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文部科学省に聞く!ニッポンの教育はどうなっている?不登校児童生徒数が44万人!?不登校の現状とその対策について

2019.07.05

不登校、いじめ、学力低下、教育改革……、最近気になるニッポンの教育。英語教育やプログラミング教育など、新しい教育についても気になります。現状はどうなっているの? 国は何をしているの? これからどうなるの? 教育について気になるあれこれを、文部科学省にズバリ聞いてみます!


第1回目 不登校児童生徒数44万人ってどういうこと!?

ニッポンの教育_1回目

5月30日の「NHKスペシャル シリーズ 子どもの声なき声“不登校”44万人の衝撃」という番組をご覧になった人も多いのではないでしょうか。

44万人ってすごくないですか!?

かつては登校拒否と言われた時代もあり、1960年代の終わりからすでに問題視されていた不登校。最近増えているのはどういうこと? 国はどんな対策をしているの?
文部科学省 初等中等教育局 児童生徒課に、不登校の現状とその対策について聞いてみました!

文科省の調べでは19万4千人が不登校

文部科学省が公表している小・中・高等学校における不登校児童生徒数をまず聞いてみました。

平成29年度では、約19万4千人。前年度は約18万2千人。44万人という数字と大きく異なりますが、その理由は、“不登校の定義”の違いにあります。

文部科学省では、不登校の定義を、年間30日以上欠席した児童生徒のうち、病気や経済的な理由を除き、「何らかの心理的、情緒的、身体的、あるいは社会的要因・背景により、児童生徒が登校しないあるいはしたくともできない状況にある者」としています。

つまり、保健室登校の子や欠席日数が29日以下の子は含まれておらず、それが44万人という数字との差になっていると思われます。

5年連続で不登校は増えている

さらに、不登校の現状について見てみましょう。
以下のグラフを見てください。

グラフ1
(出典)文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(平成29年度)

不登校児童生徒数は、少子化の影響もあってそれほど増えていないように見えますが、ここ5年で見てみると、小学校・中学校ではあきらかな増加傾向があります。

中学校で急増する不登校

平成29年度について、学年ごとに不登校児童生徒数を見たのが次のグラフ。

グラフ2
(出典)文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(平成29年度)

小6から中1に上がった途端、倍増していることがわかります。中学校に入って、人間関係が複雑になったり、勉強内容が急に難しくなってついていけなくなったり、あるいは思春期という悩み多き年齢にさしかかることも不登校が増える要因かと思われます。

ところで不登校の要因はというと、学校・家庭に係る要因で見た場合、その主なものは、多い順から、「家庭に係る状況(親子関係をめぐる問題や家庭内の不和等も含む)」、「いじめを除く友人関係をめぐる問題」、「授業についていけないなどの学業の不振」とのこと。ただし、不登校には様々な要因や背景が複雑に絡み合っていて、単純にこれが要因とは言い切れません。

国が行っている具体的な支援とは

国としても、この状況を重く見ていて、さまざまな対策が講じられています。

たとえば平成4年には、不登校児童生徒が、地域の教育支援センター等の公的機関や、民間のフリースクールにおいて相談・指導を受けている場合に、一定の要件を満たせば、校長の判断で、指導要録上出席扱いにできるようになりました。

平成17年にはIT等を使った家庭学習についても一定の要件を満たせば、校長の判断で、指導要録上出席扱いにできるよう拡大。同年に、不登校児童生徒の実態に配慮した特別の教育課程(要するに、ここまでは学ばなければならないという国の基準によらない)を編成することができる学校(不登校特例校)の指定も始めています。

不登校の子どもや保護者の相談窓口として、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置にも予算がつけられました。不登校の要因は、家庭に係る状況、精神的な問題など複雑。学校だけ、家庭だけで解決しようとせず、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーを通じて、福祉や医療など、必要な機関に橋渡しすることが大変重要なのです。

不登校児童生徒の支援に関する施策について定めた初めての法律が成立

平成28年には、「義務教育の段階における普通教育に相当する教育の機会の確保等に関する法律」が成立。この法律では、小学校・中学校における不登校の子どもの支援に関する国・地方公共団体の責務を明らかにしています。

誰もが安心して教育を受けられるよう学校環境の整備を図ることや、心理的な負担などで学校に来られない子どもの「休養の必要性」を認めること、また、将来の社会的自立のために、学校以外でも学びの機会を保障することなどが盛り込まれています。また、「不登校特例校」や「教育支援センター」等の公立の教育施設の整備も努力義務とされています。

これらの施策を実行するために「いじめ対策・不登校支援等推進事業」には令和元年度予算として1億6700万円が、スクールカウンセラー・スクールソーシャルワーカーによる教育相談体制の充実には合わせて約65億円が計上されています。

不登校は、国や自治体が真剣に取り組む課題に

これらの一連の動きを見ていると、不登校=学校や家庭の問題ととらえるのではなく、国や自治体が責任をもって対応するという流れになったことは、評価に値するのではないでしょうか。

成果も上がっています。学校に行けなくなり教育支援センター等で指導を受けた(担任による家庭訪問等も含む)小中学生の4人に1人は学校に戻ることができ、まだ指導中の児童生徒も、4人に1人は好ましい変化が出てきているという調査結果が出ています。

まだまだ安心できる数字ではありませんが、相談・指導等を受けることで改善できる、不登校が一生続くわけではないと思えるだけでも、不登校児童生徒を持つご家庭にとって大きな救いになるのではないでしょうか。

また、必ずしも「学校に戻る」ということだけがゴールではない、という発想の転換は、不登校の子本人にとってもプレッシャーからの解放になるでしょう。いつでも学びの機会が得られる、つまり、いつでもやり直しがきくという環境があれば、さらに気持ちはラクになります。

一人で抱え込まず、地域の教育支援センターや、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーにも相談しながら、子どもが自立に向けて一歩を踏み出せるよう支援できればと願います。

不登校やいじめなど、学校関係で気になることがあれば、
「24時間子供SOSダイヤル」で相談を受け付けています。気軽にお電話を!(通話料無料)
0120-0-78310(なやみいおう)
 
参考資料:文部科学省「児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査」(平成29年度)http://www.mext.go.jp/b_menu/houdou/30/10/1410392.htm
取材・構成○石井栄子

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