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おっとり男子の野球生活サクラサク。そして卒団。 いつでも帰れる場所がそこにある。【スポ少ってこんなです 11】

2020.01.10

この連載は…

子どもが大きくなったら参加させてみたいチームスポーツ。ここでは少年野球チームに所属している長男の日常を通して、活動や雰囲気、保護者の当番などについてお伝えしています。


2月。合格発表の掲示板。
キュウヤの名前は…。

力を出し切って終えた試験。第一志望校合格発表の朝、WEBではなく、自分の目で合否を確かめたいというキュウヤの希望もあり、親子で学校の掲示板に向かいました。漫画のような展開ですが、彼の目線は受験番号を横ではなく縦に追っていました。

「な、ない…」がっくりとうなだれるキュウヤ。そこで背中越しに掲示をみていた夫が指を指します。

「あ! あった〜!」喜び爆発というより、ホッとしたあまりその場にしゃがみこんでしまったキュウヤ。次のセリフは「今日から野球ができる!」 でした。

野球、友達との遊び、我慢していたゲームに漫画。やりたいことが溢れてきて、歩き出しても地に足がつかないキュウヤです。あまりにもニコニコしているので、駅前で見知らぬ年配の方から「合格おめでとう」と声をかけられるほどでした。

よかった! 頑張ったね。よかった。

母親の私もおもわず溢れてくる涙を止められず、「よかった!」ばかりを繰り返してしまいます。頭の中を、試合後、車の中でユニフォームを着替え、塾バッグを背負って走っていた受験生の生活シーンがぐるぐる巡っていました。

高校野球試合風景

翌日。キュウヤは久々にグローブを持って登校しました。学校では受験結果について、おおっぴらには話さない暗黙のルールがあるようでしたが、親しい友達もひとり、同じ中学に受かったことがわかり、放課後はさっそく日がとっぷりくれるまで遊んでいました。

野球の練習にも戻りましたが、「キャッチボールをしてみたら、なんだかぎこちないし、打てないしで、下手になったなあ」なんて言ってました。やはりスポーツは長く休むと体が鈍ってしまうんですよね。

翌週は6年生が出られる最後の公式戦「卒業記念杯」でした。毎年、この卒杯はチームの全学年が応援に来てくれます。保護者もいつもの家族だけでなく、祖父母や親戚、学校の友達も駆けつけてくれます。低学年で入団した子なら5、6年間、毎週末共に過ごしてきた仲間と力を合わせて向かう最後の戦いです。

監督の周りに真剣な表情の選手が集まり、最後のメンバー発表。最後のノック。最後の円陣。最後の試合開始前挨拶。「最後の」という枕詞の重みを噛み締めながら力いっぱい拍手を送る応援団です。

キュウヤといえば久々に一塁を任されて、最初はかなり体の動きが硬いようにも見えました。しかし息の合ったバッテリーと元気いっぱいの内野陣、どんな球でも来いオーラー全開の、頼れる外野陣の醸し出す雰囲気に徐々に緊張が溶け、やがて滑らかにプレイの輪の中に溶け込んでいきました。 

保護者といえば、選手たちの一挙一動足に幼い頃の姿を重ねて観ていました。低学年の頃は、どの子も球が思った方向にいかなかったり、バットを振っても三振ばかり。エラーをすれば人のせいにしたり、相手の1本のヒットに打ちのめされ、ズルズルと失点していました。でも今はお互いカバーし合って、相手に流れがある時も明るく声がけをし合っています。

ひとりの力をみんなの力に変える。そんなことが出来ているかのようでした。

味方がエラーした時、周りが声をかけてフォローし、流れをこちらに引き戻した時は、ああ、本当に成長したなあ、と保護者一同、口々に讃えあってしまいました。心を合わせる、この姿が見たかったんだなぁ、と。

試合は、残念ながら終盤に相手チームに痛烈なヒットが出て、負けてしまいましたが、戦い抜いた子どもたちの表情は明るく、出し切った感に溢れていました。親たちのように「これで最後」とも思っていないような…。想像でしかないですが、もうそれぞれが未来に気持ちを向けているんだな、そう思わせるような締めくくりでした。

さよなら少年野球。
でもこれは別れじゃない。

3月。
学校の卒業式の少し前。

キュウヤを含む6年生は、未来への期待を膨らませて意気揚々と卒団していきました。まもなく大人への一歩、中学生になるのです。そして6年が巣立つと5年が最上級になり、低学年チームにいた現4年は高学年のチームにあがります。こうして毎年、子どもたちはひとつずつ年齢をあげて、立派な野球少年に成長していくんですよね。卒団生と下級生は清々しい笑顔でしたが、親たちは大変。6年保護者はもちろん、送り出す保護者たちも涙、涙。こらえようと思うけれど、監督・コーチからの温かい言葉でさらに涙腺崩壊です。

sakura

ひとりひとり違う子どもに、常に全力でいい方向に向かうよう指導し、愛情をたくさん注いでくださった指導者たちに、ただただ感謝の気持ちでいっぱいでした。当番とか、遠征の応援とか大変なこともあったけれど、だからこそ子どもたちの近くで成長を見守り、少年野球の楽しさを知ることができました。入団当時は正直「面倒だな」と思っていたお手伝い、そして試合シーズン中の熱い応援から解放されることを思うともはや寂しくも感じます(苦笑)。

しかし、キュウヤとこのチームのつながりはこれで終了ではありませんでした。

「いつでも戻っておいで」。監督・コーチはそう声をかけてくれていました。今でもキュウヤとチームメイトたちは、部活や勉強がない週末、年に数回ではありますが…少年野球のグラウンドに集います。ひとり、2人の時もあるし、参加するタイミングもバラバラだったりしますが、ふらりとグラウンドに行って後輩たちの練習を手伝ったり、試合を応援したりしています。大きなイベント、大切な試合の時には、自然と集まって来るOB・OGたちはまた、現役部員たちの未来の姿でもあるのです。

家庭、学校のほかに「ホーム」のような居場所がある。チームによるのかもしれませんが、スポ少はそんな故郷のような場所でもあるのです。実際、学生までは多忙でも、自分が父親になった時に戻ってきて、教える側になった、というコーチも多くいました。野球を上達させてくれるだけではない、大人になった時でも心を寄せることができる、かけがえのない場所なのでした。

タナカユミ
ハナコママではものぐさママとしてお馴染みのライター。数年前までインドア派でしたが、今は子どもの野球はもちろん、プロ野球、社会人野球、高校野球の応援にもウキウキと出かけて行きます。いつか行きたいMLB観戦!



第1回 「まさかうちの子が野球チームに…!?」
第2回 「応援のテンションにビックリ!」
第3回 「少年野球はお金がかかる!?…」
第4回 こんなにあるの、保護者の仕事。恐るべし「お茶当番」
第5回 「パンツ、空を飛ぶ!? わちゃわちゃな夏合宿」
第6回 夏休みが終わっても週末は1日中、野球漬け!
第7回 人気ポジションはどこ?ピッチャーが人気でキャッチャーは不人気? 選手のポジションの決まり方
第8回 親はちょっと大変?!野球だけじゃない。カレーパーティに夏祭り、楽しい行事盛りだくさん
第9回 中学受験と少年野球はどこまで両立できるのか。
第10回 苦しみながら答えを探す。中学受験と少年野球はどこまで両立できるのか(続編)。


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