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Education教育

20年後の教育はこうなっている!?これからの子どもたちは何を学んでいくべきか。「教育×テクノロジー」

2019.06.28

第1回 20年後、どんな力を身につけなければならないか

学校教育

はじめまして! 日本の教育を草の根から変えていこうと奔走する、二児のパパ&スーパー銭湯大好きな高山智司です。

衆議院議員を3期10年務め、教育政策にも長年関わってきた経験から、国会議員を退いた今も、EdTech(エドテック)による “教育の民主化”を目標に掲げ日々活動しています。と言っても、EdTechって何? 教育の民主化ってどういうこと? と思う方がほとんどでしょう。
まずはそこから説明しましょう。

○EdTech が20年後の教育を大きく変える!

EdTechとは、Education(教育)×Technology(テクノロジー)のこと。Finance(金融)×TechnologyでFinTech(フィンテック)という言葉はみなさんも聞いたことがあるでしょう。

要するに、様々な分野をテクノロジーと掛け合わせることで、これまでできなかったことができるようになったり、新しい価値やビジネスが生まれたり、革新的なパラダイムシフトが起こることを指します。

私はEdTechに興味を持ち、2016年にデジタルハリウッド大学院に入学しました。EdTechの第一人者佐藤昌宏研究室で学ぶためです。
その後、2017年にテキサス州オースティンで毎年行われるSXSW Edu(サウス・バイ・サウスウエスト・イー・ディー・ユー)というIT界最大級の展示会に参加して衝撃を受けました。SXSWは、世界中から最先端のITベンチャーが集う、IT界のパリコレとも呼ばれるイベントで、Twitterとかエアビ(Air BnB)もSXSWに出展し注目されるようになりました。

SXSWの教育に特化したものが、SXSW Eduです。そこでAdobeやGoogleといった企業も、教育関連のアプリやサービスを出展していましたが、「子ども用のツール」を開発するのではなく、ビジネスでも使われているツールを「子どももあたりまえに使っている」前提で、教育の未来像が描かれていることに、とても驚かされました。

日本も負けてはいられないと、私はEdTech Japanを立上げました。EdTechを知ってもらうためにワークショップを開催したり、海外のEdTechイベントに日本の教育スタートアップの紹介もしています。

ところで、つい先ごろ、OECDが先進48か国を対象にした、教育のICT活用の現状を調査した結果が発表されましたが、日本はビリから2番目。このままでは日本はどうなってしまうのか、不安で仕方がありません。

○変化する世の中に、従来型の学校システムでは対応できない!

日本の教育はこれからどうなっていくべきなのでしょうか。

近い将来には、多くの仕事がAIに取って代わり、今の子ども達が大人になる頃には、その半数以上は今存在しない仕事に就いているだろうと言われています。
また、これからは、一生一つの仕事に従事するのではなく、転職を繰り返しながら複数のキャリアを築いたり、同時に2つ以上の仕事を持つ人も増えていくでしょう。

世の中は、不確実化、複雑化、複線化しているのに、学校現場は相変わらず「一斉型・画一型」の授業が中心です。このような教育を行っていたのでは、未来の変化に対応できません。

医者になりたい人も、プログラマーになりたい人も、科学者になりたい人も、みんな一斉に同じ勉強をする、というのが今の学校システム。そうではなく、これからの学びは、アダプティブラーニング、つまり、一人ひとりの能力やニーズに合った、個別最適型学習であるべきです。

しかし、それを実現するためには、多様な環境や教える人材が必要です。そんなことができるのは一部の余裕のある人だけでしょう。

でも、テクノロジーを使えばそれが可能になります。

たとえば、2008年ごろからアメリカで始まった大規模公開オンライン講義「MOOC」は、eラーニングの技術を使って、世界中のどこにいても、アメリカのハーバード大学やスタンフォード大学、マサチューセッツ工科大学(MIT)などの講義が受講できるプラットフォームです。テストに合格すれば単位も取得でき、しかも受講料は無料。もう実際の大学に行かなくても、高度な教育を受けることができるのです。2013年から、東京大学もMOOCに参加しています。

身近なところでは、海外のネイティブ講師と1対1で英会話をする「オンライン英会話」の授業を採り入れている学校もありますし、いつでもどこでも好きな時に好きな場所で勉強できる映像授業行う学習塾もあります。

テクノロジーを使えば、時間や場所の制約なく、自分の学びたいことを自由に学べるアダプティブラーニングの時代がもうそこまで来ているのです。

○これからの子ども達は何を学ばなければならないか

未来を生きる子ども達は、これから何を学ぶべきなのでしょうか。

従来の読み書き計算に加え、英語などの語学、ICTリテラシー、そして、最近ではSTEAM教育が大事だということが言われています。

STEAMとは、サイエンス(科学)、テクノロジー(技術)、エンジニアリング(ものづくり)、アート(芸術)、マセマティックス(数学)の略です。つまり、これまでの日本の教育で行われてきたように、文系理系で分けるのでなく、様々な分野について横断的に学ぶことが必要になると言われているのです。

しかし、今の教育現場では、STEAMを教えられる人材も環境も揃えることは難しい。そこで、テクノロジーの出番です。e-ラーニングシステムを使って遠隔授業をしたり教育アプリを活用することで、全国どこででも質の高いSTEAM教育が受けることが可能になります。

○教育の民主化=広くあまねく、教育の機会が与えられること

ところで、最初に言った「教育の民主化」とはどういうことか。

テクノロジーによって、本来なら一部の裕福な人にしかできない個別最適な学習=アダブティブラーニングが、広くあまねく誰にでも可能になる。これが、教育の民主化です。これを私は広げていきたいと考えています。

でも、様々な制約がある公教育の中でこれを実現するには何年もかかるでしょう。

アメリカでは、「20年も待っていられないよ!」という親たちが、新しい学校を作る動きが始まっています。次回はそのことについてお話ししたいと思います。

高山智司(EdTechJapan リサーチアナリスト・公共政策シンクタンク代表理事)

高山智司(EdTechJapan リサーチアナリスト・公共政策シンクタンク代表理事)

衆議院議員3期10年の経験を生かし公共政策シンクタンク設立。公共政策ファシリテーターとしてセミナー講演多数。本業はシブヤの大企業役員と社会人大学院生。中学生と小学生の父親。
好きなこと:スーパー銭湯とマラソン

取材・構成○石井栄子