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「凍るブーム」は突然やってきた。風呂場へ行くと、全裸で固まっていた娘【連載・室木おすしの「娘へ。」】

2019.05.09

この連載は……

イラストレーターで、3歳と1歳の双子の女の子のパパ、室木おすしさんによる育児イラストエッセイ。

娘が将来結婚などして(しなくても)離れていってしまうことが今から心配で、0歳のころから、娘とのあれこれを結婚式で思い出そう!と「娘素材集」を頭の中にコツコツと作っている、という室木さん。

この連載では、よりすぐりの素材をチョイス。

室木さんが娘の結婚式でスピーチとして娘に読んでいるような体でお送りします!

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「凍るブーム」【第25通目】

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娘へ。(長女)

あなたが4歳の頃。お風呂はだいたい妻が入れておりました。私は主に体を拭いてクリームを塗る係りを担当していたのですが、あなたはその頃のことを覚えているでしょうか。
風呂場にはこちらに聞こえる呼び出しボタンが有り、出たくなったらこちらに知らせ、振き側の準備を促すスタイルでした。
呼び出しが鳴る。風呂場へ行く。子供が出てくる。という流れです。

そんな中、そのブームは突如として発生し、そしていつの間にか消えていったのです。

凍るブームです。

ある日あなたは、私が風呂場へ行くと、全裸で固まっていました。

固まる

何をしてるの?と聞くと。
「ののちゃん凍っちゃった!」
と言ったのです。

そんな安易なギャグに、私は不覚にもめちゃくちゃウケてしまいました。だって最高じゃないですか、風呂に入ったばかりなのに凍っていたら。
私がウケたことに、味をしめたのか、それからあなたは毎日風呂上がりに凍りました。

さらに回を重ねるごとに、凍っているポージングもバリエーションを増し、ある日は土下座のようなポーズで、ある日は後ろ姿で、と飽きさせない演出をしてくるのです。
またある日にはあなたが知る由もない立川談志のようなポーズで固まっていたので、私はめちゃくちゃ笑ってしまいました。立川談志のポーズは世代を超えているんですね。

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さてそんな素晴らしき毎日の中、その日の夜も風呂場から呼出音がなりました。
しかし私はすぐに風呂場に行けない状況で、呼出音がなってしばらくしてから風呂場へ行ったのです。

今日も凍っているかな?とゆっくり脱衣所のドアから中を覗くと、まだあなたは出てきていませんでした。
いや、中を見て私は気づきました。
風呂場の扉が少し空いていて、あなたがこちらの様子を伺っていたのです。

ああ、そうか。と思いました。
風呂上りにずぶ濡れの状態で凍っていると、わりと寒いのでしょう、あなたは私が来る直前に凍るように、風呂場でスタンばっていたのです。

凍るスタンバイ。
この世にそんなスタンバイがあったのですね。私はあなたに教えられました。
このスタンバイに応えなくちゃならないと、私はちょっと大きな足音を立て、再度風呂場へ行きドアをあけました。

すると、あなたはさっと風呂場のドアを空け、熟練の凍り師がまるで舞うかのようにすっと凍ったのでした。

凍る

それから数日後あなたは突然凍らなくなりました。

なんで凍らなくなったの?と聞いたら、

もう凍らないよ…
と、なぜかニヤニヤしながら教えてくれました。理由はたぶん飽きたからだと思います。

結婚おめでとう。
思い出すと笑ってしまうたくさんの思い出をありがとう。
第二次凍るブームが来たら教えてください。

【続く】

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心の披露宴は心の雅叙園の中、心の「ホテルインターコンチネンタル東京ベイ」のことも想像しながらまだまだつづく。

001-illust-05プロフィール

室木おすし

イラストレーター、漫画家。長女と双子の次女・三女の父。
悲しみゴリラ川柳家元。オモコロネットラジオ「ありっちゃありアワー」パーソナリティ。
雑誌やWEBで記事や漫画の執筆をしたり、広告でイラストやGIF動画を作成したりと日々あくせく。
夜泣きのひどい次女の抱っこには定評があり、2018年には生春巻きが好きだという自分の側面にはたと気づいた。

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