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カリスマ塾講師に聞く!「公立の中高一貫校」と「大学附属校」の魅力と注意点!きちんと理解して選択しよう【今から知っておきたい中学受験のイロハ】

2019.07.23

第4回 公立の中高一貫校と大学附属校

中学受験4回目

公立の中高一貫校はお得? 大学附属校ならエスカレーターでラク?

今回は公立の中高一貫校と、最近人気が高まっている大学附属校についてお話ししましょう。

○公立中高一貫校一番の魅力は学費が安いこと。しかし難攻不落の高倍率は覚悟して!

公立の中高一貫校は、1998年の学校教育法の改訂によって、「中等教育の多様化を一層推進し、生徒の個性をより重視した教育を実現すること」を目的に作られました。入学には選抜試験がありますが、過度な受験競争を起こさないために、学力試験を行わず、適正検査、面接、調査書などで選考することなども定められています。
公立中高一貫校の数は年々増えていて、全国で210校が設置されています(文部科学省調べ)。

中学校の間は義務教育なので授業料は不要。高校も、2010年から授業料の無償化(所得制限あり)が始まっていますから、私立の中高一貫校と比べると授業料の面ではかなりお得なことが公立中高一貫校の最大の魅力でしょう。また、国算理社の学力試験がないことからも人気が高く、2019年度の受験倍率を見ると、東京都立小石川中等教育学校で6.7倍、さいたま市立浦和中学校で8.44倍(第1次)、横浜市立南高等学校附属中学校で5.13倍、千葉県立東葛飾中学校で11.5倍と、かなりの高倍率になっています。

○安易に私立と併願するのは考えもの

公立の中高一貫校は、学力試験は行いませんが、適正検査と呼ばれる試験があります。内容は学校によって異なりますが、資料を読み取って自分の意見を述べるなどの記述問題が多いです。学校によってはかなりの長文を書かせるところもあります。一朝一夕には身につかないような、論理的思考力や、読み手に伝わるように文章を構成する表現力などが求められますから、何も対策をしないで合格を取ることは難しいです。

東京都内の場合、公立中高一貫校の試験は2月3日、主だった私学の入学試験は2月1日から始まるので、私立と公立を併願するという受験生もいると思います。しかし、問題の傾向は全く違うので、よく過去問を分析して、しっかりと戦略を立てて挑戦することをおすすめします。

これだけ高倍率の入試だからこそ、公立しか受験とないというのはあまりおすすめできません。前回お話ししたように、私立と併願し、もし公立に合格できなかったとしても、私立の合格を一つは手にするという成功体験を必ず持たせてあげてほしい。その私立に進学するしないは別として、3年後の高校入試を見据えた戦略としても、お子さんのその後の人生を考えた上でも、ここで挫折経験だけ残すのは避けたいところです。

○中学からエスカレーターで大学進学できるのが、大学附属校の一番の魅力!

中学受験で合格すれば、その後は試験なしで大学に進学できる(100%ではありませんが)、それが、大学附属校の最大の魅力です。近年続々と大学附属校が新設されていて、人気を集めています。

たとえば、東京目黒区の日出学園は、2019年4月より日本大学の準付属校になり目黒日本大学高等学校と名称が変わりました。横浜山手女子学園は2010年に中央大学の附属校となり、学校名も中央大学横浜山手中学校・高等学校に改称しました。香蘭女学校は2008年に、もともと系列だった立教大学と提携関係を結び、一定以上の成績を取れば立教大学に推薦入学できる枠がさらに拡大しました。

大学附属校が増えている背景には、少子化の影響で、少しでも早く生徒を確保したいとい学校側の思惑もあると思いますが、ブランド大学にエスカレーターで入れるのであれば、受験生や保護者にとっても魅力的にうつるでしょう。

大学附属校の人気が高まっている背景には、今後、私大の大学入試がますます厳しくなることもあります。

たとえば、2016年度から文部科学省が行っている「大学入学定員管理の厳格化」の影響で、大都市圏の私大が定員を大幅に減らしました。これによって、大学入試が激化し、従来なら余裕でMARCHに合格できていたような子が、簡単に合格できなくなっています。また、2020年からの大学入試改革で今度の受験の動向が予測しづらいことも不安要因となっています。

大学入試の先行きが不安だからこそ、大学附属校の人気が高まっているのです。

○附属の大学に進学するかどうかの判断を12歳の子どもができるか?

ところで、「大学附属校に入れば、その後は勉強しなくても系列の大学に入れる」と思っているとしたら、もちろんそんなことはありません。ある一定以上の成績を取らないと進学できない、あるいは進学できたとしても希望の学部に入れない可能性もあります。
また、成績は基準をクリアしているけれど、もっとレベルの高い大学を目指したい、あるいは系列の大学に希望の学部がないなどの理由で、他の大学を受験(外部進学)する人もいます。

ひと口に大学附属と言っても、比較的外部受験をサポートしてくれる学校もあれば、完全附属校もあります。例えば、附属のイメージが強い成城学園は早慶の指定校推薦枠もありますし、学年の約半数は成城大学には進まず、外部進学もしています。

12歳の段階では、将来の大学の学部まで見据えるのは、実際には難しいでしょう。それを考えると、同じ附属でも、外部進学の可能性のある学校はお得かもしれませんね。

小澤珠美さん

小澤珠美さん

学生時代に元文部科学大臣・下村博文氏が主宰する学習塾で、アルバイトで塾講師を始める。大学卒後、15年大手進学塾、株式会社早稲田アカデミーで高校受験・中学受験の指導に従事。特に中学受験において、女子の算数指導、受験指導、保護者の方のサポートに尽力し、合格実績に貢献。2010年に独立し、2013年に市ヶ谷に移転。2018年春より、働くパパ・ママを応援するため民間学童保育・放課後スクールMOCOPLA(モコプラ)を四谷に開設。2019年春、自立を育む学びの場(学習塾、プログラミング教室、アルゴクラブ、英会話)Credo久が原オープン。また一般社団法人 日本青少年育成協会認定 準上級教育コーチ・PM級トレーナーとして、パパ・ママの笑顔、その先にある子どもたちの笑顔を支援するため、教育コーチングをベースにした「子育てセミナー」「ワークショップ」などを開催。また公立・私立中学校PTA、地方教育委員会、新宿区男女共同参画課等から保護者向けコーチングセミナーを受託。

著書:中学受験超成功法『ママは楽しく息を抜く』(ギャラクシーブックス)
共著:『輝く女性起業家16人:未来を創る~私たちが選んだ道』(カナリアコミュニケーションズ)

取材・構成○石井栄子



第1回 中学受験の現状
第2回 中学校受験をする親の心構え
第3回 私立中高一貫校ってどんな学校?

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