太古の息吹を感じよう!「マンモス展」が東京・お台場の日本科学未来館で開幕。子どもと一緒に楽しむ8つのポイント
企画展「マンモス展」-その『生命』は蘇るのか- が、2019年6月7日(金)から11月4日(月・祝)東京・お台場にある日本科学未来館でスタートしました。
今回の展示コンセプトは時空を超えたマンモスの物語。「過去」「現在」「未来」の3つのゾーンでマンモスの物語は進みます。
2005年に開催された「愛・地球博」で、約700万人が熱狂した「ユカギルマンモス」(頭部冷凍標本)をはじめ、ロシア・サハ共和国の永久凍土から発掘された世界初公開を含む貴重な冷凍標本などが多数展示。さらに、最先端の生命科学研究の紹介など盛りだくさんの内容になっています。
Hanakoママでは、ひと足お先にプレス向け内覧会で見てきた「マンモス展」の様子と、子ども達も楽しめるポイントをお届けします!
ポイント1:「過去」マンモスがいた太古の時代にタイムスリップ!
会場に入るとまず迎えてくれるのが、38年ぶりに来日した仔ケナガマンモス「ディーマ」(標本)です。
約4万年前、シベリアの泥池にはまり、そのまま死んでしまったという子どものマンモス「ディーマ」は、短時間で地中深くに埋もれたため永久凍土(のちほど説明あり)の中での保存状態がとても良く、全身が綺麗なまま残ったと言われています。
そして、今にも迫ってきそうな「チュラプチンスキーのケナガマンモス」がいる「過去」のゾーンに入って行くと、3万年前の地球にタイムスリップ。
その時代に生きていたまざまな動物たちの姿や暮らしぶり、人類との関わりが見えてきます。
ほかにもケナガマンモスの糞や歯など、さまざまな貴重な展示物もお見逃しなく!
ポイント2:「現在」史上最大級の冷凍展示室。貴重な世界初公開!
物語は「現在」へ。
ここでは、まず永久凍土でおこなわれた発掘調査の現場が日記形式で紹介されています。
ところで、先ほどから出ている大事なキーワード「永久凍土」をご存知でしょうか。
永久凍土とは、北半球の陸地20パーセント近くを占める「凍った土」のこと。2年以上0度以下の状態が続く土や地盤のことを指します。
マンモスは、氷の中ではなくこの凍った土の中に閉じ込められていました。何万年も前の世界を私たちに伝えてくれる永久凍土は、まるでタイムカプセルのようですね。
そしていよいよ、世界初公開の冷凍標本のゾーンへ。
世界的にも驚きのニュースとして取り扱われた仔ウマ「フジ」(写真手前)は約4万2000年前からやって来ました。
古生物学史上初めて「液体の血液と尿」の採取に成功した世界唯一の古代ウマの完全な遺体であり、その完全体冷凍標本がマンモス展で世界初公開されています。
こちらも世界初公開の「ユカギルバイソン」(冷凍標本)。約9300年前の個体で、胃の中から発見された消化物からは、周辺に生息する植物など当時の環境が明らかにされました。
子ども達も見やすいように、ところどころ展示物の前には台が置かれています。世界的にも貴重な発見を目の前でじっくり見てください!
このほか、羽毛がしっかりと残っていて、今後の研究しだいでは二ホンライチョウとの親戚関係が判明する可能性もあるという「ライチョウ」(冷凍標本)の世界初公開や、オオカミからイヌへの進化が解明できるかもしれない生後3か月の「仔イヌ」(冷凍標本)の日本初公開など、マンモス展のために制作された史上最大級の冷凍展示室で目にする冷凍標本の数々は必見です!
ポイント3:「未来」近畿大学「マンモス復活プロジェクト」でマンモスが生き返る?
