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子育ては社会全体で「とうきょうママパパ応援事業」に思う【気になる!教育ニュース】

2020.01.21

大学入試改革、プログラミング、英語教育 。教育の世界が何やら騒がしい。この……コーナーでは、最近気になった教育関連のニュースをピックアップして紹介します!

第5回 子育ては社会全体で「とうきょうママパパ応援事業」に思う

baby girl sitting in the pram
little and very beautiful baby girl sitting in the pram and waiting for mom

転勤族で転居したばかり、まだ知り合いもいない時期のこと。幼かった息子2人と遊んでいた公園で、ホームレスのおじいさんから1袋のミカンをふいに渡されたことがあります。えっ!?ど、どうすれば?すると、「子どもは社会の宝だから、大切に育ててね。これ、そこの八百屋で買ったものだから安心して」

東京都では「とうきょうママパパ応援事業」として、双子など多胎児家庭に対する支援策を新年度から強化。乳幼児健診や、予防接種などの際に利用するタクシー費用を年間24,000円を上限に支給したり、ベビーシッターや家事支援ヘルパーなどを利用する際の費用を補助するサービスを開始します。

名古屋市の市バスに双子用ベビーカーでの乗車を拒否された、という女性のSNSへの投稿が話題になったのは昨年の秋。愛知県豊田市で三つ子の母親が次男を死亡させる、という痛ましい事件が起きたのは2018年の冬。多胎育児の困難さと、支えるはずの環境の脆弱さが浮き彫りになりました。

体外受精の普及により多胎児出産の確率は急速に高まり、45歳以上では5.95%にも上るそうです。ただでさえ育児は困難の連続。多胎児では授乳もおむつ替えもすべてが2倍、3倍に!今回の東京都の取り組みのように、社会全体で多胎育児を支えよう、という機運の高まりが今後も広がり、頑張るママたちの一助となることを願うばかりです。

ただ、タクシー利用の補助が乳幼児健診や予防接種の場合に限定されている点は気になります。特別な必要はないけれど、子どもと一緒にちょっと遠出をしたいなあ。そんな自然な気持ちも支える環境づくりが大切では、と感じるのは私だけではないはず。

息子たちの学校では、奥さんの出産に際し1週間ほど育休を取る男性の先生が多いようです。1週間では何の助けにもならないよ、とも思いますが、それでも、子どもたちには「奥さんが出産すると、旦那さんも休むもの」という意識が定着していて、自分自身の時代との大きな違いに、教育の、そして子どもたちの可能性を感じます。

多胎児に限らず、電車やバスの中にベビーカーが普通にある光景、子育て中のママを皆で支えるのは当たり前、という意識が子どもの頃から根付いていれば、やがて育った若い力が社会を変えていくのかも。社会が子どもを育て、育てられた子どもが社会を変え、その社会がまた、子どもを育て。だからこそ、大人は理想の社会を子どもに頑張って見せていくことが大事なんだ、と感じます。

転勤族の先輩ママから「誰も、何も知らない。そんな土地でも子どもは周囲に育ててもらおう、と思って関わっていくと楽になるよ」と言われて目の前が急に開けたように感じたことは忘れられません。頼っていいんだ。

おじいさんにもらったミカン、甘酸っぱい香りとみずみずしい果汁、明るいオレンジ色。今でも心に鮮やかです。

参照
https://www.asahi.com/articles/ASN1856HMN18UTIL033.htm

中村亮子(なかむら・りょうこ)

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。
転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。
家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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