
虫めがねを持って公園に春を探しに行こう!

まだまだ寒い日が続きますが、冬籠りの虫たちが這い出す”啓蟄”の候ももうすぐ。
野の草木や生き物たちは春の準備を始めています。
近所の公園でも見つけられる春について、里山の自然に詳しい浅羽純一さん、木村万璃子さんに聞きました。
一見、生き物がいない冬の公園ですが、木の枝や幹、落ち葉や石の下、木の中などに繭、卵、幼虫が。

木の枝に帯状に産みつけられる『オビカレハの卵』
蛾の卵。カキの木などの小枝に250個ぐらいの卵を環状に産み、越冬します。
蛾の卵。カキの木などの小枝に250個ぐらいの卵を環状に産み、越冬します。

茶色い線がはいった堅い繭『イラガの繭』
蛾の繭。イラガは、木の枝に小さな卵のような形の堅い繭を作って越冬します。
蛾の繭。イラガは、木の枝に小さな卵のような形の堅い繭を作って越冬します。
虫たちはさまざまな工夫をして冬を越しながら春を待っています。

堅いスポンジ状のものにたくさんの卵が包まれて『オオカマキリの卵』
草の茎や木の枝などに産みつけられます。カマキリの種類によって形は異なります。
草の茎や木の枝などに産みつけられます。カマキリの種類によって形は異なります。

石や樹皮の下で成虫のまま冬越『テントウムシ』
木に藁を巻いておくと温かい所を求めて、テントウムシが集まっていることも。
木に藁を巻いておくと温かい所を求めて、テントウムシが集まっていることも。

淀んだ浅い水辺で見つかるよ『カエルの卵』
1週間前後でオタマジャクシになります。写真はアズマヒキガエルの卵塊。
1週間前後でオタマジャクシになります。写真はアズマヒキガエルの卵塊。

落ち葉だまりに、ハナムグリやコガネムシの幼虫が『コガネムシ類の幼虫』
幼虫の姿で越冬し、4~6月にサナギになり6~7月に成虫となって飛び立ちます。
幼虫の姿で越冬し、4~6月にサナギになり6~7月に成虫となって飛び立ちます。
また、葉っぱが落ちた枯れ木もよく見ると、1㎝くらいの小さな冬芽(ふゆめ)が出ているのが見つかります。

アジサイの葉痕と冬芽
冬芽が頭、葉痕が顔のよう。目や口のような模様は、葉に養分を送っていた管の断面。
冬芽が頭、葉痕が顔のよう。目や口のような模様は、葉に養分を送っていた管の断面。
冬芽の下には、葉っぱが落ちた痕=葉痕(ようこん)があり、これをよく見ると、小さな顔のように見えるそう。
「木の妖精を探すつもりでいろいろな木の葉痕を探してみて」と浅羽さん。
なんだか楽しそう!日差しが温かい日には、虫めがねを持って春を探しに出かけませんか?

[お話を聞いた人] 浅羽純一さん・木村万璃子さん
「自然と遊ぶ、自然に学ぶ、自然とともに生きる」がテーマの足立区都市農業公園の案内人。
公園には茅葺の古民家や農園があり農業体験もできます。
公式HP:www.ces-net.jp/toshino/
イラスト○亀井英里 取材・文○石井栄子