こちらも世界初公開の「ケナガマンモスの鼻」(冷凍標本)。この鼻の持ち主は、約3万2700年前の65~75歳くらいのメスのマンモスです。
鼻の先は、長い期間、餌を食べるために草を引きちぎったり地面を掘ったりしたために擦り切れている様子がわかります。1日のうち、寝ているとき以外は食べる時間に使うというマンモスならではですね。
また、こんなにも細かく生きていた時期や年齢がわかるのは、冷凍標本や化石の中の炭素の量を計測することで生息時期を、歯や骨から年齢を推測することができるためです。
実際にケナガマンモスの鼻の標本を良く見てみると、四角く切り取られた跡を見ることができます。これは研究用にサンプルを取り出した跡だそう。
どうしても劣化は進むため、今しか得られない貴重な情報を残しておかなくてはならないそうです。
そんな研究を世界中のさまざまな機関がおこなう中、近畿大学が進める「マンモス復活プロジェクト」では、最先端の生命科学研究を用いてマンモスの全貌を解明するべく取り組んでいます。
生命科学という難しそうなイメージの分野を、今回はマンガで再現。
1996年から近畿大学で始まったマンモス復活プロジェクトでの発見やエピソード、最新の研究が紹介されています。
実際のプロジェクトメンバーをサッカーチームに例えて「マンモス復活」というゴールを目指す内容は、実際にマンガを読むように進んでいき、研究の様子や内容を子ども達も楽しく知ることができそうです。
展示の中にはプロジェクトメンバーのひとり「神の目をもつ男」山縣一夫准教授が、研究室を自らで完全再現!
プロジェクトの研究で使われる最新の研究機材や研究ノートなどが展示されており、マンモス復活プロジェクトを身近に感じることのできる場所になっています。
プレス内覧会でおこなわれた監修者説明で、生命科学監修の松本和也氏(近畿大学大学院部長/生物理工学部教授)は、以下のように述べられています。
生命科学を勉強することは自分を知るということ。
子ども達や、将来生命科学を研究したいと思っている皆さんは、ぜひ知る喜びとそれを誰かに伝える喜びを実現していただきたいと思います。
生命を人間の手で生き返らせても良いのか? という倫理的な問題にも食い込むマンモス復活プロジェクト。
100年、1000年先にあるかもしれないこのプロジェクトの未来にあるゴールのために、日々研究を続ける様子をぜひ知ってください。
ポイント4:700万人が熱狂した「ユカギルマンモス」再び……
2005年に愛知県で開催された「愛・地球博」で大勢の人々が列を作り話題となった「ユカギルマンモス」が再び来日しました。
発見されたサハ共和国のユカギルという地方の名前から名付けられた「ユカギルマンモス」は、大きく曲がった牙からかなり高齢のオスのマンモスだということがわかります。
このような完全に近い状態でマンモスの頭部が見つかることは“奇跡”とも言えるそうで、マンモス展の古生物学監修をおこなった近藤洋一氏(野尻湖ナウマンゾウ博物館 館長)も、裏側に潜り込んで写真を撮るほど大興奮だったそうです。
ポイント5:記憶に残る体験コンテンツや、分かりやすい音声ガイド
人間以外の敵がいなかったという大人のマンモスですが、病気などで弱ったマンモスや仔マンモスの敵となったのがオオカミやホラアナライオンでした。会場では、マンモスと共に生きた動物たちについても触れられています。
そして、そんなホラアナライオンの復元像の隣にあるのが、マンモス展公式参考図書「わけあって絶滅しました。」のパネルです。
会場内のところどころに置かれたこちらのパネルは、ベストセラー図鑑「わけあって絶滅しました。」の制作スタッフによって作られたオリジナル書下ろしパネル。大人も子どもも、笑えてためになるエピソードはぜひチェックしてください!
また、見ているだけではないのが今回のマンモス展。
会場最初の「過去」エリアにある大きな骨の標本前では、マンモスの毛に触ることができます。
かたいの?やわらかいの?フサフサしてるの?それともゴワゴワ?実際に触って確かめてみてください!
さらに、展示を出てグッズショップの直前にあるのが、フォトスポットです。
およそ1万~3万年前、サハ共和国のユカギル周辺ではウシを素材とした衣服を着て、マンモスの隣に立っていた……かもしれません! そんな当時の人になりきって記念撮影はいかがですか?
できるだけ古い時代の革の製法を推定して再現したというこの毛皮。アキレス腱を糸の代わりに使ったり、皮を切る石器や縫い針などの道具にも当時を想定するこだわりぶり。
製作された古代人の衣服は大人用子ども用と準備されているので、ユカギルマンモスのレプリカや仔マンモスの復元像と一緒にファミリーで古代人の気持ちをぜひ味わってみてください!
そのほか、今回のマンモス展をさらにわかりやすく解説してくれる音声ガイドにも注目です!
通常版のガイドはTVアニメ「進撃の巨人」エレン・イェーガー役などをつとめる声優の梶 裕貴さん。そしてジュニア版のガイド役はTVアニメ「神のみぞ知るセカイ」中川かのん役などをつとめる声優の東山奈央さんです。
とくにジュニア版ではマンモスツアーでマンモスの世界を案内。丁寧に楽しくお話が進むので大人にもおススメです!
