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文部科学省に聞く!ニッポンの教育はどうなっている?まずは認めることが解決への一歩!?なくならない「いじめ問題」

2019.07.18

不登校、いじめ、学力低下、教育改革……、最近気になるニッポンの教育。英語教育やプログラミング教育など、新しい教育についても気になります。現状はどうなっているの? 国は何をしているの? これからどうなるの? 教育について気になるあれこれを、文部科学省にズバリ聞いてみます!


第2回目 相変わらずなくならないいじめ、どうしたらいい?

文科省_2回目

6月12日の新聞で報道された、大阪府吹田市のいじめ放置問題。いじめを受けていた児童と保護者は、学校や教育委員会に何度も被害を訴えていたのに1年半も放置されていたそうです。そして、この記事を書いている間にも岐阜市で中学3年生の男子生徒が、7月3日、いじめを苦に尊い命を絶ちました。同級生たちがいじめを訴えるメモを渡していたにもかかわらず担任は無視。またもや学校のずさんな対応……。暗たんたる気持ちになった人は私だけではないのでは? 

今回はいじめ問題について、文部科学省 初等中等教育局 児童生徒課 生徒指導室に聞いてみました。

大津市の事件がきっかけとなり、「いじめ防止対策推進法」が成立

いじめ問題は、今に始まったことではなく、1980年代からその対策が懸案となっていました。いじめ対策が大きく転換するきっかけとなったのが、2011年の大津市のいじめ自殺事件です。いじめの実態もひどいものでしたが、その事実を隠ぺいしようとした学校や教育委員会の対応も批判の対象となり、世間から大きく注目されました。

この事件がきっかけとなり、超党派の議員によって「いじめ防止対策推進法案」が国会に提出され、2013年6月に成立。社会総がかりでいじめ問題を克服しようとする気運が高まりました。

この法律では、いじめ防止・早期発見・対処のための対策として、国や地方公共団体は基本方針を策定すること(地方公共団体は努力義務)、各学校は基本方針を策定し、いじめ対策のための組織(学校いじめ対策組織)を必ず設置することなどが定められています。

ただし、法律の制定後も、いじめによる自殺などの「重大事態」や、法律に則った適切な対応が行われないケースは残念ながらなくなっておらず、現在、超党派の議員によって、法改正の検討が行われているそうです。

全国のいじめの認知件数は414,378件!

文部科学省では、1985年から毎年、いじめの件数を調べています。2011年度までは、10年周期くらいで、大きないじめ事件があると翌年のいじめの件数が急上昇し、それ以降は徐々に減少していくというパターンが繰り返されてきました。

グラフ
「平成29年度 児童生徒の問題行動・不登校等生徒指導上の諸課題に関する調査結果について」(文部科学省)より作成

ところが2015年度から急増。2017年度には、414,378件のいじめが認知されています。

そんなに急増して大丈夫!?と思いますが、これは、実際にいじめが増えたというよりは、今まで見逃されていたいじめが顕在化されたのだと文部科学省では見ています。

いじめがあると認めることが、解決の第一歩

2015年8月、文部科学省は、いじめの認知件数が多い学校について、「いじめを初期段階のものも含めて積極的に認知し、その解消に向けた取組のスタートラインに立っている」と、極めて「肯定的に評価する」という内容の通知を全国の教育委員会や学校に出しました。

また、学校や先生方は、「自分の学校やクラスでいじめがあるとマイナスの評価をされる」と不安に思い、それが隠ぺいなどにつながる可能性があることから、学校評価や教員評価を行う場合は、いじめの有無や認知件数の多い・少ないではなく、認知したいじめにどう適切に対処したかを評価してほしい、という内容も、文部科学省の基本方針には記載されています。

こうした考え方が浸透した結果、認知件数が急増したのです。

しかし、未だにいじめ認知件数を「0」と報告してくる学校が、全体の約4分の1あるそうです。「調査項目には、冷やかしやからかい、軽くぶつかられるといった軽微ないじめも含まれています。にもかかわらず、学校で年間に1件もいじめがなかったというのは本当でしょうか。いじめが放置されている可能性があるのではないかと懸念しています」(文部科学省担当者)。

ところで、いじめはどのように把握されているのでしょうか。
最も多いのは、各学校から児童・生徒に配布するアンケート。ただし、アンケートの内容や実施方法は学校に委ねられているそうです。

ということは、学校によっては、答えにくい設問があったり、教室で一斉に行うような場合、周囲の目が気になって、いじめられていてもそのことを書きづらかったりするなど、正しい結果を把握しにくいこともあるのではと心配になります。

「たしかに自治体によって、いじめアンケートの内容や方法は様々です。文部科学省では、効果的なアンケートの例を周知し、各学校にも参考にしてもらうなどの対策を講じています」(文部科学省担当者)。

それだけで十分なの?と疑問がわきますが、いじめの発見のきっかけは、アンケート調査などの学校の取組が52.8%と最も多く、一定の効果はあるようです(ちなみに、発見のきっかけの2位は「本人からの訴え」18.0%)。

もしいじめが起こったら、どう対処したらいい?

いじめ対策は、未然防止・早期発見・早期対応の3つがポイントになります。

未然防止の対策として、文部科学省では、研修会等を開催し、教育委員会や学校への周知・啓発を行っているほか、子ども向けには「全国いじめ問題子供サミット」の開催や、道徳教育の充実などに取り組んでいます。また、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーの配置拡充など、相談体制の整備にも力を入れています。

早期発見のためには、学校、家庭とも、子どもの様子をよく見て、小さなサインを見逃さないことが大事。学校が行うアンケートも早期発見を目的としています。

家庭では、子どもと話す時間をなるべく多く持つことで、いつもと違う行動や態度に気づいてあげることが大切です。文部科学省が公開している「いじめのサイン発見シート(http://www.mext.go.jp/a_menu/shotou/seitoshidou/__icsFiles/afieldfile/2018/08/21/1400260_001_1.pdf)」を活用して、一度チェックしてみるといいかもしれません。

もし、いじめが起こってしまったら、早期対応が大事。

学校の対応については、いじめ防止対策推進法にも手順が示されています。学校は、教師が一人で抱え込むことのないよう、学校いじめ対策組織に情報を集約し、対応方針を決定するなど、チームで対応にあたります。また、「いじめがあるとマイナスに評価される」と思うと隠蔽にもつながる可能性があります。チームでの対応が適切に機能するためには、普段から職員室の風通しを良くし、いじめがあった場合も教師間で相談しやすい環境にすることも重要と言えるでしょう。

家庭でできるサポートは?

家庭では、まずお子さんからよく話を聞いてみましょう。いつ、誰から、どのような嫌なことをされたのか。今後どのような解決を望んでいるのか。お子さんの話にじっくりと耳を傾け、気持ちを受け入れてあげること。その際、何があっても守り抜くことや、いじめられている人は決して悪くないことを伝えることが大切です。

その上で、学校の担任や信頼できる先生、校長・教頭などの管理職に相談する。学校の対応に疑問を持った場合は、教育委員会に相談することも有効です(公立の場合)。また、学校にスクールカウンセラーがいる場合は、そちらに相談することも効果的です。

学校に行く時間がない、相談しづらいという場合は、「24時間子どもSOSダイヤル」(0120-0-78310(なやみいおう))の利用もオススメです(通話料は無料)。

いじめは、どの学校でも、どの子どもにも起こりうる問題。一人で抱え込まず、誰かに相談すること。二度といじめによる悲しい事件が起こらないことを切に願います。

取材・構成○石井栄子


第1回 不登校児童生徒数44万人ってどういうこと!?

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