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カリスマ塾講師に聞く!中学受験は親子でできる共同作業?親のかかわり方とは。【今から知っておきたい中学受験のイロハ】

2019.11.04

最終回 中学受験への親のかかわり方はどうあるべき?

中学受験についてのあれこれを書いてきましたが、いよいよ最終回。この連載の初めに「中学受験は親子でできる最後の共同作業」と言いました。今回はそのことについてお話ししたいと思います。

女の子 勉強 手元

中学受験へのかかわり方は、親50%、子ども50%

実際に中学受験をするのは小学6年生の子どもです。中学受験を目標に塾に通い始めるのはだいたい小学校4年生から。このくらいの子どもが、自分で「中学受験をしたい」と言うことはまずありませんから、中学受験は親主導で始まるケースがほぼ100%です。遊びたい盛りの子どもが受験勉強を進めていくには親のサポートが欠かせませんし、学校見学や学校選びも十分な情報を持たない子どもではなく、親が中心になるのが現実です。「中学受験は親の受験」と言われるゆえんです。

しかし、最初から最後まで、親主導の中学受験では、うまくいきません。

親子ともがんばって中学受験に挑み、第一志望に合格してもしなくても「いい経験ができたね」と言い合えるのが理想の中学受験。そういうときの、親子のパワーバランスは、親50%、子ども50%。若干、子どものほうが大きい、くらいならいいのですが、親が大きすぎるとまずうまくいきません。いきすぎると、最近問題になっている「教育虐待」なんて言われてしまうかもしれません。

なぜ「中学受験は親子でできる最後の共同作業」なのか

親も子も、同じ目標に向かって本気で取り組む。それが中学受験です。そして、それができるのは、子どもが小学校までなのです。

中学校になると、子どもは心も体も大きく成長します。小学校のころのように、どこに行くにも送迎することもなくなるし、子どもは、家族でどこかに出かけるよりも友達と遊びに行くことのほうを好むようになるでしょう。思春期を迎えると、学校で何があったとか、以前のようには話してくれなくなるかもしれません。

もう親子で同じ目標を追いかける機会もなくなります。高校受験、大学受験も、子ども主体。親は完全に蚊帳の外状態になります。
だから、「中学受験は、親子でできる最後の共同作業」なのです。

大変だけど、「これが最後だ」と思って乗り越えて

中学受験は、正直言って大変なプロジェクトです。子どもはもちろん、親も大変です。塾の送迎、お弁当づくり、勉強を見てあげたり、スケジュール管理をしたり。週末も学校見学などでつぶれます。受験直前になると、併願計画に頭を悩ませたり、受験料や入学金など、タイミングを考えながらお金のやりくりをしなければなりません。

大変だからこそ、小学校4年生から6年生までの3年間、「これが最後の共同作業なのだ」と楽しみながら、親子で過ごしてほしいのです。

学校の教室

子ども扱いをやめ、一人の大人としてリスペクトする

「12歳の子どもには判断力がないから、中学受験が親主導になるのはやむを得ない」と考える方もいるかもしれません。

しかし、長年、中学受験生とかかわってきた経験から言えば、12歳の子は、自分で判断もできるし選択もできます。親の目からすれば、まだまだ子どもだと思っても、中学受験を機に、ぜひ、お子さんを一人の大人としてリスペクトしてあげてほしい。進路について考えるときは、「あなたはどう思う?」「どうしたい?」と意見を聞いてほしい。そうすることで、その子の精神的な成長につながります。

「私は親から信頼されている」「親は私の選択を尊重してくれている」と思える子は、「親が言うからやらなければ」ではなく、自分で目標を設定し、自分の意志でがんばることができます。そして、そういう子が、中学受験でもいい結果を出しているものです。

もちろん最初から、子ども一人で最適な選択ができるわけではありません。最初は、ある程度、親が筋道を立てたり、選択肢を絞るなどしなければならないでしょう。でも、最後は子ども主体で決めさせることが大事です。自分で決めたのだから、失敗 しても自分のせい。「ママが決めたことだから」と逃げるわけにはいきません。だからがんばれるし、それが子どもの自立につながります。

