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トイレは戦場!? アタがトイレトレーニングをやりとげるまで。【発達障害児ママのドタバタ子育て奮闘記】

2020.02.26

公立小学校の特別支援学級に通う6年生の次女、アタはASD、いわゆる発達障害児。最初はその事実を受け入れられませんでしたが、そのうち、これって普通の子より個性が強すぎるだけなのかも、という心境に。こう言っては不謹慎ですが、障害児を育てるというのは、案外面白いのです。現在、夫は海外に単身赴任中。大学生の長女と私、そしてアタの3人のドタバタライフを書き綴ります。


第5回 トイレは戦場!? アタがトイレトレーニングをやりとげるまで

(1)トイレに入ることさえ怖がるアタをどうすれば?

ウサギはどこでウンチしても怒られないのに、人間って不便……。
アタのトイレトレーニングに行き詰まっていた頃、動物園のふれあいコーナーでボーッとそんなこと考えていました。現実逃避です(笑)。

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結論から言うと、アタが完全にオムツ離れするには、約5年かかりました。個人差があるとはいえ、長かった……。
長女はわずか3日で完了したので、アタだって3カ月もあれば! そう気楽に考えて、幼稚園入園を機に始めてみましたが。

初日。
まず、家の個室を見て大泣き。幼児用便座のクマさんに怯え、座るの拒否。まさかトイレにも入れず挫折?
とりあえず便座クマさんとお友達になってもらおうと、一緒に寝てみたりしました。

すると、クマさんには座れるようになりましたが、オシッコは出ない。仕方なく便座から下ろしてオムツを履かせると、待ってましたとばかりに、ジャー。何故……?

(2)トイレへの強制連行を嫌がり、カーテンの陰に隠れて用を足すように

幼稚園の先生に相談したところ、「何もないところにオシッコするのが不安なのかもしれませんね。失敗してもいいから、パンツを履かせて練習しましょう!園でも声がけしますので」
全面的に協力してくれることになりました。普通のパンツを履かせ、気持ち悪いと気づかせる作戦です。

ところが、アタは「濡れて気持ち悪い」がわからない。濡れたらそのままでずーっと過ごせてしまうんです。
おかげで毎日、帰りのリュックは濡れた衣類でズッシリ。「もう、オムツでいいです」正直、喉まで出かかりました。

家でも、お尻を触っては確かめ、トイレに強制連行する日々。
一度でもあのスッキリ排尿感を知れば!と必死でしたが、追い回し過ぎたせいか、アタはカーテン裏でオムツに履き替え、隠れて用を足すようになってしまいました。

(3)部屋中がウンチまみれの大惨事!

そんなある日、大惨事が。いつものようにカーテン裏でゴソゴソやってるなぁと思ったら……。ん?臭い?

パッとカーテンを開けると、なんとアタが、手でウンチを窓枠や絨毯になすりつけている⁉︎
「ひゃぁぁぁ!」私の悲鳴に、ビクッとするアタ。
どうやらこぼれたウンチを隠そうと、あっちこっちに広げて証拠隠滅を図ったようでした。

これはさすがに我慢の限界。今までのストレスもあって、カッとなりました。
「こういう時は隠さずママに教えて!怒らないから!」
言葉と裏腹にすごい剣幕の私を見て、わからずヘラヘラ笑うアタ。
ブチっと、堪忍袋の尾が切れる音がしました。その時。

「うっわ、臭!最悪!アタ汚い、こっち来ないで!」
険悪なムードの中帰宅した長女が、いきなりアタを罵倒。まるで私の心の声でした。

ハッとしました。

「こら、そこまで言わないの!アタだって悪気はないんだよ」
口から出たのは、長女をたしなめる言葉。彼女がいなかったら、間違いなく手を上げていたでしょう。

とばっちりで叱られて気の毒でしたが、長女、グッジョブでした。今更ですが、ありがとう!
おかげで頭が冷え、フッと肩の力が抜けました。

結局、ブチブチ文句言う長女に手伝わせて片付け、これは家族の極秘事項に。何しろこの部屋、賃貸だったので……。

(4)ようやくトイレでオシッコできるように!

それからしばらくして、
「アタちゃん、トイレでオシッコできました!」
幼稚園から嬉しい知らせが届きました。
トレーニングを始めて8カ月。4歳5カ月の頃でした。
やっと第1関門クリアだ!と喜びましたが、まだまだ一進一退。
そうこうするうちに、長女の中学受験を機に本帰国することになりました。
根気強く付き合ってくれた先生には、本当に感謝でした。

帰国後は、環境の変化が逆に良かったのか、家ではすぐにオシッコできるように。
夢のようでした。「ママ、であ(出た)~!」
成功するたび、得意気に流すアタ。ビデオで撮ってやると、ますます嬉しそうでした。

そしてプライドも育ってきたのか、ウンチ以外ではオムツを履きたがらなくなりました。
幼稚園など、決まった場所では外出先でもオシッコできるようになりましたが、問題は不慣れな場所。自転車ですぐに帰ってこられる、半径約2km以内しか遊びに行けません。

(5)障害は、本人の気持ちや努力でどうこうできるものではないと知る

ある時、友達と初めて遊びに行った子ども向け施設。
館内に入ってすぐモジモジし始めました。
まだ遊びたいからオシッコする、と言うのでトイレに入りましたが、30分経ってもできない。したいのに出ない。

額には脂汗、目には涙。オムツに履き替えるか聞いても「嫌!」
結局、もう漏らしてもいい!と思って、自転車に飛び乗り連れ帰りました。
家のトイレに飛び込んだとたん、ジャーーー!

気持ちと脳がつながらないって、残酷です。
「障害は、本人の気持ちや努力でカバーしきれるものではない」

この時やっと、私はアタの置かれた状況を理解しました。
私はまだまだ、自分の目線でしか考えられてなかったんです。

その後も。真夏のトイレに2時間母娘でこもったり、小学校では保健室のパンツレンタルの常連になったり、思えば色々ありました。
でも、もう焦る気が起きませんでした。外のトイレで初めてウンチできたのは、意外にも公園の和式トイレ。……本当に、何が基準なんでしょうね。

アタは今、どこでも1人でトイレに行きます。6年生になっても時々オネショはしますが、寝てる間は別人なんだから気にするなと教えたので、失敗しても笑ってます。

心と体と脳。全部揃って、やっと自分のペースで成長できるんですね。
我が家にとってトイレはまさに戦場でした。そして良き修練の場でもありました。
でも、もう1度と言われたら。いや、もうご勘弁ください……。

マンガ・文〇CHINA(チナ)

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CHINA(チナ)

2児の母。特別支援学級に通う次女、マイペースな長女と、すったもんだの日々を送っています。 娘ラブの夫は単身赴任中。エッセイを通して、発達障害って案外いいね!と思ってもらえたら嬉しいです。

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