働くママのウェブマガジン

Mama子育てママを元気にするコラム&トピックス

日本とは異なるシンガポールの産後ケア事情。産褥ナニーさんやマッサージまで?

2019.11.12
mother and son prepare pie with flour

出産は女性にとって1つの大きなライフイベントですが、国によってスタイルや考え方もさまざま。
私は娘をシンガポールで出産し、1歳半まで当地に住んでいたのですが、出産はもちろんのこと産後の生活も日本とは全く異なり驚くこともたくさんありました。出産・子育て1つでも文化の違いでここまで変わるなんて?と思いつつ、これは日本にもあったら嬉しいと思うようなサービスも。
今回はそんなシンガポールの産後ケア事情についてほんの少し紹介したいと思います。

産後すぐに赤ちゃんを連れて外出?

私が出産をする前の話ですが、シンガポールで外を歩いているとまだほにゃほにゃの小さな「新生児」の赤ちゃんがお母さんに抱えられているところをよく目にしました。あれ、こんなに小さい子だけれど大丈夫かな?と思うくらいなのです。日本では基本的に産後一ヶ月は外出は控えましょう、といった考え方があると思うのですが、シンガポールではなんのその。まだ新生児の赤ちゃんも外に出ている姿をよく目にします。
しかしいざ自分が出産をしてみると、実際は「外出をせざるを得ない状況」でもあることが分かりました。シンガポールでは入院日数が2泊ほどでとても短いため、日本であれば入院中にケアしてくれるだろう黄疸のチェックなどもないままに退院します。
退院が早い分、やはり産後1週間くらいでまた赤ちゃんのことを先生に見せに行ったり、予防接種を打つ必要性があったりで、すぐに病院へ行く機会があります。
1回2回なら、と思うかもしれませんがそこはさすがシンガポール。黄疸チェックが日本より厳しく、数値が上がってしまうとそれを下げるための処置をする必要があり、私の友人は産後早々何度も何度も病院に通うことになっておりあまりに外出の頻度が高いと感じました。

もちろん病院だけではありません。シンガポーリアンならまだしも、外国人である身だと赤ちゃんが生まれてすぐにパスポートを取得しないと不法滞在になってしまいます。そのためにほやほやの赤ちゃんの写真を何とか撮り、その子を連れて大使館やシンガポールの滞在手続きに関する場所へ行く必要が出てきます。そういった意味で自分の娘を連れまわすことに。これが文化なのでこういうものだと思いながら連れていましたが、日本だったらこんなに頻繁に赤ちゃんを連れだすことはないのでは?と私も疑問に思いながら過ごす日々でした。

きっとシンガポールという国自体が外出しやすいからということも考えられるかと思います。
1年中暑いので赤ちゃんの寒さを心配する必要があまりないし、国が小さい分どこへでもすぐに行ける距離でタクシー文化が根付いていることもあります。ママもひょいっとタクシーに乗って距離の短い目的地まで向かい、すぐに用事を済ませる、といった合理的なスタイルになっています。

産褥ナニーさんのサポートが手厚い!

次は産後のサポートについてですが、シンガポールでは産後一ヶ月のケアは自身の両親か、産褥ナニーさんというプロの方にお願いすることが多いようです。
おそらく元々はメイドさんを雇って住み込みで家事をお願いするという文化が根付いているため、赤ちゃんが生まれた時もその道のプロの方にお願いするという考えのようです。
産褥ナニーさんとは、まさに慣れない育児のケアサポーター。赤ちゃんの扱い方、オムツの替え方、ミルクのあげ方、お風呂の入れ方…と新米ママには分からないことだらけの1つ1つを丁寧に教えてくれ、サポートしてくれる強い味方です。それだけではなく、ママ自身のケアまでしてくれ、家事、洗濯、掃除、買い出し、精神的な心のサポートまで、本当に無敵な存在なのです。