男の子の場合は、女の子よりも精神的な成長がゆっくりなので、自分で選択することが難しいことがあります。その場合も、全部でなくても「ここは子どもが自分で決めた」という場面 をつくってあげるといいでしょう。たとえば、「AとBならどっちがいい?」と選択肢を絞って決めさせる。日々の勉強でも、「算数を30分しなさい」ではなく「算数は何分やる?」と聞いて、子どもが決める。そうすることによって、子どもの自信になりますし、モチベーションにもなります。

親は 伴走者に徹する

受験をするのは、親ではなく子どもです。親は、あくまでも子どもの伴奏者という意識をくずさないようにしてください。

模擬テストの結果に、子どもと一緒に一 喜一憂するようではいけません。かといって、やみくもに励ますのも違うと思います。

伴走者として大事なことは、事実を観察すること。何ができていて、何ができていなかったのか。うまくいっていないことには、必ず理由があります。単純なミスなのか、本当に理解していないのか、子どもと話しながら一つひとつつぶしていく。わかっていないのなら、「塾で先生に聞いてきて」と促す。

勉強を教えるのは塾に任せて、親は時間管理や、子どもが勉強に向かう環境 づくりなど、マネジメントに徹しましょう。

「今日、塾でどんなことを勉強したの?」「この問題、ママにも説明して」と聞いてあげるのもいいでしょう。1日3分でかまいません。「へえ、そうなんだ。すごいね~」と聞いてあげれば、子どもは喜んで 説明 してくれます。人に説明 することで、自分の理解が深まりますし、わかったつもりでわかっていなかったことに気づくこともできます。

勉強

中学受験はゴールではない

言うまでもなく、中学受験はゴールではありません。お子さんの人生はその後も続いていきます。わが子が幸せな人生を歩んでいくためには、今、この3年間をどうがんばればいいか、この子の人生の中で中学受験をどう位置付 けるのかという視点 をもって、中学受験に挑んでほしい。大変なこともあったけど、やってよかったね、という中学入試で終わってほしい。親だけががんばる、子どもだけががんばる、だけでなく、共同作業として取り組んでほしいと思います。

小澤珠美さん

小澤珠美さん

学生時代に元文部科学大臣・下村博文氏が主宰する学習塾で、アルバイトで塾講師を始める。大学卒後、15年大手進学塾、株式会社早稲田アカデミーで高校受験・中学受験の指導に従事。特に中学受験において、女子の算数指導、受験指導、保護者の方のサポートに尽力し、合格実績に貢献。2010年に独立し、2013年に市ヶ谷に移転。2018年春より、働くパパ・ママを応援するため民間学童保育・放課後スクールMOCOPLA(モコプラ)を四谷に開設。2019年春、自立を育む学びの場(学習塾、プログラミング教室、アルゴクラブ、英会話)Credo久が原オープン。また一般社団法人 日本青少年育成協会認定 準上級教育コーチ・PM級トレーナーとして、パパ・ママの笑顔、その先にある子どもたちの笑顔を支援するため、教育コーチングをベースにした「子育てセミナー」「ワークショップ」などを開催。また公立・私立中学校PTA、地方教育委員会、新宿区男女共同参画課等から保護者向けコーチングセミナーを受託。

著書:中学受験超成功法『ママは楽しく息を抜く』(ギャラクシーブックス)
共著:『輝く女性起業家16人:未来を創る~私たちが選んだ道』(カナリアコミュニケーションズ)

取材・構成 石井栄子

第1回 中学受験の現状
第2回 中学校受験をする親の心構え
第3回 私立中高一貫校ってどんな学校?
第4回 公立の中高一貫校と大学附属校
第5回 学校選びのポイント
第6回 失敗しない塾の選び方
第7回 塾にもあるの!?ダブルスクールが必要なわけ
第8回 中学受験にかかるお金の話
第9回 幼児期に身につけておいてほしい力

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