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カリスマ塾講師に聞く!今どきの子どもは数の感覚が乏しい!?幼児期に身につけておきたい力とは【今から知っておきたい中学受験のイロハ】

2019.10.15

第9回 幼児期に身につけておいてほしい力

中学受験9回目

これまで、学校の選び方、塾の選び方、受験にかかる費用など、中学受験について書いてきました。今回は、直接中学受験に関係ないように思うかもしれませんが、幼児から9歳くらいまでの間に、ご家庭でしておいてほしいことについて話したいと思います。実際にはこの時期の親のかかわり方は、後々、中学受験にも大きく影響していきます。

今どきの子どもは数の感覚が乏しくなっている!

私は、受験塾の代表として中学受験・高校受験の指導をしているほか、幼児から小学生を対象としたアフタースクール(学童保育)の運営もしています。最近のお子さんを見ていて感じるのは、数の感覚が非常に乏しくなっているということ。

今の子は、お金を持っていません。バスや電車に乗るのも、コンビニでお菓子を買うのも、PASMOやSuicaなどの交通系ICカードが1枚あればこと足りてしまうからです。
だから、使ったらお金が減るという感覚もないし、おつりをもらうという経験もありません。私たちが子どもの頃は50円とか100円を持って駄菓子屋に行き、このお金をどうやりくりすればよりハッピーになれるかと頭を働かせたものですが、今の子たちはそういう経験をするチャンスがないのです。

自分でお金を払ってモノを買うという経験がないから、たとえば算数の「1本200円のチューリップを5本買ったらいくらになりますか」といった問題で、うっかり2000×5といった式を立てて答えを間違ってしまったりする。一般的な金銭感覚があれば、「あれ?お花5本で10,000円っておかしいな」と気づきそうなものなのですが……。

数の感覚を養うために日常生活の中でできること

こういう感覚って、ある日突然芽生えるものではありません。ですから、幼児のうちから生活の中で自然と育むよう、保護者の方には意識してほしいなと思います。

たとえば一緒に買い物に行くだけでもいい。世の中のモノがいくらくらいで売られているのか。同じようなものでも高いもの、安いものがあるのはなぜか、といったことを親子で話しながらお買い物をするだけで、ずいぶん違ってくると思います。

食事の時間も、上手に利用しましょう。
たとえば、大皿に盛ったおかずを「一人何個ずつなら平等に分けられるかな」と考えさせてみたり、「何個食べたら何個残る?」と聞いてみたりしてもいいでしょう。

時間の感覚についても、日常生活の中で身につけさせましょう。
最近は、アナログの時計が読めない幼児が少なくありません。だから、「あと何分」という感覚がわかりません。できれば、リビングなどよく見えるところに大きめのアナログ時計を置いて、「今何時?」「あと何分で6時だね」というように声かけしてあげましょう。それだけでも、時間の感覚が育っていきます。

幼児向けのドリルで計算問題をさせるよりも(子どもが喜んでやるのならいいですが)、そういうことのほうが大事ではないかと思います。

自然体験、家庭内での会話も大事!

自然体験もたくさんさせてほしい。塾でも4年生の理科で、植物について学ぶのですが、実際の植物を見たことがないという子が大変多いです。霜柱も見たことがない。教科書で初めて見たと言う子もたくさんいます。体験がないと、教科書に書かれた情報をただ読んで覚えるだけの勉強になってしまいます。理解もしづらいし、面白くない。面白くないから覚えられない。

社会でも、実際に山や川に行って、地形を見た経験のある子とない子では、理解の仕方が全然違います。

そして、最も大切なのは、言葉や表現です。お子さんにぜひたくさんの言葉をなげかけ、そしてたくさん傾聴してあげてください。お子さんのボキャブラリーを増やし、表現豊かにしていくことは、中学受験はもとより、人生においても大きな財産となるでしょう。

中学受験の勉強って、12歳の子にとってはかなりハードな内容です。でも、学校では習わないような生活に根差した問題も多く勉強します。とくに理科や社会ではそういう問題が多く出されます。そのためだけに、自然経験をしてください、日常生活でいろいろな経験をさせてくださいというわけではありませんが、実体験が多い子のほうが有利なのは確かです。

もちろん、経験に根差した知識や知恵は、中学受験のもっと先、大人になったときにも一般常識として役立っていきます。その土台となる力は、幼児期のうちにつけておいてほしいのです。その力は、中学受験をするしないにかかわらず、必ずその子の人生を豊かにしてくれるはずです。

小澤珠美さん

小澤珠美さん

学生時代に元文部科学大臣・下村博文氏が主宰する学習塾で、アルバイトで塾講師を始める。大学卒後、15年大手進学塾、株式会社早稲田アカデミーで高校受験・中学受験の指導に従事。特に中学受験において、女子の算数指導、受験指導、保護者の方のサポートに尽力し、合格実績に貢献。2010年に独立し、2013年に市ヶ谷に移転。2018年春より、働くパパ・ママを応援するため民間学童保育・放課後スクールMOCOPLA(モコプラ)を四谷に開設。2019年春、自立を育む学びの場(学習塾、プログラミング教室、アルゴクラブ、英会話)Credo久が原オープン。また一般社団法人 日本青少年育成協会認定 準上級教育コーチ・PM級トレーナーとして、パパ・ママの笑顔、その先にある子どもたちの笑顔を支援するため、教育コーチングをベースにした「子育てセミナー」「ワークショップ」などを開催。また公立・私立中学校PTA、地方教育委員会、新宿区男女共同参画課等から保護者向けコーチングセミナーを受託。

著書:中学受験超成功法『ママは楽しく息を抜く』(ギャラクシーブックス)
共著:『輝く女性起業家16人:未来を創る~私たちが選んだ道』(カナリアコミュニケーションズ)

取材・構成○石井栄子

第1回 中学受験の現状
第2回 中学校受験をする親の心構え
第3回 私立中高一貫校ってどんな学校?
第4回 公立の中高一貫校と大学附属校
第5回 学校選びのポイント
第6回 失敗しない塾の選び方
第7回 塾にもあるの!?ダブルスクールが必要なわけ
第8回 中学受験にかかるお金の話

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