだしまじろうコンサートの話が、「前回」だったのだと思っていただけたらと思います。

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さて、しまじろうコンサートに夢中になったあなたは、毎夜毎晩オリジナルのコンサートにあけくれ、さらにはそのことを私や妹たちにまで強要し始めました。
当初の流れはこのような形でした。

観客(父と妹)から「しまじろーう」と呼ばれる。
手を振りながら出てくる。
今日は来てくれてありがとうの挨拶。
歌の時間。
終わりの挨拶。
去る。

この一連の流れを持ってコンサートと銘打っていたわけですが、やはり何度もやってくると飽きがくるものです。
私なんかは正直言って初日から飽きとの激しい攻防を繰り広げていたわけですが、明らかにウケが悪くなっていくことに娘たちも気づき始めたのです。

すると恐ろしいことあなたは、私にばかり登壇させるようになりました。
たぶん、「自分では新しい何かを発見することは難しい、が、まだコンサートは続けたい、ここは父で様子を見よう。」という脳内の流れがあったのではないかと思うのですが、
あなたは気難しい演出家のように、「次はお父たん」「もういっかい」「もういっかい」と何度も執拗に、コンサートを強行したのです。

指名されて渋々出たのに大してウケないコンサート。
私がジュリーならブチギレていたことでしょう。しかし可愛い娘のため、なんとかこのコンサートを盛り上げようとあれこれ試考錯誤したものです。

ある日のことでした。
たしか日付で言ったら2018年の年末頃です。

かれこれ飽きが来ていたので、間を空けていたコンサートでしたが、その日、数日ぶりにコンサートが開かれる運びとなりました。
久しぶりだったあなたは新鮮な気持ちだったのか、最初こそ嬉々としてしまじろうをやっていましたが、早々に私にやってくれと頼んできました。

しかし、私はすでに完全に飽きていたのです。そんな状態で娘たちを盛り上げる自信はありません。
打破する何かはないのか。もうコンサートの形式などあってないようなものだ、圧倒的な何かさえあれば…

すでにオーディエンスからしまじろうコールが始まっています。
私は脳みそをフル回転させ、ある「答え」にたどり着きました。
これしかない!

「しまじろ~」
呼ばれます。
「はーい!」
いつもどおりに観客の前に出ました。

まずは挨拶。
そしてこの挨拶の部分に私は全精力をかけることにしたのです。

「きょうは来てくれて~ 
ここでためます。
そして「くるっ」と観客とは反対方向に振りむき、中腰の姿勢になりました。

観客はお尻を見ている状態です。

そこへ間髪を入れず、中腰のままお尻を娘たちの顔面の直前まで近寄せて、

「ありがと~!!!」

と言ってお尻を振りまくったのです。
全く意味はありません。ただの「尻ふり」です。しまじろうコンサートの「し」の字も出ない、強引な尻ふり。いや、「し」の字は尻だから出ますけど。

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結果、娘たちは大爆笑でした。
しまじろうだと思っていた人が急にケツを近づけてきて振りまくっているのですから、もう笑うしかないのです。
長女、次女、三女、全員腹を抱えて笑っています。なんと嬉しいことでしょう。

この爆笑尻ふりコンサートはあっという間に娘たちの中でブームになりました。
私にばかりやらせていたあなたも率先して、「きょうは来てくれてありがと~!」と言いながら尻を振っていましたし、次女はちょっと恥ずかしがりながらも、ありがと~と尻を振り、三女はわけもわからず笑いながら思い切りよく尻を振っていました。

その日から何日も尻ふりコンサートはロングランを決め、発起人である私も何度も何度もやらされました。
この尻ふりというのは面白いもので、飽きがきたとしても目の前でずーっと尻を振られるといつか根負けして笑ってしまうというところがあり、私は笑うまで振り続けました。

しかし悲劇はそこに潜んでいたのです。

中腰という姿勢に加え、長時間の尻ふり。

私は、数日後、

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膝をやってしまったのです。

まさか40を手前にして、尻を振り続けて膝をやるとは。
それから1週間以上私は、いろんなことがままならない状態となり、だいぶ不便に過ごしました。

それからは爆笑尻ふりコンサートも控えるようにし、
生半可な気持ちで尻は振るなという教訓を得たのです。

娘へ。
もし将来あなたに子供ができて、尻ふりコンサートを求められても、日に3度までにしたほうがお父さんは良いと思います。

今日は結婚おめでとう。

【続く】
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心の披露宴は心の雅叙園の中、受付をやっていた新郎の友達と新婦の友達はあとでなんかあるのかなぁなどと邪知しながら
まだまだつづく。

001-illust-05プロフィール

室木おすし

イラストレーター、漫画家。長女と双子の次女・三女の父。
悲しみゴリラ川柳家元。オモコロネットラジオ「ありっちゃありアワー」パーソナリティ。
雑誌やWEBで記事や漫画の執筆をしたり、広告でイラストやGIF動画を作成したりと日々あくせく。
夜泣きのひどい次女の抱っこには定評があり、2018年には生春巻きが好きだという自分の側面にはたと気づいた。

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