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子どもの世話は、母親の義務ではありません!【駐在員の妻は見た!中国の教育事情】

2019.12.30

2018年より中国・広州に滞在中の4歳児ママです。独身時代は上海で暮らしたことがありますが、現地で子育てしてみると驚きと発見の連続。その一部を皆さまにお伝えします。


第2回 子どもの世話は、母親の義務ではありません

Houses for normalpoeple

子どもの世話は、祖父母か「アーイー」がするもの

子どもにはとっても甘く、子連れ天国の中国。この国の子育てのもうひとつの特徴は、子育ては母親だけでするものではない、という考え方が浸透していることです。

「子どもは可愛い、大切だ、でも子育ては本当に大変だから、親戚や外部の力を借りるのが当然」と考えられています。

共働きが主流の中国では、祖父母が子どもを預かり、朝から晩まで面倒を見るのが一種の「義務」です。おじいちゃんも孫の世話をする戦力であり、丁寧に遊び相手を務めています。若くて元気な祖父母だといいのですが、よろよろしている高齢のおじいちゃんが孫に追いつけなくてはぁはぁ言っている姿には心配になります。

2-GrandMa Ayi Mago in Hiroba
公園で子どもを遊ばせる親たち。というよりバーバのほうが目立つ。

中には出稼ぎなどの経済的理由でなく、「上の子の世話や仕事が忙しいから」と、3歳くらいまで完全に実家に預け、年に数回しか会わない親子もいます。

祖父母の力を借りられない場合、幼稚園くらいまでは「アーイー」と呼ばれるベビーシッターに任せるのが普通です。「アーイー」は、通いと住み込みの2パターンがあります。住み込みの場合は、週末も面倒をみてくれます。親は、「アーイー」に子どもを預けて長期出張(旅行の時もある?)に行くこともよくあります。

「アーイー」の質には差があり、一緒に遊ぶ人、スマホばかり見ている人、若い女性、おばあちゃん、など観察すると面白いです。私自身、「アーイー」と母親や祖母の見分けがつかないことがよくあります。ひとつだけ言えることは、祖父母や両親は人前でも手をピシャッと叩いて叱ることがあっても、「アーイー」は叩かないこと。このように簡単に見分けがつかないほど家族の一員として、周囲も当然のように受け入れています。

主に幼児期に「アーイー」を雇う場合が多いのですが、家でひとりで子どもを留守番させるのがかわいそうという理由で、小学校高学年でも雇っている家庭もあります。小学校に入ると、放課後は民間学童のような補習塾(学校の宿題をみてくれる)に預けることが増えます。

富裕層の「アーイー」事情

現在、一人っ子政策が実質存在しない中国では、子どもの数が急激に増えています。私の印象ですが、娘の幼稚園では一人っ子よりも兄弟姉妹のいる家庭のほうが多い気がします。裕福な家庭では、1人の子どもにつき1人の「アーイー」が付きます。さらに家事専門のお手伝いさんがいる家もあり、どれだけ広い家に住んでいるのか想像できません。

以前、住み込み「アーイー」のいる友人一家と食事に行く機会があり、もちろん「アーイー」も一緒でした。手洗い、食事の取り分け、細かく砕いて食べさせる、お口ふき、トイレなどはすべて彼女が行い、両親は食べておしゃべりをするだけ。タラバガニやふかひれなど高級海鮮料理が余っていても彼女は一切手をつけず、ひとりだけ白米に葉野菜の炒め物をのせて食べていました。

この他にも レストランの外で赤ちゃんを抱っこして座っている女性がよくいますが、この場合は家族の外食中に「アーイー」が外で待っているわけです。もちろん休日の一家の遊びや旅行にも同行するとのこと。そのため、もし「アーイー」が休暇をとると、慣れない子どもの世話をする両親達は本当に大変です。私が見ていてもハラハラするほど子どもに慣れていません。そしてどう接してよいか分からず、普段の反動でものすごく甘やかしてしまう傾向があります。

気になる彼女達の時 給は、地域と家庭により異なりますが30-40元(400‐600円)程度住み込みでも1カ月10万円程度だそうです。ただし、夜間授乳を含む新生児の世話は1カ月30-40万円程度と高めです。あの壮絶な産後一か月がこのお値段……なんだか複雑な気持ちになります。子どもの世話は他人でもできるから、ママは自分を大切に、という価値観に基づく習慣ですね。

父親もしっかり育児参加

では両親はまったく子どもの世話をしないのか、というとそういうわけではありません。経済的に「アーイー」を雇えない人達、平日は祖父母に子どもを預けて週末は夫婦で面倒を見る人達も多いです。

また、日本に比べて男性が育児に参加していると感じます。レストランでは、赤ちゃんを交代で抱っこして店内をまわりながら互いに食べる時間を捻出する、公園の付き添いや幼稚園・習い事の送迎もお父さんが行う、などの姿をよく見かけます。

2-GrandPa and Mago
中国では、子どもと遊ぶ男性もよく見かける

このような文化の人達から見ると、時間やお金を投資して高等教育を受けたのに専業主婦として子育てに専念する日本人女性は、おそらく理解不能でしょう。 むしろ、どんな風に育て上げるのかと恐れを持ってみているのかもしれません。日本では働くママが増えましたが、中国では日本人女性はまだまだ「良妻賢母」のイメージです。

profile

岡本聡子

2003~05年上海にMBA(経営学修士)留学。その経験をもとに『上海のMBAで出会った中国の若きエリートたちの素顔』を株式会社アルクより出版。2018年より、広州へ駐在帯同中。4歳女児の母。防災士としてNPO活動も行う。