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おっとり男子の野球生活苦しみながら答えを探す。中学受験と少年野球はどこまで両立できるのか(続編)。【スポ少ってこんなです 10】

2019.10.25

この連載は…

子どもが大きくなったら参加させてみたいチームスポーツ。ここでは少年野球チームに所属している長男の日常を通して、活動や雰囲気、保護者の当番などについてお伝えしています。


野球してる場合じゃない!? 受験生の秋。

受験生なのに参加した野球合宿。それはキュウヤにとって夢のようなひとときでした。

6年の選手たちがそれぞれ自分の課題をもって、練習に明け暮れ、シーズン最後の戦いに挑んで行く秋。受験勉強との両立を理由に、いつ休部するかわからない選手の指導は、監督・コーチたちもやりにくかったことと思います。

高校球児

「今の小学生は色々やりたいことがあるのは理解している。本当は野球に集中して欲しいけれど、本人がやりたいことが他にあるなら、それも応援したい」。

監督のこの言葉にどれだけ励まされたことか。どっぷり甘えるカタチになりましたが、合宿中は練習試合にも出て、朝から夕方まで白球を追いかけて、最終日には恒例の保護者やOBとのバーベキュー大会も楽しみました。帰宅した時の晴れやかな表情!まさに元気フルチャージという様子でした。

しかし、2学期になると塾のカリキュラムもいよいよ佳境に入ってきます。唯一空いていた日曜午後にも、志望校別対策のカリキュラムを取ることに。志望校の過去問を解きつつ、傾向の似た問題を演習する授業です。志望校の「そっくり模試」も組み込まれ、順位や合格判定も出て、成績順に1組、2組…とクラスに分けられます。

それまでキュウヤの成績は、ぐんぐん上がることもない代わりに、下がることもありませんでした。特にひらめきとか、勉強の才能があるというわけでもないキュウヤですが、心は安定していました。多くの小6受験生と同じように、塾の先生からやっておきなさいと言われたことは、真面目に取り組んでいたと思います。

平日の通常授業中に集中し、なるべくその場で知識を身につけること。週末の模試ではミスした問題の中から、正答率が高い物を選び出してやり直すこと…は一通りやっていました。

平日頑張る代わりに、土日は野球に行く。メリハリのある生活で、心身ともにリフレッシュして、集中力も身に付けることも出来ました。ところがここに来て、とにかく時間が足りないことを実感するようになりました。次々と行われるテストと、浮かび上がってくる課題。上位クラスの、特に算数は御三家対策用の難問も多くなり、今まで通りの勉強方法では結果に結び付かない。毎週月曜日、テスト結…果が塾のWEBにアップされるのを見るたびに、親子で沈んでいくのでした…。

Off-season

下がる成績。このままでは受かる気がしない!

とうとう受験まであと数ヶ月の秋の模試で、偏差値が5ポイントほどダウンしてしまいました。体調が悪かったわけでも、特に苦手な分野が出たわけでもなく、実力を出し切った感があっても成績がガクッと落ちる恐怖。後に冷静になってみれば、この頃は難問を中心に学習していて、難度の低い問題をしっかり解く演習が手薄になってしまい、あぶはちとらずな状態だったのかな、と思います。

「このままではどこも受からない気がする」…キュウヤは悲観的になりました。中高一貫校に進学し、途切れることなく、6年間野球をしたいという夢。何度か見学に行って、未来の自分が描ける憧れの中学…。なんとしてでも合格したいという気持ちがあります。

しかし同時に、今のチームには、リーグ優勝に向かってどんどん進んで行く勢いがある。低学年から毎週、勝つために練習を積み重ねて来たのです。スッパリと止めてしまうのは本当に苦しい。

いよいよ休部をしようと覚悟を決めた10月のある日、監督からキュウヤに1本の電話が掛かってきました。話の内容はこんな感じでした。

知っていると思うが、ピッチャーのNくんが骨折してしまった。代わりのピッチャーは、何でも出来る現キャッチャーKくんや、内野手のHくんが務めることになるだろう。キュウヤは受験勉強中なのは承知だけれど、来られる時に来てキャッチャーをやってもらえないだろうか。

電話を切った後のキュウヤの表情!

このタイミングでのチーム体制のピンチと、今まで経験したことのない監督からの直電に、キュウヤの中で何かがパチっと弾けた、そんな瞬間でした。

「これからもなんとか工夫して、野球に行く!勉強も今以上に頑張って、ぜったい合格する! その代わり、ちょっとした息抜き(テレビや漫画)の時間をゼロにして、わずかな隙間時間も大事にする」

大興奮のキュウヤでした。

「これからは受験校では出題されないような難問は出来なくても良いことにして、基礎と応用の間に位置づけられる『落とすと差がつく問題』を徹底的に演習しようと思う」

自ら戦略を決め、塾の先生にも自主的に相談して、最低限の「やることノート」を作り始めました。

この翌日からキュウヤは別人のようになった…とまでは言い過ぎですが、かなり大人びたような感じがします。覚悟を決めたというか、開き直ったからでしょうか。塾から帰宅して22時。寝るまでの30分、習ってきたことの中で、ぜったい取りたいと感じた問題を復習していました。朝は30分早く起きて「計算と漢字」をやって、間違えた漢字や語句は単語帳に写し、朝食を摂りながら眺めていました。模試の結果も、一番悪かった時よりは上向いてきましたが、ベストの状態には戻りませんでした。でももう塾の成績を見ても一喜一憂はしませんでした。

それから受験本番1か月前まで、キュウヤは平日は勉強。週末は野球に出続け、残された貴重な数試合に出場しました。勝利した試合もあったし、負けて悔し涙を流した時もありました。ミーティングを早退して塾に向かうキュウヤに「頑張れよ」と声をかけてくれる愛すべき6・5年生の仲間たちと、対外試合禁止期間の12月半ばまで野球に没頭したのでした。

タナカユミ
ハナコママではものぐさママとしてお馴染みのライター。数年前までインドア派でしたが、今は子どもの野球はもちろん、プロ野球、社会人野球、高校野球の応援にもウキウキと出かけて行きます。いつか行きたいMLB観戦!



第1回 「まさかうちの子が野球チームに…!?」
第2回 「応援のテンションにビックリ!」
第3回 「少年野球はお金がかかる!?…」
第4回 こんなにあるの、保護者の仕事。恐るべし「お茶当番」
第5回 「パンツ、空を飛ぶ!? わちゃわちゃな夏合宿」
第6回 夏休みが終わっても週末は1日中、野球漬け!
第7回 人気ポジションはどこ?ピッチャーが人気でキャッチャーは不人気? 選手のポジションの決まり方
第8回 親はちょっと大変?!野球だけじゃない。カレーパーティに夏祭り、楽しい行事盛りだくさん



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