私も当時、慣れない国で初めての子育てで不安もあり、1ヶ月間産褥ナニーさんにお願いをしました。住み込みと通いどちらかを選ぶことができ、私の場合は平日の通いでお願いする形になりました。
来てくださる方との相性というのは多かれ少なかれあると思うのですが、私を担当してくれた方は本当に頼りになる方で、私の不安も取り除いてくれるありがたい存在でした。
赤ちゃんのケアはもちろんのこと、家事もサポートしてくれ本当に助かったのですが、何より一番ありがたかったのは「料理」。毎度毎度、産後で体調が回復していない私のために栄養満点のごはんを作ってくれるのです。
やはり中華文化が根付くシンガポールなので、基本的には東洋医学の考えに基づき産褥期のママをケアすべきという考えがあります。
産後は通常より体が開いてしまっていて体も冷えやすい状態にあるとのことで、とにかく「体を温める」「血を補う」「血流を良くする」といったことに重点が置かれ、それを補ってくれる食材を使った料理が沢山出てきました。これらを意識することで、ホルモンバランスや内臓の調子が良くなり、産後の体の回復が早く、母乳の出も良くなるそうです。

iOS の画像 (1)
iOS の画像

この料理には本当に助けられました。出産直前までつわりがひどかったため、あまり食べられていなかった私ですが、赤ちゃんが生まれてからスッキリして急に食欲が倍増。そんな中毎回体に良い料理を沢山作ってもらい、このおかげで産後の身体の回復が非常に早かったように感じます。
基本的には薬膳をベースとした料理なのですが、「体を温める」ために毎度大量のしょうがが使われます。
料理以外にも、絶対毎日欠かさず飲まなくてはいけない飲み物があり、それがこちらの「ロンガンティー」。

iOS の画像 (2)

日本ではあまりなじみがないかもしれませんが、ロンガン(竜眼)やナツメといったフルーツに、大量のしょうがを入れ煮込んだお茶。最初こそ慣れなかったのですが、「1日必ず1ℓは飲むこと!」とナニーさんに言われ飲み続けた結果、もう体じゅうがポカポカ。室内でクーラーがかかっている部屋でもなぜか私だけ汗びっしょりという状態でした。でもこの味にどんどんはまり、おかげで体の調子も非常に良くなり助けられました。
日本でも、産後のサポートというのは今現在色々とあると思いますし、前よりもそういった考えが浸透してきているとは思うのですが、昔よりも子育て自体が孤立化している今の社会だからこそ、もっと手厚いサポート、身のまわりのこと、ママの体のケア、精神的なサポートまでしてくれるような包括的なサービスがあれば良いのではと思わずにはいられませんでした。

産後マッサージがすごい?

これもまたシンガポールならではのサービスだと思ったのが、「産後マッサージ」。自宅に専門の方が来てくれてしっかりとマッサージをしてくれます。
もちろん日本にもマッサージは沢山あると思うのですが、この産後マッサージというのは、とにかく産後のママの体をケアすることに特化しているため、内容が少し異なります。
寝不足状態で疲れているママの貴重なリラックスタイムであるのはもちろんなのですが、オイルを使って体をメンテナンスし、産後で変わってしまったママの体型をどうにかするべく骨盤周りなどのケアを重点的にやってくれるのです。その証拠に、毎回マッサージが終わるごとにこのようなさらしを巻き、このまま数時間過ごさなくてはいけません。

iOS の画像 (3)

日本でいう骨盤ベルトのようなものですね。
このさらしを巻く時に、独特のオイルのようなものをお腹周りにぬられ、その上に巻いてぎゅっと体を締め付けられます。コースは5日くらいから1週間程度選ぶことができ、長ければ長いほど産後の体の戻りが早いそう。
こんな毎日マッサージだなんて贅沢すぎる、と思ったのですがなかなかできない経験でもあるため数日間お願いし、私の担当の方は母乳のケアもしてくれたので詰まっている乳腺をほぐしてくれたりもして非常に助かりました。骨盤など体のメンテナンスにはもちろんのこと、何よりずっと気を張っている状態なので1日1時間のその時間が本当にリラックスできて良い時間でした。

産後のケアは、そもそもベースにある考え方や文化が異なるため国によっても全く変わってきます。シンガポールは中華系・マレー系が多いのでそれに根付くやり方でしたが、きっとまた違う国ではスタイルも異なってくるはず。
今回私は海外で出産・子育てを経験したことで、普段知ることのできない文化に触れることができた感動はもちろんありましたが、これだったら日本はどうだろう?日本にもあったら良いのでは?と、単純にどちらか片方が良いというのではなく、お互いの良いところが分かってそれが発見に繋がり、やり方は1つではないのだなと気づくことができたのが何よりでした。
世界の子育て事情は非常に奥深いですね。

文○やないあつこ