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映画「こどもしょくどう」公開記念スペシャルインタビュー「3日間お風呂に入らず過ごしました」鈴木梨央さんインタビュー【前編】

2019.03.25

子どもの立場から「貧困問題」を照らし、私たちに問いかける物語。
映画「こどもしょくどう」主演、鈴木梨央さんスペシャルインタビュー!

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3月23日に公開される、映画「こどもしょくどう」。
先進国にもかかわらず、6人に1人が「相対的な貧困状態」にあるとされている日本において、無料、または安価で子どもたちに食事を提供する「子ども食堂」の活動が全国で広がりつつあります。
子どもの視点から「貧困」という問題を照らし出すこの映画で、初主演を果たした鈴木梨央さん。両親が失踪し、姉妹で生きていこうとする難しい役柄、ミチル役を演じています。その役作りの様子からオフの過ごし方まで、たっぷりとお話を伺いました!

3日間お風呂に入らず過ごしてみました

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−−−初めて台本を読んだときの感想はどうでしたか?

こんなにかわいそうな姉妹が、そしてこんな両親がいるんだ、って胸が痛みました(映画には失踪する親、子どもの育児放棄をする親たちが描かれています)。この苦しい状況と、その中でもお母さんに会いたい、会いたいって思っている気持ちがあるのが印象的でした。ミチルという役をしっかり演じて、映画を観る人に伝えなくちゃと、心から思いました。

−−−ミチルは母が失踪し、父親とまだ幼い妹とともに車中泊をしながら河原で暮らしているんですよね。その後、父親までもが失踪してしまう。自分自身の体験と重ねて、というのが難しい役柄だったと思いますが、どうやってつかんでいったのでしょう?

台本を何度も何度も読んで、ミチルの心の中をよく考えました。ミチルは、セリフがすごく少ないんです。でも、台本の「・・・」の中に、ミチルの思っていることが詰まっていて。セリフはないけれど、どんなことを考えているのか、どんな気持ちでいるのかを想像しながら、目や表情で表現するのが難しかったです。

あとは、ミチルになりきろうと、お風呂に入らないで過ごしてみたんです。
車中生活をしていたミチルは、きっとお風呂に入れず、公園の水道で髪を洗う程度だったと思います。だから自分でも体感してみたくて。
でも3日が限界でした(笑)。

徐々に心を開いていくミチルの気持ちを想像しながら

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−−−そのほか、苦労されたところはありましたか?

ミチルは、つらい生活をしているけれど、お母さんと楽しく過ごしていた背景もあるんです。ずっと暗い女の子だったわけじゃないんですよね。
だから、自分にご飯を食べさせようとしてくれるユウタと出会って徐々に心を開いて、気持ちの変化が出てきます。その「徐々に」が難しかったです。
しかも撮影では、最初から順番に撮っていくわけではなくて、最後の方を先に撮ったりもして。この段階では、どんな気持ちだったか、と変化をつかむのに苦労しました。
お母さんとセリフの練習をたくさんしたので、そのときにアドバイスをもらうこともありました。

何かに悩んだら、相談するのはまず、お母さん

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−−−お母さんが一番の練習相手であり、理解者なんですね。
今回の映画の中では、いじめを見て見ぬ振りをしてしまうシーン、悩みや体の変化にぶち当たった時に、どうまわりの大人に伝えるか、大人は子どもにどう接したらいいのかも考えさせられる場面がたくさんありました。
梨央さん自身は、悩んだ時にどう接してもらうのが嬉しいですか?

私は、悩み事とか困ったことがあると、真っ先にお母さんに相談するタイプなんです。
大人の意見を聞くと、自分が思っているよりも答えが見えてくることもあるし、自分だけで抱え込むよりも、大人のアドバイスが大切なのかも、って思います。

−−−小さい頃からお仕事で大人に囲まれていたことも大きいのでしょうか?

うーん、どうでしょうか。でも、お母さんには何でも話しやすかったです。
学校で何か困ったことがあっても、お母さんに話すと気持ちが楽になるんです。

「子ども食堂」という存在と役割を、もっと広く知ってもらえたら

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−−−今回の映画をたくさんの人に見てもらうにあたって、梨央さんが感じることをぜひ聞かせてください。

この映画を見たら、きっと考え方が変わると思うんです。
かわいそうだな、って思うだけじゃなくて、考えて、何か少しでも行動に移すきっかけになってもらえたら嬉しいです。同世代の子たちにも、大人たちにも、知ってもらいたいことが詰まっています。

−−−「きっかけ」という意味でも、とても大きな意味がある映画だと思います。知らないと始まらないですもんね。

そうなんです。「子ども食堂」という言葉を、私も耳にしたことはあったけれど、きちんと知らなくて。今回の映画を機に、調べてみたときに、生活に困っていたり、虐待を受けている子たちだけの場じゃなくて、地域のコミュニティの場としても使われていることを知りました。
本当に困っている子って、きっとなかなか子ども食堂に行けないのかなと思ったんですが、行くことで地域の暖かさや、やさしい言葉に触れられるコミュニケーションの場があって、子どもたちが自然に行けたら素晴らしいですよね。
子ども食堂のために、寄付することもひとつかもしれませんし、自分が少し勇気を持てばできることもたくさんあると思います。だから、まずは知ってもらうためにもこの映画がたくさんの人に広まってもらえたら嬉しいです。

続く後編では、春から中学3年生になる鈴木梨央さんが今ハマっていることや、学業とお仕事、そして趣味の時間の取り方など、プライベートについてを伺います。

鈴木梨央

鈴木梨央

2005年生まれ。 2010年5歳の時から芸能活動を開始。 2013年の『大河ドラマ 八重の桜』に出演し主人公の幼少期役、そして2015年連続テレビ小説『あさが来た』で主演の幼少期と娘役を演じ、注目を集めた。2015年には歌手デビューも果たす。同年、アニメ声優を務めた『リトルプリンス 星の王子さまと私』で第68回カンヌ国際映画祭のレッドカーペットを歩いた。今作が映画初主演作品となる。

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映画『こどもしょくどう』
小学5年生の高野ユウト(藤本哉汰)は、食堂を営む両親と妹と健やかな日々を過ごしていた。
一方、ユウトの幼馴染のタカシの家は、育児放棄の母子家庭で、ユウトの両親はそんなタカシを心配し頻繁に夕食を振舞っていた。
ある日、ユウトとタカシは河原で父親と車中生活をしている姉妹、ミチル(鈴木梨央)とヒカル(古川凛)に出会った。ユウトは彼女たちに哀れみの気持ちを抱き、タカシは仲間意識と少しの優越感を抱く。

監督:日向寺太郎
脚本:足立紳、山口智行
出演:鈴木梨央、藤本哉汰(ダブル主演)、吉岡秀隆、常盤貴子 他
配給:パル企画
3月23日より岩波ホールほか全国順次ロードショー
https://kodomoshokudo.pal-ep.com

写真〇村上未知 取材・文〇藤沢あかり