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教育改革特集~取材こぼれ話教育改革に向けて先生の働き方も改革!? ママたちにもぜひ知ってほしい、先生が働き方改革をするべき本当の理由

2019.05.06
教育改革

もはや過労死レベル? 先生の長時間労働

4月8日配布号のHanakoママでは、教育改革を特集しました。

2020年度から学習指導要領が新しくなり、子どもたちの学校での学びが変わるそう。詳しくは本記事(https://hanakomama.jp/topics/71780/)を見ていただきたいのですが、例えば、子どもたちが自ら考え、友達と議論したり協力して答えを導き出すなど「何を学ぶか」だけでなく「どのように学ぶか」も重視して「主体的・対話的で深い学び」(アクティブ・ラーニング)の視点から、授業の改善が行われるとのこと。
そのために、教育委員会や学校でも、研修や勉強会を行って、新しい教育に備えるということなのですが、ここで問題になるのが、先生たちの働く環境。

文部科学省が10年ぶりに行ったという教員の勤務実態調査で、教員の長時間勤務の実態が明らかになりました。勤務時間の平均は1日11~12時間、時間外勤務は小学校教員の3割、中学校教員の6割が月80時間超え。月80時間の残業は、いわゆる「過労死ライン」と言われています。

確かに、筆者の近所の小学校の職員室は夜遅くまで電気が煌々と点いているし、朝は7時過ぎには校門をくぐる先生をよく見かけます。家を出るのは6時台ということ? 子育て中のママ先生もいるだろうに、大丈夫? と、気になっていました。

部活、行事、電話対応……「教える」以外にもこんなにある!先生の業務

先生方は、こんなに長時間勤務で、授業改善のために使える時間はあるのでしょうか。2020年度からの教育改革に対応できるの? 折しも、4月から働き方改革法が施行され、一般企業では残業時間規制などが適用されますが、学校現場はどうなっているのでしょうか。

教師の働き方改革を担当する文部科学省に聞いてみました。

「一般企業でも、社員の健康管理や生産性向上などの理由から、働き方改革が進められていますが、教師の場合はそれに加え、授業力を磨いたり、子どもたちのよきロールモデルとして自らの人間性や創造性を高めるための時間を確保するためにも働き方改革が必要です。先生方は、1日11~12時間の長時間労働に加え、休日も部活動や地域行事などで埋まっていて、本来の仕事である授業準備もままならないのが現状です」

なぜ先生はそんなに忙しくなってしまったのでしょう。

「授業以外の、登下校時の見守りや、清掃指導、部活動の指導、給食費の徴収や夜間パトロールに至るまで、背負わなくても良い業務まで先生が背負ってしまっているからです。海外の学校ではこれらの仕事は地域コミュニティや外部人材が担っています」

施設設備が不十分なことが長時間労働の原因になっている例もありました。

「ある学校では、授業に使うプリントを先生がコピーする際、コピー機にソート機能がないため、何百枚ものコピーを先生が手作業で帳合していました。ソート機能のあるコピー機があれば、数分で終わる作業に何十分もかかっているのです」

放課後には保護者への電話対応に追われ、その後ようやく、本来の仕事である子どものノートのまるつけや、翌日の授業の準備に取り掛かる。その他、子どもの作品などの掲示物や、学級だよりなど、熱心な先生ほど時間をかけるため負担が大きいといいます。

かくして教師の勤務時間は際限なく長くなっていくわけです。

ついに文部科学省が教師の働き方改革に乗り出した!

かつて、教師の仕事は「聖職」とも言われ、”子どものためであればどんなに長時間勤務もよしとする”という風潮があったといいます。でも、そのために先生が疲弊していては子どものためになりません。職業人として授業力を磨くだけでなく、一生活者として先生自身の人生を豊かにするためにも学校現場の働き方改革が必要!ということで、2016年に中央教育審議会「学校における働き方改革特別部会」が設置されました。

今年1月には「新しい時代の教育に向けた持続可能な学校指導・運営体制の構築のための学校における働き方改革に関する総合的な方策について」答申がまとめられ、これに沿って、学校の働き方改革が進んでいくそうです。

地域ボランティアや保護者、外部人材の活用で先生の負担を軽減

改革のうちの一つが、先生が担う業務の明確化と適正化。
つまり、現状の業務を洗い出し、①学校がやることではない、②学校がやることだが、必ずしも先生がやらなくてもいい、③先生の業務だが負担軽減が可能、の3つに分類し、不要な業務は削減、必要な業務も、地域ボランティアや外部人材などを活用することで、先生の負担を軽減するということ。

たとえば中学校の部活動の指導は、部活動指導員などの専門スタッフや地域のスポーツクラブが担うようにする。掃除や給食の指導、授業で配るプリントの印刷など補助的な業務は、保護者・地域ボランティアや、”スクール・サポート・スタッフ”に手伝ってもらう。

つまり、先生の働き方改革のためには、地域人材や保護者の協力が不可欠のよう。なんだかまた保護者の負担が増えそう…と、かつてPTA役員で苦労した私は身構えてしまうのですが…。

「文部科学省では、部活動指導員には約10億円、スクール・サポート・スタッフには約14億円の予算を計上しています。もちろんお金を出せばそれでいいというのではなく、地域や保護者の方々からのご理解とご協力が欠かせません」

確かに、「今まで学校がやってきたのになぜやらないんだ」「なぜ外部の人にやらせるんだ」という保護者からの問い合わせや場合によってはクレームもありそう…。

「だからこそ、まずは、先生方の過酷な勤務状況を知ってほしい。2020年度からは、新しい学習指導要領がスタートします。新しい時代に生きる子どもたちに必要な、新しい形の教育を担っていくために、先生方には授業力を磨き、もっと上のステージを目指してほしいのです。でも、今の状況ではそのような余裕がありません」

先生の働き方改革は、結局はわが子のため、日本のため

先生にゆとりがなければ、いい教育はできない。それは結局わが子にとっても不幸なこと。
もっと言えば、教育の低下は国力の低下にもつながります。

「なぜ、教員が働き方改革をしなければならないのか、そのために地域や保護者ができることは何か、広く知っていただき、できる範囲で一緒に学校を創っていくためのお手伝いをいただきたいと願っています」

「とにかく先生の現状を知ってもらいたい!」という強い想いから、文部科学省が公式に「学校の働き方改革」のプロモーション動画を作ったのだそう。(こちらでご覧になれます! http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/hatarakikata/index.htm

約17分の動画の中で、先生の働く現状や、これからの教育がどこに向かおうとしているのか、そのために何が必要かが、コンパクトにまとめられています。
「なるほど、だから、先生の働き方改革が必要なんだ、地域コミュニティの協力が必要なのだ」ということがよくわかります。

先生の働き方改革は、単に先生をラクにするという話ではなく、子どもたちの未来にも関わってくる大きな課題であり、避けてとおることのできない問題。

まずは一度動画を見て、知って、理解してほしいと思います。