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大人気受験マンガの編集者に聞く!『二月の勝者』はなぜママにヒットしているのか!? 

2019.08.09

中学受験の実態をリアルに描いたマンガ『二月の勝者-絶対合格の教室-』(「週刊ビッグコミックスピリッツ」(小学館)で連載中)がママたちの間で話題沸騰中。
ハナコママ編集部の男性陣も「ママに勧められて」愛読中! 筆者も既刊の単行本1集から5集まで大人買い&一気読み! 面白くてページをめくる手が止められません!!

漫画_二月の勝者

「中学受験は課金ゲーム」「受験家庭は金脈」などこれでもかというほど露悪的な言葉を吐く主人公の塾講師・黒木と新人女性塾講師・佐倉とのバトルや、親たちの葛藤、追い詰められ、それでも成長していく子ども達の姿から目が離せません。10月発売予定の第6集が待ち遠しい!!

受験にかかるお金、合格率、中学校事情など、綿密なリサーチをベースとしたリアルな情報も満載で、これから受験を考える人にとって「超お役立ちのガイドブック」という声も挙がっています。 

『二月の勝者』の担当編集者、加納由樹さんに、制作秘話を聞いてきました!

“中学受験という驚くべき世界”を描きたかった

――そもそも、『二月の勝者』が描かれた背景は?

作者の高瀬志帆さんが、別の媒体で原作付きの中学受験マンガを描いたことから”中学受験という驚くべき世界”に興味を持ち、中学受験を描いてみたいとご提案があったのが3年前のこと。2020年からの大学入試改革も話題になっていましたし、それに伴って中学入試も大きく変わることが予想され、今このテーマを取り上げるのは面白いのではと。

「学ぶってなんだろう」という普遍的なテーマや、家族愛や教育格差といったことも当然含まれてくるだろうから、中学受験に関わりのある人、ない人を問わず、幅広い層に受け入れられるのではと思いました。

それから3年間、徹底的にリサーチをして構想を練り、連載をスタートしました。

二月の勝者_2
(C)高瀬志帆/小学館 週刊ビッグコミックスピリッツ連載中

インスタグラムからママたちに広がった

――実際に連載を始めてからの反響はいかがだったでしょうか。『週刊ビッグコミックスピリッツ』という男性向けのマンガ雑誌での連載にもかかわらず、ママたちの間で話題になり、単行本のみならず雑紙連載の次回を「早く読みたい」と熱望する声も聞かれます。その秘密はどこにあるのでしょうか。

通常は、ハガキやツイッターで読者の声が寄せられることが多いのですが、『二月の勝者』の場合、インスタグラムでかつてないくらい読者の反響がありました。これは、青年誌では異例のことなんですよ。

しかも、お母さん同士のネットワークの中で相当な数の反響があったんです。「妻に勧められて読んだ」という男性の声も多く、ふだんの『週刊ビッグコミックスピリッツ』読者層以外の方々にも読者が広がったことが驚きでしたね。

「うちだけじゃなかった」「わが子に重ねて思わず涙した!」の声が

――具体的にはどのような声が挙がってきたのでしょうか。

二月の勝者_3
(C)高瀬志帆/小学館 週刊ビッグコミックスピリッツ連載中

女性からは「抱えている悩みがうちだけではないと救われた」とか、「わが子とマンガの登場人物とが重なって、思わず涙した」といった声を多くいただきました。

男性からは、単純にマンガとして面白い、という声が多かったです。実際にお子さんの中学受験を体験されている方からはもちろんですが、中学受験とは関係のないマンガファンの方たちからも、支持していただいています。

塾にかかる費用とか、合格率ですとか、リアルに数字を出しているので、そういった「情報」に対する驚きの声も多かったですね。

塾の経営者や塾講師の方も読んで下さっているのですが、「とてもリアルに実際の受験のことや塾での様子が描かれている」と言っていただいています。

――マンガの主人公・黒木の「合格できたのは父親の経済力と母親の狂気」といった過激なセリフも話題になっています。保護者を「金脈」としか思っていないような黒木に対して、マイナスの反応はなかったのでしょうか。

二月の勝者_3
(C)高瀬志帆/小学館 週刊ビッグコミックスピリッツ連載中

意外に批判は少なかったですね。むしろ「本音で言ってくれてすっきりした」という声が多いと感じます。

親と子がともに同じ目標に向けてがんばる機会としての中学受験

――マンガの中には、さまざまな家庭の葛藤や子どもの心理状況が描かれていて、よく調べているなあと感じました。私も子どもと中学受験をしましたが、あるある感も満載ですね。このマンガをきっかけに、実際に「中学受験をしようか、やめようか」と悩むご家庭もあるのではないでしょうか。

二月の勝者_5
(C)高瀬志帆/小学館 週刊ビッグコミックスピリッツ連載中

『二月の勝者』では、中学受験に対して中立であるよう意識しています。
手放しで中学受験を勧めるのではないし、中学受験をするべきではない、というのでもなく、良いところと悪いところを両方提示しています。 
ただ、たとえば「嫌がる子どもに無理矢理勉強をさせている」「熾烈な競争をしてトップ校に入れなければいけない」などのような、中学受験に対する画一的なイメージについては、「そうじゃないところもあるのにな」と思うんですね。 
中学受験を通して、子どもがどんどん成長していく姿はスポーツや芸術をがんばる子どもと同じように、感動的です。高校受験からは子ども自身の受験になると思うので、親と子が密接に関わってひとつの目標に向けて力を合わせるのって、もしかしたら中学受験が最後になるかもしれない。中学受験のそういう側面は知ってほしいと思っています。

中学受験を成功体験とするのが、一番の勝者

――二月の勝者とは、言うまでもなく、2月に行われる中学受験の合格者ということだと思いますが、物語は合格というゴールに向けてどう展開していくのでしょうか。

『二月の勝者』には、さまざまな性格の子どもや、事情が異なる家族が登場していますが、皆、それぞれにがんばった結果どうなるか、納得のいく着地点に向かっていきます。しかし必ずしも2月に合格することだけが勝者なのかについては、最後まで見届けていただきたいと思います。
そういう意味では、お子さんがまさに受験まっ最中のご家庭、これから中学受験を考えているご家庭にとってこの作品が、中学受験が「いい成功体験」として記憶に残るためのささやかなきっかけにでもなれればいいなと思っています。

ここで言う成功体験とは、少しでも偏差値の高い学校に入ることではなく、その子の人生にとって最善の選択ができること。子どもが目標に到達すること、子どものキャラクターに合った学校に入ることももちろんですが、中学受験をしたことが前向きな記憶として子どもに残って欲しいと思います。 

――10月には第6集が発刊予定とか。第6集を心待ちにしている読者の皆さんにメッセージをお願いします!

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小学館 週刊ビッグコミックスピリッツ編集部 副編集長 『二月の勝者』担当編集者 加納由樹さん

第6集の冒頭は、夏休み後の9月の模擬テストです。受験生にとって夏休みは、天王山と言われています。夏休みをどう過ごしたか、その結果がすべて模試に現れる。そこでの登場人物たちの悲喜こもごものドラマがが見どころですね。

ほかにも文化祭や学校説明会を舞台に、主人公・黒木の教える学校見学の心構えや学校選びのポイントなども出てきます。

10月ともなると、物語の中でも、親も子も本番に向けて追い込みの時期に入ってくるので、いろいろな問題が起こります。そこもぜひ楽しみにして欲しいですね。

――待ちきれませんね! ありがとうございました!

取材・構成○石井栄子