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ふわっと花のように咲いて、すっと蒸発して消える。名前のない贈り物【ママの読書】

2019.02.27

こんにちは。ハナコママ編集部の宮本です。本の中で見つけた「これはほかのママと共有したい!」と思うフレーズをご紹介する「ママの読書」。

今回は、絵本作家で漫画家のおーなり由子さんの著書『こどもスケッチ』(白泉社)からです。

kodomosketch

赤ちゃんって、泣くときに顔がぶわーっと赤くなるから「赤ちゃん」というのかもしれないな……。生まれたばかりの息子が真っ赤になって泣くのをはじめて見たとき、そんなことを思いました。

子どもが生まれた日から、右も左もわからない、お世話に必死な日々が始まったけれど、赤ちゃん、という生き物を間近で見ることができるのはとても新鮮で、発見がたくさんありました。こんなに小さな体で生きている、ということが不思議で感動的で、寝ているようすも泣いているようすもミルクを飲むようすも、まじまじと見てしまう。でも、母親になったというプレッシャーのほうが強かったので、その感動をかみしめたり、記録したり、なんて時間は実際にはなかったようにも思います。

そして子どもはすぐに成長してしまうから、記憶もすぐに上書きされてしまう。たくさん発見があったはずなのに、思い出せるのは過去1年分くらいまで。悲しいくらいに忘れてしまってるなあ、なんて思っていたときに、おーなりさんのこの本に出会いました。

 みんな消える。すぐ変化していく。思えば日常に変化しないことなんかないのだけれど、このあいだまで赤ちゃんだった人が、気がつくと歩いたりしゃべったりするもんだから、その一瞬に見とれてしまう。笑ったり、怒ったり、おろおろしたり、食べ散らかしたり、大騒ぎのおもちゃ箱のような毎日の中の一瞬。どれも、わざわざ誰かに言うほどではなくて、自分の胸の中にだけ、ふわっと花のように咲いて、すっと蒸発して消える。だけどその時にしか—わたしにしか見られない。こういう名前のない贈り物があるから、日々は、鮮やかにゆれるんだと思う。そして、そんな景色のいろいろが、親たちを支えている気がするのだけれど……大げさかなあ。

『こどもスケッチ』p88より引用

本当にそう。どうでもいいようないろいろがたくさんあって、瞬間的に感動する。それがいま思い出せなくても、そのときどきの自分をたしかに支えているなあと思います。

本のなかには「子どもの姿を紙にスケッチしてみるけれど、絵にすると、見ているときの愛らしい魔法がぜんぜんなくなる」と書いているのですが、おーなりさんのスケッチには「愛らしい魔法」がしっかり残っているような気がします。

歩き始めたころの、後ろから見たまあるいお尻、だっこを嫌がって手を挙げてすり抜けようとする姿勢、斜め後ろから顔を見たときのほっぺたのふくらみ。

自分も写真には収めたはずなのに、見返すとなんか違う。なぜか写真ではとらえられないものがあるように思うのですが、おーなりさんの、やさしい線と色で描かれたイラストの向こうには、見たことのある懐かしい姿が浮かびます。

本文のエピソードにも「そうだったそうだった」と思えることがたくさんありました。

こんなふうないろいろを……どうでもいいような、いろいろを、死ぬ時まで、おぼえていられたらなあと思う。

『こどもスケッチ』p88より引用

親になって大変なこともたくさんあるけれど、おぼえておきたい、と思うこともたくさんある。定期的に読み返したくなる本です。


『こどもスケッチ』
おーなり由子・著
白泉社 1500円(税別)

re宮本博美

宮本 博美(みやもと・ひろみ)

ハナコママウェブ・エディター。小2男子の母。著者のおーなり由子さんを知ったのは、「おかあさんといっしょ」の中で流れた「リンゴントウ」という歌。歌詞と絵を担当されたのがおーなりさんでした。子どもが生後数か月で、疲れとイライラがピークの時期に、「リンゴンリンゴン♪」という明るくてやさしい歌詞が胸にささりました。「ゆきだるまのルー」の歌詞と絵もおーなりさん。こちらも大好きな歌。