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子育て疲れで「脳腸疲れ」?精神科医が教える子育て中のストレス対策

2019.05.24
ストレス

子育て疲れで「脳腸疲れ」?精神科医が教える子育て中のストレス対策

子育て中、漠然とした不調に悩まされることはありませんか? 病院に行くまでもない不調は、忙しいと放置しがちですが、仕事や家事のパフォーマンスに影響が及んだり、症状が悪化してしまうこともあるのです。そこで今回は、精神科医の古賀良彦先生に、子育てによるストレスをケアする方法を教えていただきました。

■子育て中に「脳腸疲れ」、起きてない?

みなさんは次のような不調を抱えていませんか?

不眠・頭痛・めまい・動悸・息切れ・胃腸の不調・生理不順・血圧上昇など

このような不調があるにも関わらず、診察や検査を進めてもはっきりとした身体的原因がわからない場合には、心理的、あるいは社会的な要因によって不調が生じていることがある、と古賀先生は話します。

「このような身体的な障害は心身症といわれますが、主な心理・社会的な要因としては、職場や地域におけるトラブルや、介護や子育て、家計など家庭での問題があげられます。
それが職場になると、過重な仕事、人手不足、上司によるパワハラ等になります。このような要因によってストレスが生じ、それに上手に対処しきれないためにストレスが積み重なり、身体のバランスが乱れることによって生じるのが心身症と考えられます」(古賀先生)

心身症は、「心と身体のバランスを保つ自律神経が、ストレスの蓄積によって適切に機能できなくなることで生じる」と、古賀先生。

ストレスを処理しきれない状態が続くことによって、“腹痛、下痢や便秘などの腸の症状”が起こることもあるのだそう。これは、心をつかさどる脳の働きが、重なるストレスによってバランスを乱し、自律神経を介した腸の活動をうまくコントロールできなくなることで起こるといいます。

さらに腸の症状は、脳の疲れを助長し、仕事を効率的に行うことができなくなるなどの影響を及ぼすこともあるとか。脳と腸が相関関係にあるという考え方に基づく、この「脳腸疲労」は、ストレスがたまるのを防ぐことで予防できるといいます。

■ストレス対策には「3つのR」がおすすめ!

古賀先生によると、ストレスは蓄積せずに、毎日解消するのがいいのだそう。そこで、「3つのR」といわれるストレス対処を勧めます。
 
1.Rest ~レスト~快眠
Restとは、快眠のこと。

でも、まだ子どもが小さいうちはどうしても睡眠不足に陥りがち。ママたちはどんな風に「快眠」を実現していけばいいでしょうか?

「成人では、睡眠は1日1回が原則です。ただ、仕事や育児で忙しい人では理想とされる7時間の睡眠がとれない方が少なくありません。そのような場合は仮眠をとることをおすすめします」(古賀先生)

●専業主婦のママの場合
「専業主婦の方の場合は、仮眠を昼食後にとるのが一般にはおすすめです。いわゆる昼寝ということになりますが、あまり長く眠ってしまと夜の睡眠に影響がありますので、20分程度が良いとされています。実際には30分以内にすれば良いでしょう。

その際、あまり深く眠ってしまわないほうがよく、ベッドで眠り込んでしまうより、ソファーなどで無理がない姿勢で眠るのが良いでしょう。

仮眠をとる前にコーヒーを飲むと香りでリラックスし、眠りが促されることがあります。グアテマラの香りには特にそのような作用がありますのでぜひ試してみてください。コーヒーに含まれるカフェインは20~30分すると覚醒作用をもたらすので、ちょうど仮眠に適しています」(古賀先生)

●外に働きに出ているママの場合
「仕事をしている女性は、平日は仮眠をとることはむずかしいと思います。
休憩室や自分のデスクでうたた寝をする方もいますが、不自然な姿勢を取るので、かえって肩こりなどが強まることもあります。どうしても眠いときだけ、短い仮眠をとるようにしてください」(古賀先生)
 
 
2.Relax ~リラックス~
2つ目はRelax。
働くママのリラックス法としておすすめなのが古賀先生が推奨する「呼吸法」です。

●呼吸法
仰向けになって8秒以上かけて、小さな声で「あー」という声を出しながらゆっくりと息を吐き、吐き終えたら自然に息を吸う。この吐く・吸う、を20回くらい繰り返すと、気持ちも身体もほぐれてくる。

ポイント:吸うときはあまり長く深く吸わないこと。思い切り吸ってしまうと、かえって自律神経を緊張させることになるので、普通に空気を吸う。

古賀先生に、その他のママにおすすめのリラックス方法も教えていただきました。

「リラックスというのは、仕事や家事による緊張感を緩和するということですが、呼吸法や軽い体操などのよく知られた方法に加えて、身近にある飲み物を利用する方法があります。もちろんその前提として、飲み物を取るための休憩時間をとることが必要です。
飲み物というと、コーヒー、紅茶、緑茶、ほうじ茶などが好んで用いられますが、なかでも紅茶には気持ちをリラックスさせ、かつ自律神経のバランスを整える働きがあるので、特におすすめです」(古賀先生)
 
 
3.Recreation ~レクリエーション~楽しく発散~
古賀先生によると、3のRの中でこのRecreationが最も大切なことだといいます。「レクリエーション」とは「リ・クリエイト」、つまり、「創り直す」という意味。『ストレスで歪んでしまった心と身体の働きをスムーズに整えなおす』のがレクリエーションなのです。

「大げさに考える必要はありません。『リ・クリエイト』とは、心身の疲れをいやし、良いバランスを取り戻す、ということです。それには、毎日楽しみになることをいくつか用意しておくこと。例えば、塗り絵やアロマセラピー、料理などがおすすめです。
育児はストレスになることもありますが、子どもと遊ぶ中にも遊具の扱い方や絵本の読み方を工夫すると、それもレクリエーションにつながりますよ」(古賀先生)

また、古賀先生は料理のレクリエーション効果について次のように話します。

「料理といっても、時間をかけていくつものメニューを用意することはありません。帰宅の電車の中で卵料理などの副菜のことを考え、その食材をスーパーで買い、家で短時間で料理をする、という中にも楽しみや喜びがあり、一瞬、仕事や育児のストレスから解き放たれる時間が生まれます。このようにストレスのことを忘れる時間を少しでも持つことが、とても大切です。料理に限らず、自分が楽しみに思えることが重要なポイントです。前述した塗り絵やアロマテラピーの他にも、手芸や楽器など、楽しみと喜びを感じられることをしてみましょう」(古賀先生)

ぜひストレス対策の参考にして、健やかな毎日を目指しましょう!

[教えてくれた人] 古賀良彦先生(こが よしひこ)
精神科医、慶応義塾大学医学部卒。杏林大学名誉教授、特定非営利法人日本ブレインヘルス協会理事長。
うつ病や睡眠障害などの治療研究のエキスパート。職場のメンタルヘルス不調についても造詣が深い。さらに、香りや食品の健康増進効果について、脳波分析や脳機能画像を用いて積極的に研究。
取材・文〇石原 亜香利