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名作「うんち太郎」で前向きに父親と寝てくれてるようになった娘【連載・室木おすしの「娘へ。」】

2019.07.16

この連載は……

イラストレーターで、3歳と1歳の双子の女の子のパパ、室木おすしさんによる育児イラストエッセイ。

娘が将来結婚などして(しなくても)離れていってしまうことが今から心配で、0歳のころから、娘とのあれこれを結婚式で思い出そう!と「娘素材集」を頭の中にコツコツと作っている、という室木さん。

この連載では、よりすぐりの素材をチョイス。

室木さんが娘の結婚式でスピーチとして娘に読んでいるような体でお送りします!

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「下品出版の奔走」【第28通目】

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娘へ。

あなたが4歳。妹たちが2歳のころ。
私は主に夜中に仕事をしていたため、一人別の部屋で寝るようになりました。

せなけいこ先生の「ねないこだれだ」から、9時をお化けの時間と学んだ我々は、その時間には寝るように心がけており、布団に入った女性陣を(妻と娘3人)見送ると、私は仕事部屋へ行く、という日々でした。

しかし、たまに妻が用事で一緒に寝られない時、私があなたたちと一緒に寝ることがありました。

そんな時あなたはほぼ必ず、不服そうに
「えーお母ちゃんと寝たい。」と言いました。

お母ちゃんと寝たい

接している時間が長いのは明らかに母親だったので、そういう扱いをされることは、全く気にしていませんでしたし、当然だと思っていました。
しかし、私と寝なければならない時もあるわけで、ならばどうして私と前向きに寝てくれるのかと思案したところ、
父親にしかできないボーナスを繰り出すしかないな、と私は考えました。

そのボーナスが下品な話です。

下品な話は、妻は嫌がります。そのため絶対にしませんでしたが、子供たちは大好きでした。
私は抜け目なくこの産業の隙間を付き、下品一筋で、子供たちのハートを掴んだのであります。

そこで生まれたのが、名作 「うんち太郎」なのです。

うんち太郎

それは桃太郎を読んでいた時、あなたがふざけてオナラのマネで「ブー!」と言ったことが始まりでした。私は機転を利かせてそのオナラを物語に取り込んだせいで、桃太郎がうんち太郎へと変貌したのです。
この「うんち太郎」がウケるはウケルの、大ロングセラーとなりました。
内容は、お尻から生まれたうんち太郎が、すくすくと育ち、鬼を退治しようと旅立つが、途中に出てくる「イヌ・サル・キジ」にきび団子をあげると、そのきび団子にはうんちがついていてみんなブチギレるという内容でした。

お母ちゃんと寝たい!と駄々をこねていたあなたに、じゃあ「うんち太郎」読んであげる!と言うと、
「それならば!」と前向きに寝てくれたのです。

そのうち、「うんち太郎」だけでは飽き足らず、我が下品出版には
「オナラ太郎」と「おちっこ太郎」もラインナップに加わることとなりました。
この「おちっこ太郎」もなかなかの面白い話で、おちっこを出し続けるおちっこ太郎に、村人が土下座をしておちっこを止めてくれと頼んでも、全くおちっこを止めようとしないというお話でした。

それにしても夜の暗闇の中、娘3人に、うんち太郎を読み上げるあの時間は、
あの時にしか味わえなかった刹那のわけのわからない時間でした。
暗闇の四方から、「クククク」とか「ププププ…」とかこらえきれなくなった笑い声が聞こえてくるあの時を、一体どうやったらもう一度体験できるのか。私は時々本気でそう思ってしまいます。

ただ、いつだったか、寝る前に、いつも以上にお母ちゃんと寝たい!とぐずった日がありました。

朝になれば妻が戻ってくる予定だったので、「朝になったらお母ちゃんがいるから!」となだめてもダメで、ここは下品出版の総力をかけるしかないと、
うんち、オナラ、おちっこ太郎の波状攻撃でご機嫌を取り、さらには、なんと、お三方そろい踏みの、夢のうんちオナラおちっこ太郎コラボ話まで飛び出して、超上機嫌になったあなたは、ぐっすりと眠りに落ちました。

私も同時に寝落ちしてしまい、本来なら朝には私と妻が入れ替わっている予定だったのですが、妻も別の寝室で寝落ちし、そのまま朝を迎えました。

そして、
目を覚ましたあなたは、私を見て、まさかの発言を繰り出したのです。

「はぁ。まだいるじゃん…」
と!めちゃくちゃうんざりした顔で!
嘘だろ!あの上機嫌はなんだったんだ!

寝起き娘

しかし私は、それを聞いて、笑ってしまいました。

下品な話を猛烈にしまくったあげく、用済みになったら捨てられる。
わしゃ下品な週刊誌か、と。
父とは時に滑稽なものです。

でもがっくりすることもありませんでした。
なぜなら、あなたはしばらくして、とことこと私に近づいてきて、耳元でこう言うのですから。

「昨日は楽ちかったね。また読んでね」
と。

結婚おめでとう。

結婚式だということを忘れて、下品な話をしてしまったことをお詫び申し上げます。

下品出版・代表取締役社長 父より。

【続く】

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心の披露宴は心の雅叙園の中、最後の新郎新婦とその両親が、来客に挨拶するために一列に並ぶときに、ドリフ大爆笑の音楽をかけて、踊ったら、すごくいいのになと思いながら、まだまだつづく。

001-illust-05プロフィール

室木おすし

イラストレーター、漫画家。長女と双子の次女・三女の父。
悲しみゴリラ川柳家元。オモコロネットラジオ「ありっちゃありアワー」パーソナリティ。
雑誌やWEBで記事や漫画の執筆をしたり、広告でイラストやGIF動画を作成したりと日々あくせく。
夜泣きのひどい次女の抱っこには定評があり、2018年には生春巻きが好きだという自分の側面にはたと気づいた。

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