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制限したら解決するの? 香川県ネット・ゲーム規制条例素案に批判の嵐【気になる!教育ニュース】

2020.02.01

大学入試改革、プログラミング、英語教育 。教育の世界が何やら騒がしい。このコーナーでは、最近気になった教育関連のニュースをピックアップして紹介します!

第6回 制限したら解決するの? 香川県ネット・ゲーム規制条例案に批判の嵐

ポータブルゲームと子供

「子どものネット依存やゲーム依存が心配」
「他のご家庭ではスマホやゲームの利用にルールがあるのか、教えてほしい」
こんな声、保護者会でよく聞きませんか? 多くの家庭共通の悩みなのです。

ところが……。
「子どものネット・ゲーム依存症につながるようなコンピューターゲームの利用は、平日60分、休日90分まで」「保護者は中学生までは午後9時まで、高校生は同10時までにスマートフォン等の使用をやめるルールを子どもに順守させるよう努めなければならない」
香川県が提起したこんな条例の素案に寄せられたのは、批判の声、声、声。

実は、お隣韓国では16歳未満のユーザーは夜間、オンラインゲームのプレイを禁じる、という規制を2011年から導入。中国も「未成年者は夜間ゲーム禁止・ゲームは1日90分まで」という規制を昨年秋に発表。

昨年WHOはゲーム依存を疾病として認定。日本でも「ゲームと生活に関する実態」調査が初めて行われ、スマホやゲームが原因とみられる、不登校などの生活習慣の乱れや視力低下などの心身に与える影響を数値化。ゲーム課金のお金を強要する、いじめもありました。ネット依存・ゲーム依存はもはや世界的な問題だといえるのです。

香川県の条例素案はこのような流れを受けて、ネット依存・ゲーム依存から子どもを守ることを目的としており、その理念は頷けます。同様の問題認識を持つご家庭も多いはず。けれども何かが引っかかる。本当にこんなやり方でよいの?これって、行政が一律に決める問題なの? 寄せられる批判はそんな違和を感じているように思います。

「依存」とは、抱えている孤独感や不安感を和らげるための逃げ場所探し、だといいます。いじめや受験など現実世界に不安を持つ多くの子どもたち。オンラインゲームの世界では他者とのつながりの中で、簡単に自己肯定感が味わえ、居場所が見つかった、と錯覚してしまうのかも。単にゲーム時間を制限するだけでは、一方的につながりを絶ち、居場所を取り上げるだけ。
「否定された」とより子どもを追い込む恐れも。

ファミレス業界大手のスカイラークが、24時間営業を全廃すると発表しました。わざわざ深夜に外出しなくてもSNSで仲間とつながることができる、というライフスタイルの変化も、深夜の来店が減少した理由の一つと考えられるそうです。つながり方の変化が、ライフスタイルの変化を呼ぶのでしょうか。どのみち、人は常に「つながり方」を模索し、つながり方の脆弱な部分を狙って多くの問題が生ずるように感じます。

その実、香川県の素案に罰則はなく、実効性には「?」も。だとすれば批判はさておき、家庭で、学校で、仲間同士で、スマホやゲームとの付き合い方、居場所の見つけ方を話し合うきっかけにしてしまったら、どうでしょう。そのとき一緒に「あなたにはこんなに多くのつながりがあって、こんなに多くの居場所があるんだよ」という思いを届けることができたら、この素案にも大きな意義が認められるかもしれません。

参照
https://www.yomiuri.co.jp/national/20200120-OYT1T50317/
https://www.fnn.jp/posts/00049903HDK/202001212000_FNNjpeditorsroom_HDK

中村亮子(なかむら・りょうこ)

1971年東京都出身。中央大学法学部法律学科卒。
転勤族と結婚し、全国を転々と旅するような生活を送る中、偶然の出会いに導かれ、フリーライターの道へ。
家族は夫と息子が二人。趣味はピアノ

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