働くママのウェブマガジン

Papa​パパの子育てを応援するコラム&トピックス

次女へ。マタギだったあの頃もお父さんは大好きでした【連載・室木おすしの「娘へ。」】

2019.03.14

この連載は……

イラストレーターで、3歳と1歳の双子の女の子のパパ、室木おすしさんによる育児イラストエッセイ。

娘が将来結婚などして(しなくても)離れていってしまうことが今から心配で、0歳のころから、娘とのあれこれを結婚式で思い出そう!と「娘素材集」を頭の中にコツコツと作っている、という室木さん。

この連載では、よりすぐりの素材をチョイス。

室木さんが娘の結婚式でスピーチとして娘に読んでいるような体でお送りします!

001-illust-01

「思い出のマタギ」【第23通目】

180606-001

娘へ。(次女)

あんなに泣いてばかりいたあなたが今このような場所で、綺麗なドレスを着てたくさんの人に囲まれているなんて、2歳そこらの頃には全く想像ができませんでした。

あなたは、0歳の頃から頻繁に泣いていて、夜中には必ず2回は泣き出し、父と母の睡眠を容赦なく奪う娘でした。
夜中に泣くとミルクを飲まなければ泣き止まないので、その度にミルクをあげていたら、双子の三女よりあきらかに重くなり、
長時間抱っこしていると、「子泣き爺」ってこんな感じかな?と想像してしまうほど、上腕二頭筋にくる娘でした。

190312-01

1歳ぐらいの頃になると、あなたは攻撃性がまして、三女や長女の髪を掴むは叩くわ、おもちゃを取るわと、やや暴君として我が家に君臨していました。
一度リモコンの角で三女を叩いて大泣きさせたこともあります。思いっきり噛み付いて流血させたこともあります。
このままいくとアメリカ映画の特殊部隊に所属する灰色のタンクトップを着た女のようになるのではないかと、ドキドキしていたものです。

それでいて、誰よりも甘えん坊なところもあり、私にしょっちゅう抱っこを求めてきたので、いい筋トレになりました。
そのため私はあなたを見るとなんだか、持ち上げたくなってしまうのです。

その頃、私の母、あなたたちにとってのバアバが3人娘たちにチョッキを作ってくれました。
とても可愛く、皆気に入ってよく着ていました。
その中にひとつ茶色がベースのごちゃごちゃっとしたデザインのチョッキがありました。なんとなくそれをあなた(次女)がよく着ていたのですが、私は何かに似ているなと思っていたのです。

190312-02

ある日、あなたたち娘が 布団の積み重なったところで遊んでいた時のことです。
三女が遊んでいたおもちゃの銃を、強引に奪ったあなたは布団の山を登っていきました。

私は布団の上に登ったあなたを見て、「ああ」と思ったのです。

あれだ、ドラマの「TRICK」で出てきた、山の上の小屋に一人で住むマタギのおじさんに似ているんだなぁ。と。

そう、茶色のチョッキを着たあなたは「TRICK」の山の上の小屋に住むマタギのおじさんに似ていたのです。
すみません。若い人には何を言っているのかさっぱりわからないことを2回も言ってしまいました。

190312-03

 
あなたは布団の山の上銃を肩に担ぎニヤリとしました。

その姿は名の知れた牢名主のようでもありました。

今、あの頃の私に言ってあげたいです。
心配することないぞと。
娘は、マタギでも、牢名主でもなく、素敵な花嫁さんになれたよと。きっとほっとすることでしょう。

結婚おめでとう。
でもマタギだったあの頃もお父さんは大好きでしたよ。

【続く】
________________________________________

心の披露宴は心の雅叙園の中、会場のカメラマンなのかカメラ好きの来客なのかわからない奴がいつもだいたいいるな、と思いつつ、
まだまだつづく。

001-illust-05プロフィール

室木おすし

イラストレーター、漫画家。長女と双子の次女・三女の父。
悲しみゴリラ川柳家元。オモコロネットラジオ「ありっちゃありアワー」パーソナリティ。
雑誌やWEBで記事や漫画の執筆をしたり、広告でイラストやGIF動画を作成したりと日々あくせく。
夜泣きのひどい次女の抱っこには定評があり、2018年には生春巻きが好きだという自分の側面にはたと気づいた。

「娘へ。」連載一覧