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外出先でも偶然会いたくなる。その角を曲がったら、娘たちに会えるかもと期待してしまう父【連載・室木おすしの「娘へ。」】

2019.09.03

この連載は……

イラストレーターで、3歳と1歳の双子の女の子のパパ、室木おすしさんによる育児イラストエッセイ。

娘が将来結婚などして(しなくても)離れていってしまうことが今から心配で、0歳のころから、娘とのあれこれを結婚式で思い出そう!と「娘素材集」を頭の中にコツコツと作っている、という室木さん。

この連載では、よりすぐりの素材をチョイス。

室木さんが娘の結婚式でスピーチとして娘に読んでいるような体でお送りします!

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「あなたに会えるかもしれないと思う曲がり角」【第29通目】

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娘へ。

道端やマンションのエントランスで、偶然あなたに出会うことの嬉しさに気がついたのは、あなたが3歳から4歳の頃だったと思います。
それまでは、家にいる状態が当たり前だったあなたですが、幼稚園に通うようになり、私が認識しないお出かけをするようになりました。

幼稚園のお友達との公園遊び、はたまた地区センターやヨーカドー。
妻は幼い3人の子供を引き連れて、毎日のようにお出かけをしてくれました。そのおかげでその時間、私は仕事をすることができたのですが、妻は本当に大変だったと思います。

その頃合、外出の仕事から戻ってきた時などに、ふと思うことがありました。
「道端でばったりあなたたちに会わないかな?」ということです。

家で毎日会っているのに、どういうわけか、外出先でも偶然会いたくなる、この心持ち。人間とは欲深いものです。
ただ偶然に出会った時の嬉しさを一度体感してしまうと、何度も、それを求めてしまうのが、父の性というやつなのです。

それほど、ばったりあなたたちに合うことの幸福感は、私を潤しました。
今でもその時の顔は忘れられません。

「あ」という驚きの顔から、すぐにニンマリと嬉しい笑顔になるその刹那の流れ。
「幸せ」という言葉だけでは言い表せないような、胸がじわ~っと満たされる瞬間でした。

娘

それからあなたは
「なんでいるんだよ、もう~」
と、なぜか怒ったようなセリフを言いました。
そして私は両手を広げると、小走りに寄ってきたあなたを、さっとすくい上げ抱っこをしました。

なんて素敵な時間だったのでしょう。

荒っぽい言葉で言うと、
「たまんねえな」と思いました。

こんなたまらないことが日常のちょっとしたところに転がっているなんて、あの頃の日常の射幸性の高さ、一体どうなっていたのでしょう。
パチンコ台なら違法性を疑われるレベルだったと思います。

そのため私は出かけるたびに、「その角を曲がったら、あなたたちがいるかもしれない」と、期待してしまうようになったのです。

ここを曲がったらあなたたちがいるかもしれない。

ああいなかった。

次の角を曲がったらいるかもしれない。

ああいなかった。

そのコンビニ入ったらあなたたちが買い物をしているかもしれない。

ああ!いた!

いつしかそう思うことも少なくなってきましたが、
今でもたまに思ってしまう時があります。

その角を曲がったらあの頃のあなたたちが、
変な歌を歌う三女と次女が、
大きな声で妻に話しかけているあなたが、

いるかもしれないと。

もし本当にいたら、たくさん抱きしめるのに。

今日は、この式場でふとそんなことを思い出しました。
ここの広い廊下を歩いていたとき、その角を曲がったら、と思った先には、

あの頃には想像できないような、いや想像していたかもしれないけど、それをはるかに超える、綺麗なドレス姿のあなたがいました。

結婚おめでとう。

もう両手を広げても、全然抱っこをさせてくれないんだもんね。大人になったね。

外出

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心の披露宴は心の雅叙園の中、披露宴中、新郎の妹が話しかけてくれた時に、初対面だったとしても、ちょっと兄貴面してしまう自分を反省しつつ、まだまだつづく。

001-illust-05プロフィール

室木おすし

イラストレーター、漫画家。長女と双子の次女・三女の父。
悲しみゴリラ川柳家元。オモコロネットラジオ「ありっちゃありアワー」パーソナリティ。
雑誌やWEBで記事や漫画の執筆をしたり、広告でイラストやGIF動画を作成したりと日々あくせく。
夜泣きのひどい次女の抱っこには定評があり、2018年には生春巻きが好きだという自分の側面にはたと気づいた。

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