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「あなたの権利を尊重するから私の権利も尊重してね!」ドイツで学んだマインド【初めて尽くしのドイツ生活】

2019.07.04

この連載は、

ひょんなことから、25歳にドイツで駐在妻となったゆとり世代の筆者が初めての結婚生活・妊娠・出産・子育てを、初めての海外生活で、泥臭く奮闘した「初めて尽くしのドイツ生活」を記した体験談。

リアルなドイツ生活や子育てについてはもちろんのこと、「優雅」と言われがちな駐在という立場にいる苦悩や、外から見た日本の「本当にこれでいいの?」と感じる疑問や違和感を綴ります!

子どもだけじゃない、自分のキャリアやライフスタイルを見る視野が1度でも広がり、1mmでも深まるきっかけになれば幸いです。


「わたしも我慢するから、あなたも我慢してね」
「わたしもあなたに迷惑をかけないから、あなたもわたしに迷惑をかけないでね」

都内で働いているとき…いや、きっと生まれてからドイツに住むまで、この感覚をわたしは後生大事に握りしめていたと思うのです。

【ドイツ人マインドに触れる】

ドイツ人

前回まで妊婦生活について綴ってきましたが、今回は趣向をかえて、わたしがドイツで感じたことについてお話していきたいと思います。
徐々に日本生活に馴染みはじめているので、忘れないうちに記しておきたい。というのが本音。あくまで、わたしの主観であることと、すべてに当てはまることではないと一言添えておきます。

さて、ドイツ人を見ていてわたしと違うな〜と思うのは、「あなたの権利を尊重するから、わたしの権利も尊重してね」という文化・価値観です。

その最たる例が、休暇の取り方。

彼らは7月から9月の夏休み期間、2週間〜3週間を有給休暇に当てるのがスタンダード。
そんな長い期間、いったい何をするのかな?と、ドイツ人に尋ねると、温かい国へ行って、同じホテルやコテージに長期滞在して、ただただのんびりと過ごすんだそうです。冬が長い国なので、限られた夏の日差しを浴びたり、海やプールで泳いだり、昼間からお酒を飲んだり、家族がいれば近くを観光したり…
若い人たちは、「ドイツ人のハワイ」と一部の日本人に称されるスペインのマヨルカ島へ行き、ショッピングやクラブなどではしゃいだりと、様々だそう。

しかし、そんなにがっつりとお休みを取っている間、仕事はどうなるのでしょうか?
もちろん、仕事はストップ。

ここで、
ドイツ人らしいなというエピソードをふたつご紹介。
猛暑が続いた、とある夏。残念ながら、小売店やカフェに冷房機器が付いてないのが、ドイツあるあるなのですが、ある美容院に行くと、天井には今までなかった業務用冷房機器を見つけました。
「冷房つけたんですね。」と美容師さんに声かけると、「少し割高なんですけど、日本製のにしたんです」とのこと。
どういうことだろう?と詳しく聞くと、ドイツの冷房器具メーカーに問い合わせたところ、「担当者が3週間の休暇に行くから、対応はその後になる」と返答があったのだそう。

近年稀に見る猛暑が続くドイツで、冷房機器の需要はあるはず!このタイミングこそ売り時なのでは?
いつ売るの?!
今でしょ!!
…だなんて、商売根性の強い日本人マインド(と勝手に括りましたが)をもつわたしは思ってしまいます。
(ちなみに、ローマやバルセロナに行くと日本製の冷房を見ることが多いです。日本メーカー、頑張っているな〜としみじみとする時も。)

さらに、こんなエピソードも。
ドイツ人の友人に会った際に、いかにも疲れたご様子。「どうしたの?元気?」と聞くと、
「上司が休暇だから、全部の問い合わせや対応をわたしがしなきゃいけなくて、疲労困憊なの」とのこと。

当然、休めば仕事は止まるし、ほかの人にしわ寄せがくる。それでも、ドイツ人たちは長期休暇をとることをやめません。

なぜなのか。

それは、「有給休暇を取るのは、労働者の守られるべき権利である」という認識が強く根付いているからではないでしょうか。
有給休暇とは、本来リフレッシュするためのものであり、1日単位や病気の際に消化する休暇ではないようです。ドイツでは2週間連続で有給休暇を取得する権利が法律で守られており、さらに、企業は従業員の有給休暇をすべて消費させる義務を課されているのも、大きい要因でしょう。
その前提があるため、誰しも長期休暇を取得する権利があると、ドイツ人たちは考えているのかと思います。

だから、例え仕事が止まっても、誰かに不在中の仕事のしわ寄せがきても、「休暇だから仕方ない」と割り切っている様子があります。
なぜなら、「次は、自分も休暇を取る」から。

【どっちが正しいかとか、そういう話ではなく】

どっちが正しいかとか、そういう話ではなく

仕事に穴をあける。仕事に支障が出る。職場の人に迷惑がかかる。
いつしか、わたしの行動規範が「迷惑の有無」が前提にあったんだなと気づきました。「あ、そんなに自由でいいんだ」と。
「わたしはあなたに迷惑をかけないから、あなたもわたしに迷惑をかけないでね」という価値観は、自分の行動範囲も気付けば狭めていたのかな。
一方で、「あなたの権利を尊重するから、わたしの権利も尊重してね」と、わたしが感じたドイツ人マインドは、確かに相手に迷惑をかけるし、負担も増やす。
けれど、そのお蔭で家族と長期間過ごせる時間が増えたり、自分のリフレッシュに集中できたり、自由度がある休暇の過ごし方ができるのかな。と思いました。

海を越えて、飛行機で12時間離れた国では、違う感覚をもつ人ばかり。
それは、出産現場でも異なるようです。
次回は、妊婦生活に戻り「日本で産むか、ドイツで産むか。また悩んで決断しなければいけないのか問題」についてお送りいたします。

河井あやね

Hanako 新米ライター。国際色豊かな大学を卒業するも、在学中は留学せず、そのあと広告代理店に勤務。
25歳でドイツ駐在生活をスタートし、20代後半を国外で過ごす。本帰国後、ドイツと日本のギャップを感じつつ、それさえも楽しもう。をモットーに天真爛漫系2歳児(娘)を育児中。



第1回 25歳、新米駐在妻。陸の孤島で感じた孤独感
第2回 「主人からきたLINE」が決め手だった。ドイツ駐在についていくか、日本でキャリアを積むべきか。
第3回 はじめての苦難。まさかつわりで手の甲に点滴を打つことになるとは…
第4回 「無理だ、外に行けない」薬すらもらいに行けない私。そこで夫の上司が言った言葉とは…?

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