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Education教育

20年後の教育はこうなっている!?日本の教育も今に変わってくる!?新しい学びを実践している3人の大学生をご紹介

2019.08.28

第5回 日本の教育だって、今にガラっと変わる!3人の大学生に見る、教育の大変革の兆し

20年後の教育_大学生

これまで、日本の教育は既存のレガシーが足かせとなって世界の潮流から遅れているという話をしてきました。しかし、明るい兆しもあります。今回は、既存の枠を飛び出して、新しい学びを実践している3人の大学生について話したいと思います。

バリ島のグリーンスクールで、持続可能な世界のために何ができるか考える

一人目は、慶應義塾大学環境情報学部一年のA君。

彼は、兵庫県の公立小学校に通っていましたが、小学校6年生のときに、イギリス式のインターナショナルスクールに転校。その後、中学では公立校に通うのですが、学校が合わなかったのか、いわゆる不良の道に。中3のときには不登校となり、フリースクールに通いました。高校から心機一転。バリ島にあるグリーンスクール(Green School:https://www.greenschool.org/green-school-english/japanese/)という高校で学びました。

グリーンスクールは、ジャングルの中にある学校ですが最新のICT環境を備え、授業はすべて英語。学校のミッションを、「持続可能な世界を作ることのできる学習者の育成」とし、プレゼンテーションやコラボレーションをメインとした問題解決型の学習が行われています。つまり、教科書どおりのことを学ぶのではなく、自分で課題を見つけ、自分で調べて結論を導き出すという学習です。

A君は、在学中に「COP23(2017年に開催された第23回気候変動枠組条約締約国会議)を、クラウドファンディングで集めた資金で見学 に行く」「オーガニック成長剤の研究・販売(失敗)」「ADHDへの教育的アプローチの研究」などの活動を行いました。

大学生となった今は、友達のビジネスを手伝ったり、自らも起業を目指してビジネスコンテストに参加するなど、積極的に活動しています。

ミネルバ大学で、困難な時代を切り拓くチェンジメーカーを目指す

B君は、小学校はイギリス式のインターナショナルスクールに通い、中学校は広尾学園のインターナショナルAGコース(海外在住経験1年以上か同等の英語力がある生徒が対象のクラス)に入学。都立国際高等学校の IB(国際バカロレア)コースに進学し、その後、UWC ISAK Japan(ユナイテッド・ワールド・カレッジISAKジャパン:https://uwcisak.jp/jp/)という、軽井沢にある全寮制のインターナショナルスクールに転校。現在は、ミネルバ大学(連載第2回でも紹介した、アメリカのオンラインの私立大学)の2年生です。

B君の通ったUWC ISAK Japanも、自ら課題を見つけ解決していくプロジェクト型学習が中心。B君は、在学中に「軽井沢アウトレットモール内に中古の着物を扱うショップをオープン」「海洋保護についての絵本を出版し、長野県の図書館や小学校に配布」「サンフランシスコ公立中学校の先生に向けた修復的正義を学ぶオンラインコースの作成」などの活動をしました。

現在は、「リクルート(スタディサプリ)でのインターン」「ミネルバ大学に長期的な語学勉強システムを導入する」「日本にいる面白い大学生を集めて興味ある分野を共有し合う場作り」「コンピューターサイエンスの勉強」などの活動をしています。

早くから才能を開花させ、自分の好きなことを追求する

C君は、小学校から大学附属校に通っていましたが、高校の時にN高(連載第3回で紹介した、日本のオンライン高校)に転校。N高では、「通信制高校初のディベート部を設立」、「動画メディアbouncyにて国内外の面白いIT製品・サービスを取材」「オンラインディベートプラットホームの開発」など、積極的に活動。

C君の場合は、中学校のときに、経産省主催の「未踏ジュニア(独創的なアイデアや、卓越した技術を持つ17歳以下のクリエイター、プログラマーを対象に、最大50万円の開発費を提供)」に選ばれ、音楽アプリの開発もしています。

現在は、慶應義塾大学環境情報学部 (SFC)の1年生で、誰でも個人が自分の好きな楽曲を合法的に配信できるネットラジオを開発しています。

敷かれたレールの上を歩くのではなく、自ら未来を切り拓いていく

この3人の共通点は、これまでのような、教室に座って与えられた教材でみんなと同じことを一斉に学ぶという学習スタイルとは全く違う学び方をしていること。

大人たちが敷いたレールの上を歩くのではなく、社会をよくするためにできることは何か、自分で考え、自分でプロジェクトを立ち上げて実際にビジネスを立ち上げたり、プログラムを開発したり、コミュニティを立ち上げたりしています。

20年後の教育スタンダードを作るのはハナコママの子ども達

そんなの一部の特殊な環境の子でしょう? お金持ちだからできることだよね、と思うかもしれません。確かにそのとおりです。

ただし、それは、現時点での話。

20年後、今の子ども達が大人になる頃には、これがスタンダードになっていると私は思っています。

今よりもオンラインで学ぶ環境が進化し、無料で利用できる学習アプリも充実して、希望すれば誰でもが、一人ひとりの興味・関心に合った自由な学び方が選択できるようになる。それがまさに、この連載の第1回目で述べた、EdTechがもたらす、アダプティブラーニングであり、教育の民主化(広くあまねく、教育の機会が与えられる)なのです。

環境が変わるだけではありません。今までのように、一生懸命受験勉強をして、ブランド大学に進学し、有名企業に就職するのをよしとする価値観も大きく変わっているでしょう。

20年後の教育スタンダードを作るのはハナコママの子ども達です。

かつて、白黒テレビがカラーテレビになった頃のことを思い出してください(Hanakoママ世代は知らないか!?)。白黒がスタンダードだった時代には、従来のテレビと区別して、わざわざ“カラー”テレビと言っていました。でも今は、テレビといえばカラーが当たり前なので、誰もカラーテレビなんて言いません。

EdTechも同じです。EdTech(ICTを駆使した多様な学び方)が、当たり前のスタンダードになれば、わざわざEdTechなんてだれも言わなくなるでしょう。

Tech(テクノロジー)を活用して、学習者にとっての個別最適な学習法が当たり前になる日を夢見て、これからも私はEdTechコミュニティ活動を続けていきます。

高山智司(EdTechJapan リサーチアナリスト・公共政策シンクタンク代表理事)

高山智司(EdTechJapan リサーチアナリスト・公共政策シンクタンク代表理事)

衆議院議員3期10年の経験を生かし公共政策シンクタンク設立。公共政策ファシリテーターとしてセミナー講演多数。本業はシブヤの大企業役員と社会人大学院生。中学生と小学生の父親。
好きなこと:スーパー銭湯とマラソン

取材・構成○石井栄子

※この連載は、今回で一度終了いたします。ご愛読ありがとうございました!


第1回 20年後、どんな力を身につけなければならないか
第2回 10年先取り?アメリカのEdTech事情
第3回 開校3年目にして1万3千人の生徒を集める“N高”とは
第4回 新興国のリープフロッグで、日本の教育は追い抜かれる

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