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文部科学省に聞く!ニッポンの教育はどうなっている?日本の子どもたちの学力は世界でどのレベル!?教育レベルを測定する国際的な2つのテスト

2019.08.01

このところ、IT分野でも英語力でも諸外国に比べて遅れているのではと心配なわが国、ニッポン。少し前に話題になった「ゆとり教育」「学力低下」、最近では「教育格差」も気がかりな問題です。日本の教育、これで大丈夫? 世界の中でどの程度なの? 文部科学省 総合教育政策局政策課に聞いてみました!


第3回目 日本の教育って世界の中で進んでいる?それとも……!?

文科省3回目

各国の教育レベルを測定する国際的な二つのテスト

日本の子ども達の学力って、世界の中でどのレベルに位置するのでしょうか。

実は、各国の学力レベルを知る国際的な調査があります。最も知られているのが、OEDC(経済協力開発機構)の行うPISA(学習到達度調査)と、国際教育到達度評価学会(IEA)が行うTIMSS(Trends in International Mathematics and Science Study)の2つ。

PISAは、義務教育が終わった15歳(日本では高校1年生)を対象に、2000年から3年に1度、「科学的リテラシー」「読解力」「数学的リテラシー」の3分野において行われています。
TIMSSは、小・中学生を対象とし、1995年から4年に1度、算数および数学・理科の教育到達度を測るテストが行われています。

TIMSSが、学校で習ったことをどの程度習得しているかを評価するものであるのに対し、PISAは、義務教育修了段階で身につけた知識や技能が、実生活の様々な場面で直面する課題にどの程度活用できるかを評価するという違いがあります。

PISAなどの結果をもとに、教育内容は改善されている!

今回は、PISAの結果をもとに、日本の教育のレベルにいて見てみましょう。

まず、PISAの目的ですが、生徒一人ひとりの学力を見るというよりも、国全体の教育施策が適切であるかどうかを見るのが目的。調査に参加する国は、PISAの結果を見て、今の教育施策のどこが問題かを明らかにし、改善に活かしていくというのがPISAのあるべき活用の仕方です。

日本でも、学校で教えるべき最低基準を定めた学習指導要領は、PISAで測っている能力の考え方(キーコンピテンシーhttp://www.mext.go.jp/b_menu/shingi/chukyo/chukyo3/039/siryo/attach/1402980.htm)も参考にしつつ改訂を繰り返してきました。

日本は上位グループに属している!

さて、気になるのは日本のレベルです。
3年に1度行われるPISA。直近では2018年に行われましたが、その結果が出るのは今年(2019年)の終わりごろ。現時点での最新データは、2015年に行われたものです(http://www.nier.go.jp/kokusai/pisa/index.html#PISA2015)。

まずはベスト10を見てみましょう。参加国70カ国のうち、科学的リテラシーでは2位とまずまずの成績。読解力は8位、数学的リテラシーは5位。そんなに悪くないんじゃない?とも思うのですが、1位はシンガポールが独占。かつてはアジアの星と言われた日本としては、ちょっと悔しいかも。

世界各国

しかし、そもそもPISAは、各国で競争するためのテストではなく、既に述べたように、国の教育施策の改善点を明らかにするためのもの。順位だけでなく、どういう力が足りないのかを注意深く見る必要があります。

また、文部科学省によると、日本のように人口1億人規模の国で上位グループをキープしているのは実はすごいこと。シンガポールは人口約561万人、香港は740万人、中国に至っては、北京・上海など大都市圏のみの参加です。日本では、「教育格差」が話題になることもありますが、実はこれだけ広く多くの人に一定レベルの教育をしている日本は、世界に類を見ない国と言えるのです。

2020年から始まる新しい学習指導要領の真価が問われるのは2021年

順位だけでなく、点数の推移も見てみましょう。下のグラフを見てください。
2000年から2003年、2006年にかけて急に下がっていることがわかります。

グラフ

文部科学省によると、ちょうど2003年のPISAが行われる前年の2002年に、学習指導要領が改訂され、学校教育が「ゆとり教育」へと舵を切りました。学校が完全週休2日になり、授業時間数も大幅に削減されました。そのタイミングでの点数の低下は「2003年ショック」とも呼ばれ、ゆとり教育の弊害ではないかと大きく批判を受けました。

国も、ゆとり教育の根底にある「生きる力」を育てるという理念は間違っていないとしつつも、ゆとり教育から脱ゆとりへ教育へと揺り戻しを図り、2007年には授業時間数を増加するなど学習指導要領を改訂。その後、PISAのスコアも改善していきました。

となると、気になるのは、2020年から始まる新しい指導要領。次にPISAが行われるのは2021年ですから、そこで新学習指導要領の真価が問われることになるでしょう。

課題はICTリテラシー

ところで、せっかく回復したスコアが2015年でまたダウンしています。この理由は、文部科学省の報告では、この年から、試験がコンピュータで行われるようになったことも一因ではないかとされています。

PISAでは学力調査のほかに、アンケート調査も行っていますが、それによると、意外なことに、日本の子どもは、パソコンの使用に慣れておらず、ワードやエクセルといったおなじみのソフトを使うのが苦手なことがわかりました。そのため、コンピュータで行う試験で適切な回答ができなかった可能性があるのです。

また、OECDが行った、「国際教員指導環境調査(TALIS)」では、学校でのICT活用も、日本は先進諸国の中でかなり遅れている(参加48カ国中46位)という結果が出ています。

AIに仕事を奪われるかも、と言われる今の時代に、ICTリテラシーが低いのはかなり心配な状況。国としても、大変な危機感を持っていて、ICTスキルの育成には本気で力を入れていくとのこと。柴山昌彦文部科学大臣も、昨年11月に発表した「学びの革新プラン」の中で教育現場における先端技術のフル活用を謳っています。

まとめ

さて、日本の学力について、PISAの結果を中心に聞いてきましたが、なんだかんだ言っても日本の子どもの学力は上位グループにあり、教育の質は世界的にも高いと言えます。心配なICT教育も、国は本気で取り組んでいます。

変化が激しく将来の予測が困難な時代を生き抜くために、知識を詰め込むだけではなく、「自ら課題を見つけ、自ら学び、自ら考え、判断して行動する力」を育てることを目的として、2020年度から新しい「学習指導要領」がスタートします。

PISAは我が国の教育施策の方向性が正しいかどうかを見極める判断材料でもあることから、この新しい学習指導要領の成果を測る指標にもなるでしょう。その結果を受け、国はどのような方向に未来の教育の舵を切るのか。ぜひ、関心を持って見守りたいと思います。

取材・構成○石井栄子


第1回 不登校児童生徒数44万人ってどういうこと!?
第2回 相変わらずなくならないいじめ、どうしたらいい?

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