ポイント6:必読! いとうせいこう編集長のオフィシャルプログラム
展示物の中からピックアップしたものをとても丁寧に解説してくれているのは、展示構成監修のいとうせいこう氏(作家・クリエイター)が編集長のオフィシャルプログラムです。
プログラムにしては大きめの“マンモスサイズ”のプログラムでは「マンモスのうんち」や「マンモスの歯」を原寸大の写真で見ることができます。
ほかにもたくさんの写真とイラストが子ども達にも分かりやすく、豆知識やQ&A方式のページ、調査日記や研究者達への質問などたっぷりの読みごたえ。これ一冊でマンモス博士になれるかもしれません!
ポイント7:マンモスグッズをお土産に! タイアップ企画も見逃すな!
マンモス展の締めくくりはグッズショップ。マンモス展オリジナルやマンモスとのコラボ商品などが並んでいます。
ここで、勝手におすすめマンモスグッズをいくつか……。
「e-maのど飴」が、仔ケナガマンモス「ディーマ」にちなんでマンモス展だけの「d-ma(ディーマ)のど飴」に!
「◯◯に行ってきました。」は、やはりお約束?
手ぬぐいの定番「かまわぬ」とコラボした手ぬぐいは3種類!
「わけあって絶滅しました。」のカプセルトイはアクリルキーホルダーと缶バッジ。マンモス展ショップ限定商品です。
そのほか、コラボレーションメニューとして日本科学未来館内の7階レストランMiraikan Kitchenでは、マンモスの生きた雪原をイメージした「雪原カレー」やマンモスの顔をした「マンモスモンブラン」(7/10~12頃販売開始予定)が登場。
また、授乳スペースのある5階カフェMiraikan Cafeでは、カルピスとブルーのゼリーで氷河期を表現した「氷河ドリンク」が登場します。
ポイント8:未来へとつながる「マンモス展」
展示構成監修のいとうせいこう氏は述べられました。
永久凍土から冷凍標本が発掘されたのは、皮肉なことに地球温暖化という問題が起きてしまったためです。しかし、そうして発掘された標本は高度な冷凍装置など、現在のさまざまな技術のおかげでこうして展示されているのも事実です。
過去のものが今生きているかのように現在に現れ、さらに現在の技術があるからこそ、遠い未来に向かっているという……。今回の「マンモス展」は、そういった時間軸のある展示になっています。
また、研究者たちが100年、150年というスパンでプロジェクトをとらえているのは、これがマンモスだけの問題ではなく、生命自体を我々がどのように扱うかという問題だからです。
人類が生命とどのように付き合うかという「倫理的」「哲学的」「科学的」な、とても大事な問題を抱え込んでいます。
つまり科学者だけがこの問題を語るのではなく、僕のようにノンジャンルの人間がさまざまな方向から意見を言うことで、一歩一歩共に手を携えて行かなくてはならないのです。
文科系の子どもも、理科系の子どもも、何にも興味のない子どもも、ぜひ「マンモス展」に来てください!
もしかしたらマンガに興味がわいてしまう子もいるかもしれませんが、マンモスや生命などに興味がわく子ども達がいっぱい出てくれると良いなという思いで構成をさせていただきました。
この展覧会、面白いと思います!
「過去」を生きたマンモスが永久凍土から「現在」に姿を現し、生命科学の研究で「未来」につなげる史上最大のスケールで開催される「マンモス展」。2度、3度と足を運びたくなる展覧会です!
【企画展「マンモス展」-その『生命』は蘇るのか-】
オフィシャルサイト:https://www.mammothten.jp/
会期:2019年6月7日(金)~11月4日(月・休)
開館時間:10:00~17:00(入場は閉館の30分前まで)
会場:日本科学未来館 1階 企画展示ゾーン(東京・お台場)
休館日:火曜日(ただし、7月23・30日、8月6・13・20・27日、10月22日は開館)
入場料:大人(19歳以上)1800円(1600円)、中人(小学生~18歳)1400円(1300円)、小人(4歳~小学生未満)900円(800円)
※( )内の料金は8名以上の団体料金
※常設展も観覧可能
※ドームシアターは別料金(要予約)
※3歳以下は無料、障がい者手帳をお持ちの方および付き添いの方1名まで無料
※会場の混雑状況により入場整理券の配布、または入場規制の場合あり